手のしみ:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
手は常に外界に晒されている部位であり、日常的に多くのダメージを受けています。このため、手にはさまざまな皮膚トラブルが起こり得ます。特に、“手のしみ”はよくみられる皮膚トラブルであり、原因はさまざまです。
これらの症状がみられる場合、どのような原因が考えられるでしょうか。
手のしみは日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされていることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。
手の甲は常に露出した部位であるため、季節を問わず紫外線の刺激を受けやすく、しみの原因になることがあります。
外出時や車の運転時などは手にもしっかりと日焼け止めを塗り、日差しが特に強い日には、UVカット機能のあるアームカバーなどを着用するのも有用です。また、日焼け止めは手洗いなどで落ちてしまうことが多いので、こまめに塗り重ねるようにしましょう。
手は水仕事や家事などによって濡れた状態になりやすく、刺激が強い洗剤などが付着することで炎症を引き起こし、しみを形成することがあります。
水仕事や家事は日常生活上避けることはできないため、行う際には手袋を着用するなどして手を保護するようにしましょう。また、刺激の強い洗剤などの使用を控えることも大切です。
日常生活上の習慣を改善しても症状がよくならないときには、思いもよらない病気が潜んでいる可能性もあります。軽く考えずに早めに病院を受診するようにしましょう。
手は紫外線や洗剤などの刺激性物質に晒される機会が多く、さまざまな皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。なかでも“手のしみ”は美容上の観点でも問題となることが多く、以下のような病気が原因となることもあります。
手を含め、部分的にしみを形成する病気には以下のようなものがあります。
顔や手の甲など、長年にわたって紫外線を浴び続けた部位に発症する皮膚の変化で、皮膚に褐色のしみが形成されます。しみの大きさは数mm~数cmと幅があり、痛みやかゆみなどの症状を伴うことはありません。しかし、長い時間をかけてしみが徐々に盛り上がり、イボのような外観を形成することがあります。
虫刺されややけど、擦り傷などによって皮膚に炎症を起こした部位のメラノサイトが活性化され、メラニン色素の分泌が盛んになることで色素沈着を残す状態をこのようにいいます。
色調は褐色や灰色などさまざまですが、時間の経過とともに自然に治ることも多く、痛みやかゆみなどの症状を伴わないのが特徴です。
皮膚に発生するがんで、黒色腫や有棘細胞がんなど、さまざまなタイプがあります。いずれも早期の段階では皮膚のしみやしこりなどが現れるのみで、痛みなどの自覚症状はありません。進行すると徐々に病変が大きくなり、皮膚に出血を伴う潰瘍や大きなしこりを形成することがあります。
手のしみは、全身にしみが生じる病気の一症状の場合があります。原因となる主な病気は以下の通りです。
常染色体優性(顕性)の遺伝形式を持つ病気で、全身にカフェオレ斑と呼ばれるしみを形成します。そのほか、成長するとともに皮膚、脳や脊髄などに神経線維腫を形成することがあります。しみはミルクコーヒー様の色調で長円形を呈し、痛みなどの症状を伴わないのが特徴です。
皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が乱れると、産生されたメラニン色素の沈着が生じやすくなります。ターンオーバーの乱れは、加齢による生理的な変化や皮膚の再生に必要なビタミン類やタンパク質などの栄養素の極端な不足によって引き起こされます。
栄養不良の原因としては、胃腸炎やがんなどによる栄養吸収障害、神経性食思不振症などが挙げられます。
手のしみは、よくみられる皮膚トラブルのひとつです。しかし、思わぬ病気によって引き起こされていることがあり、早急に治療が必要な場合もあります。
特に、痛みやかゆみなどの症状を伴う場合、皮膚にしこりや隆起した病変がある場合、しみが急激に広がる場合などはなるべく早めに病院を受診するようにしましょう。
受診に適した診療科は皮膚科ですが、何らかの全身症状がある場合はかかりつけの内科などで相談するのもひとつの方法です。受診の際には、いつからしみが目立つようになったのか、しみの誘因、随伴する症状、現在罹患している病気などを詳しく医師に伝えるようにしましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。