妊婦の出血:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
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翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
妊娠中の性器出血は、5人に1人以上が経験する比較的に頻度の高い症状です。妊娠に伴って自然に出血することもありますが、病気が原因で起こる場合もあり、原因の中には危険な病気もあるため注意が必要な症状でもあります。
上で挙げたようなケースでは、何が原因になっているのでしょうか。
妊娠中の出血は、妊娠に関わるトラブルによるものや出産間近に自然に起こる場合など、原因にはさまざまなものが考えられます。
妊娠中に何かしらのトラブルが起こった場合、性器からの出血を認めることがあります。主なトラブルとしては以下のようなものがあります。
精子と卵子が出会い、受精卵となって子宮内膜に着床すると妊娠が成立します。この際に起こる出血を着床出血といい、多くは排卵日から約1週間後に微量のおりもの程度の出血がみられることがあります。
妊娠初期に出血を認める場合が30%程度の妊婦であるといわれています。これは受精卵が着床し、胎盤を形成する段階で子宮内膜内の血管が破れて出血するものと考えられており、正常の胎盤形成過程でも見られるものです。しかし、実際にはこの時期、流産の初期症状として出血が起こることもあります。この出血に対する治療法はなく、無理をしないようにして児の発育を期待して待つことになります。
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床した状態です。主な症状として出血と下腹部痛が挙げられ、お腹の中で大量出血をきたすと貧血や低血圧、頻脈、意識障害などが生じ、命に危険が及ぶこともあります。
絨毛膜下血腫とは、絨毛膜(胎盤の膜)と子宮壁との間に血液の塊が形成された状態を指し、妊娠初期から中期にしばしばみられます。通常は自然になくなりますが、消退しない場合や血腫が巨大化した場合には早産・流産などのリスクが高まることが指摘されています。
絨毛膜下血腫の主な症状は性器からの出血で、痛みが現れる場合もあります。
妊娠22週までに妊娠が終わってしまうことを流産、妊娠22週から36週6日までの出産を早産といいます。いずれもお腹の張りや痛み、性器出血が主な症状です。
前置胎盤とは、胎盤が正常よりも低い位置にあり、子宮の出口の一部または全部が覆われてしまう状態を指します。全分娩の約1%にみられるといわれています。発症しても無症状のことがほとんどですが、痛みを伴わない性器出血が生じる場合もあります。出血するリスクは妊娠後期ほど高まり、出血は大量になることがあります。
常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんが生まれる前に子宮壁から胎盤が剥がれてしまう病気です。胎盤が剥がれると赤ちゃんに栄養や酸素が送られなくなるために、赤ちゃんの状態が急激に悪くなり、重症の場合には死に至ることもあります。
主な症状としてお腹の張りや痛み、性器出血、胎動を感じにくくなるなどが挙げられますが、どの箇所が剥がれるかによって自覚症状も経過も異なります。妊娠後半期に下腹痛、特に持続する腹痛と性器出血が見られる場合には、健診している医療機関に相談をしましょう。
出産予定日を間近に控えた頃に出血が起こる場合、一般的にそれは出産の始まりを告げるサインだと考えられます。
赤ちゃんを覆っている卵膜は子宮壁に張り付いていて、出産が近づくと子宮壁から剥がれ、このときに出血が起こります。この出産の徴候として起こる出血を「おしるし」といいます。
一般的にはおしるしの後に陣痛が現れ、その後に破水が起こります。ただし、おしるしがなく陣痛が始まる場合や、陣痛の前に破水が起こる場合もあります。
妊娠中の出血は、30%以上の人が経験する頻度の高い症状で、妊娠や出産に伴う形で自然に起こる場合も多くあります。しかし、中には病気が原因で出血が起こることもあるので、出血がみられたら出血量やほかの症状の有無にかかわらず、かかりつけの産婦人科を受診するようにしましょう。
受診の際には、出血が起き始めた時期、出血の量や頻度、ほかの症状などを伝えましょう。このような情報が診断の助けになることが多くあります。