手が熱い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

手が熱い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 手の皮膚の腫れ、赤み、痛みなどがあり、急激に悪化している

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 手の皮膚の腫れ、赤み、痛み、発疹(ほっしん)などがある
  • ほかの症状はないが、手の熱さだけが続いており気になる

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 一時的なもので、その後繰り返さない

岡山大学病院 総合内科・総合診療科長/感染症内科長/検査部長、岡山大学学術研究院医歯薬学域 総合内科学 教授

大塚 文男 先生【監修】

かぜなどで体温が上がったときに手が熱いと感じることもよくありますが、手が熱いと感じる原因としてさまざまな病気が隠れている可能性があります。

  • 刺激の強い物質を触った後に手が痛み出し、熱くなってきた
  • 体がほてっているように感じ、手も同時に熱い
  • 緊張しているわけではないのに、手が熱く手汗がでることがよくある

このような場合に考えられる原因としては何が考えられるのでしょうか。また、病院はどのような症状があるときに受診するのがよいのでしょうか。

手が熱い場合に考えられる病気として以下のようなものがあります。

皮膚の病気

手の皮膚に炎症が起こると熱く感じることがあります。たとえば、何らかの刺激物質に触れて生じる“接触皮膚炎”、皮膚の傷口などから細菌が侵入して起こる“蜂窩織炎(ほうかしきえん)”が挙げられます。

いずれの病気も体のあらゆる部位に生じる可能性のある病気ですが、体の中でもよく使う部位である手にみられることもあります。両側の手に生じる場合もあれば、片側の手にのみ生じる場合もあります。

このような病気では、患部の熱感に加えて痛みやかゆみ、腫れ、発赤、発疹水疱(すいほう)などを伴うことがあります。また、蜂窩織炎では重症化すると全身の発熱や悪寒を伴います。

蜂窩織炎
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感染症

かぜなどの感染症にかかると、体内に侵入してきた病原体と戦うために体温を上げて免疫を活性化させます。体温が上昇すると全身が熱くなるのが一般的ですが、手が熱いと感じることもあります。

かぜであれば発熱のほか、咳や喉の痛み、鼻水を伴うことが多く、高熱がでると関節や筋肉が痛くなる場合もあります。

かぜ
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自律神経失調症

自律神経失調症とは、自律神経のバランスが乱れることでさまざまな身体症状を引き起こす病気です。自律神経は生命維持に必要な機能をつかさどる神経系で、交感神経と副交感神経があります。自律神経がうまくコントロールできない状態になると、さまざまな症状を引き起こします。症状は多岐にわたりますが、ほてり、発汗、手足が熱く感じるなど、熱さに関する症状もよくみられます。

ほかの症状として、動悸、息切れ、頭痛、胃痛、腹痛、筋肉痛めまい、吐き気、下痢、喉のつまり感、ふるえ、食欲不振、全身倦怠感などが挙げられます。また、イライラや不安、抑うつ気分、不眠などの精神症状がみられることもあります。

自律神経失調症
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更年期障害

一般的に女性では閉経前後の10年間にあたる45~55歳頃が更年期とされており、更年期障害とは、この期間に生じるさまざまな症状によって日常生活に支障をきたす状態を指します。男性にも更年期があり、男性の更年期障害は一般的に40代頃から徐々に増えてくるとされていますが、個人差が大きいといえます。

女性も男性も主にホルモンの減少が関係し、代表的な症状はホットフラッシュ(微熱、のぼせ、ほてり、発汗)です。一般的に顔や上半身全体が熱くなりますが、手が熱いと感じることもあります。

症状の程度や種類は個人差が大きいですが、身体症状としては疲れやすい、肩こり、腰痛、手足の痛み、腰や手足の冷え、頭痛めまい、吐き気、息切れ・動悸などがみられます。また、精神症状としてはイライラしやすい、不安、抑うつ、不眠、記憶力・集中力の低下なども現れます。男性では性欲や勃起力の減退が起きることもあります。

更年期障害
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甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症とは、体の代謝に関与する甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンの作用によって新陳代謝が活発になり、体温が上昇して手が熱いと感じる場合もあります。

疲れやすい、食べているのに痩せやすい、不眠、動悸、発汗、下痢、手指が小刻みに震える、毛が抜けやすいなどの症状がみられることもあります。首の前側が腫れることも多く、女性特有の症状としては生理不順が生じることもあります。

甲状腺機能亢進症
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上記は手が熱いという症状で比較的みられやすい病気ですが、まれな病気としてがんや自己免疫疾患があります。

がん

がん(悪性腫瘍(あくせいしゅよう))が作り出す炎症性サイトカインという物質の影響で発熱が起きることがあります。これを“腫瘍熱”といい、発熱によって手が熱く感じる場合があります。特にリンパ系の腫瘍では、発熱が見られやすくなります。

そのほかの症状はがんが生じた部位によって異なりますが、全身症状としては体のだるさ、疲れやすい、体重の減少などがよくみられます。

自己免疫疾患

病原体や腫瘍などの異物から体を守るはずの自己免疫が、何らかの原因で自分の体を攻撃してしまう病気を自己免疫疾患といいます。

自己免疫疾患のうち、全身性エリテマトーデス、全身型若年性特発性関節炎、高安動脈炎、結節性多発動脈炎などでは発熱が生じ、それに伴って手が熱いと感じる場合があります。

そのほかに家族性地中海熱という病気の可能性もあります。家族性地中海熱でも持続する発熱・高熱に伴って手が熱くなることがあります。

自己免疫疾患
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全身性エリテマトーデス
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結節性多発動脈炎
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家族性地中海熱
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更年期の方、発熱や咳などかぜと思われる症状がある場合には様子をみて、症状がひどくなったり長引いたりした場合に内科や総合診療科を受診するのがよいでしょう。

手の熱さに加えて痛み・かゆみを伴う湿疹がある場合、けがをした手が熱い場合、手が熱いためによく眠れない場合などには早めに皮膚科や内科などを受診するとよいでしょう。

手が熱いという症状は日常生活でもよくみられます。主な原因としては以下のようなものがあります。

精神的な緊張やストレスで手が熱くなることがあります。これには自律神経が関係していて、自律神経が乱れ血管が拡張することで顔のほてりや手が熱くなる、発汗などの症状が出現します。反対に血管が収縮して血液の循環が悪くなり、手が冷たくなることもあります。

緊張を感じたら

緊張を感じたときには、深呼吸が効果的です。不安なときや緊張しているときには呼吸が浅くなりがちですが、そのようなときは呼吸を意識し、ゆっくりと大きく深呼吸をしてみましょう。深呼吸をすることで、リラックスすることができます。

精神的な緊張やストレスなどへの対策を行っても手が熱くなる症状が治まらず、さらに日常的に症状が続くようなら一度病院を受診することを考えましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。
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