子どものいびき:医師が考える原因と対処法|症状辞典

子どものいびき

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

いびきとは、呼吸時に喉や鼻が振動することによって引き起こされる音です。喉や鼻など、空気の通り道の一部が狭くなることによって生じ、その原因は多岐に渡ります。

いびきは健康な人でも生じるものですが、中には非常に重い病気が潜んでいることや、治療をしないと日常生活に支障をきたすことも少なくありません。また、いびきといえば成人の症状と思われがちですが、子どももいびきを発することがあります。

  • 夜間のいびきが強く、慢性的な睡眠不足に陥り、日中の活動性が低下している
  • 鼻水や咳などの症状があり、いびきを生じるようになった
  • 扁桃炎(へんとうえん)を繰り返しやすく、常にいびきを発している

子どもにこれらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

子どものいびきは、日常生活上の習慣が原因となっていることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。

体格に対して高さのある枕を使用すると睡眠中に首が前屈した状態となり、空気の通り道が狭まることでいびきを引き起こすことがあります。

体格に合った枕とは

子どもは日々成長していくため、枕の見直しもこまめに行うようにしましょう。横になった状態で頚椎(けいつい)の後屈が保たれ、喉の狭窄(きょうさく)が生じない枕が理想的です。枕を使用し、横たわった状態を横から見て首の状態をチェックするようにしましょう。また、高さの微調整はタオルで行うことがおすすめです。

強く鼻水をかんだり、鼻すすりをしたりすると鼻の粘膜や耳などに過度な負担をかけ、いびきを引き起こす鼻詰まりの原因となることがあります。

正しく鼻をかむには

片方の鼻をティッシュで優しく押さえ、そっと息を吐きだすようにゆっくりと鼻水を排出します。また、鼻水が出たときはこまめにふき取るようにし、鼻すすりは控えるようにしましょう。

日常生活上の対処法を講じても、いびきがよくならない場合は思わぬ病気が潜んでいる可能性も否定できません。軽く考えずに、それぞれの症状に合った診療科を早めに受診するようにしましょう。

子どもも成人と同様に、健康に問題がない場合でもいびきをかくことがあります。しかし、中には以下のような病気が原因のこともあるため、見過ごすことのできない症状のひとつといえるでしょう。

空気の通り道である喉や鼻(上気道)に生じる病気によって、いびきを発することがあります。いびきの原因となる主な病気には以下のようなものが挙げられます。

扁桃肥大(へんとうひだい)

ヒトの咽頭には咽頭扁桃(いんとうへんとう)口蓋扁桃(こうがいへんとう)など、扁桃と呼ばれるリンパ組織の固まりがいくつかあります。扁桃は、リンパ球が集まってきて外界から侵入した異物に反応するなどして、それらを排除する作用を担っています。小児期の扁桃は成人よりも肥大化していることが正常で、成長と共に徐々に縮小していきます。しかし、過度に肥大している場合は、睡眠時などに上気道の狭窄(きょうさく)を引き起こしていびきの原因となることがあります。

扁桃の肥大による痛みなどの症状は伴いませんが、細菌やウイルスの感染を生じて扁桃炎を引き起こしやすく、高熱や喉の痛みを繰り返すことがあります。また、慢性的な炎症を生じることで鼻閉や副鼻腔炎などを引き起こしやすくこともあります。

扁桃肥大
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上気道炎、アレルギー性鼻炎など

鼻腔内の粘膜がむくむことによって生じる鼻詰まり(鼻閉)によって、空気の通り道が狭くなり、いびきを引き起こすことがあります。子どもの鼻詰まりの原因として多いのは、一般的な風邪症状である上気道炎やアレルギー鼻炎などです。そのほかにも発熱や喉の痛み、咳、鼻水などの症状がみられることもあります。

アレルギー性鼻炎
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副鼻腔炎(ふくびくうえん)

頭蓋骨が形成する顔面の空間である副鼻腔にウイルスや細菌感染による炎症が生じる病気です。副鼻腔内では粘液がつくられており、咽頭や鼻腔に排出されています。しかし、鼻炎咽頭炎などによって副鼻腔内に感染が波及すると、副鼻腔内に(うみ)が混ざった粘液が貯留した状態となり、顔面痛や頭重(ずおも)感などの症状を引き起こします。また、強い鼻詰まりを生じることもあり、いびきの原因となることも少なくありません。

副鼻腔炎
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子どものいびきは、喉や鼻以外の部位に生じる病気によって引き起こされることもあり、原因となる主な病気には以下のようなものが挙げられます。

肥満

肥満によって喉に余分な脂肪が蓄積されると、睡眠時に筋肉が弛緩(しかん)(ゆるむこと)した際に空気の通り道が狭くなり、いびきを引き起こすことがあります。いびきの音は大きいことが多く、無呼吸の状態が続くこともあります。このため、慢性的な睡眠障害を引き起こしやすく、日中の強い眠気や集中力・注意力の低下などがみられるようになり、発達の遅れにつながることもあります。

肥満
肥満:医師が考える...

小顎症

生まれつき顎が小さく形成されている病気ですが、舌が顎の中に納まらない状態になると、就寝中に舌が喉に下がる舌根沈下(ぜつこんちんか)を引き起こします。舌根沈下は強いいびきを引き起こし、肥満と同様に睡眠障害や発達の遅れにつながることもあります。

子どもは喉や鼻の構造が狭く、健康に問題がない場合でもいびきをかくことは多々あります。しかし、中には思わぬ病気が潜んでいるケースもあるため、軽く考えずに必要に応じて病院で治療を受けるようにしましょう。

特に、いびきが強く日中の眠気が強いなど日常生活に支障をきたしている場合、鼻閉や咽頭痛などの身体症状を伴う場合はなるべく早めの受診が必要です。

受診に適した診療科は耳鼻咽喉科や呼吸器科などですが、まずはかかりつけの小児科で診察してもらうこともできます。受診の際には、いつからいびきが生じ始めたのか、日中の様子、随伴症状の有無、現在罹患している病気などを詳しく医師に伝えるようにしましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 寝ているときの呼吸が不規則で、数秒止まることがある
  • 普段から口呼吸をしている
  • 日中の眠気、鼻水、咳などがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 一時的なもので、その後繰り返さない
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。