概要
かぜとは、自然に治癒する上気道のウイルス感染症のことです。上気道とは喉と鼻、肺の手前にある気管支といった空気の通り道のことを指します。かぜ症候群と呼称される場合もあります。
かぜを引き起こすウイルスが上気道各部位に感染することで炎症が起こり、鼻であれば鼻水、喉であれば喉の痛みや声枯れなど特有の症状が現れます。
かぜは、基本的には安静を保つことで自然回復する病気です。ウイルスに対する特効薬は存在しないため、解熱鎮痛剤や去痰剤など症状にあわせて対症療法を行うことが治療の基本となります。
数日の経過で軽快するかぜですが、肺気腫や喘息などを有する方がかかると基礎疾患の症状増悪をみることもあります。そのため、かぜをひかないように手洗いやうがいを徹底し、感染予防策を講じることも大切です。
原因
かぜは、飛沫感染や接触感染によりウイルスが体内に侵入し増殖することで発症します。かぜを引き起こすウイルスとしては、ライノウイルス・コロナウイルス・RSウイルス・アデノウイルス・コクサッキーウイルス・エコーウイルス・パラインフルエンザウイルスなどがあります。
このように多くのウイルスがかぜの原因として知られていますが、もっとも頻度が高いのは「ライノウイルス」であり、およそ半分を占めています 。ライノウイルスに次いで多いのは「コロナウイルス」で、かぜの10~15%ほどを占めます。ライノウイルスは春と秋、コロナウイルスは冬に流行する傾向があり、通年性にかぜをひく機会があるともいえます。
ウイルスによって症状の起こる頻度や種類はさまざまですが、特に特徴的なもののひとつとしてRSウイルスを例に挙げることができます。RSウイルスは鼻かぜの原因となる非常にありふれたウイルスですが、患者さんによっては重症化することが知られています。具体的には、心臓や肺に特殊な病気を持つお子さんなどが感染した場合に鼻かぜ程度ではおさまらず、人工呼吸管理を要するほどの呼吸状態の増悪する可能性もあります。
症状
かぜに関連したウイルスは上気道(鼻や咽頭など)に炎症を引き起こすため、感染部位に応じた症状が出現します。鼻であれば鼻水や鼻づまりが生じますし、喉であれば咽頭痛や声枯れなどが出現します。しかし、上気道全体に炎症を起こすこともあります。その際には、鼻水や鼻づまり、咽頭痛、咳、痰などが同時に出現することになります。
鼻水、のどの痛み、咳、発熱、くしゃみなどを特徴とするかぜですが、これらの症状はウイルス以外の呼吸器の感染症など、他の病気でもみられることがあります。かぜは自然によくなるという特徴を持っており、症状が長引く場合は、他の病気の可能性も考えられます。
検査・診断
かぜの診断には、発症に至るまでのエピソードを明らかにすることが大切です。ウイルスごとに典型的な経過があるため、症状の出方・周囲の感染状況・既往歴などを総合的に加味して、かぜかどうかを判定します。また同時に、かぜらしくない症状の有無(たとえば、発熱期間が想定されるよりも長い)を確認し、細菌感染症が隠れていないかどうかなどを判定することも大切です。
エピソードから疑われるウイルスが想定される場合に、迅速検査が適応になることもあります。RSウイルスやヒトメタニューモウイルスなどでは、鼻から採取された拭い液を利用した迅速検査がおこなわれることがあります。
治療
基本的には自然治癒が見込める疾患であり、また、ウイルスに対する特効薬も存在しません。そのため、治療の基本は対症療法になります。発熱や咽頭痛に対しては解熱鎮痛剤が、痰に対しては去痰薬が使用されます。こうした薬剤を内服しつつ、脱水にならないように水分を補給しながら、栄養・睡眠をしっかり取り休息を図ることが重要です。
良好な経過をたどることの多いかぜですが、患者さんがもつ病気によっては基礎疾患の増悪がみられることがあります。たとえば、肺気腫や喘息を抱える患者さんにおいては、かぜをきっかけに呼吸状態が増悪し、酸素療法や吸入薬、ときに人工呼吸管理が必要になることもあります。
ウイルスによっては予防を目的とした注射が適応になることもあります。RSウイルスはかぜの原因ウイルスのひとつですが、心臓や肺に持病があるお子さんや早産児などでは重症化が懸念されます。そのため、毎月一回、RSウイルスの流行時期に合わせて予防のための注射を行います。かぜは、基本的には予後良好な疾患ですが、手洗いうがい、マスクの着用などを徹底して感染を予防することも大切です。
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