耳が臭い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
帝京大学医学部附属溝口病院 耳鼻咽喉科 教授/科長
白馬 伸洋 先生【監修】
普段あまり感じることはないかもしれませんが、耳から普段と違う不快な臭いがしたとき、何か病気なのではないかと気になってしまうこともあるでしょう。
このような場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
耳が臭いときには外耳道や中耳といった部分に問題があることが多く、主に以下のような病気が考えられます。
外耳道とは耳の穴から鼓膜までの部分です。この部分が、さまざまな細菌によって炎症を起こすのが外耳道炎で、泳いだあとによくみられることからスイマーズイヤーとも呼ばれます。綿棒や耳掻きでの耳掃除などで外耳道を傷つけたり、耳栓や補聴器などを使用したりしていることも外耳道炎にかかりやすくなる原因です。
主な症状は痛み、赤み、耳だれで、耳だれは白や黄色で不快な臭いがします。外耳道が腫れることもあり、その腫れや分泌物のかすなどで外耳道が詰まっていると聴力が低下することもあります。
外耳湿疹とは、外耳道に湿疹ができている状態で、綿棒での耳掃除などの刺激がきっかけとなって起こります。
主な症状は耳のかゆみで、初期の湿疹はすぐに治りますが、掻き過ぎると余計にかゆみが増すので注意が必要です。繰り返すと水のような浸出液が出たり、皮膚が傷ついた部分が細菌に感染して外耳炎が生じ、耳から不快な臭いがしたりすることもあります。
耳の鼓膜と内耳の間の部分を中耳とよび、細菌やウイルスなどで炎症を起こしたものが中耳炎です。中耳炎の中でもっとも多いのが急性中耳炎で、中耳に膿がたまることで鼓膜が圧迫されて耳の激しい痛みや発熱などが生じます。聞こえの悪さや耳がつまったように感じることもあり、鼓膜が破れて黄色くて臭い粘り気のある耳だれが出てくることもあります。
また、滲出性中耳炎という痛みのない中耳炎もあります。急性中耳炎の後などに鼓膜の内側に貯留液が残る病気で、聞こえが悪くなるのが特徴です。
乳児の場合、急性中耳炎では機嫌が悪くなってぐずるなどしますが、滲出性中耳炎では気づきにくいことがあるので注意しましょう。
外耳道炎の一種で、真菌(カビ)の感染によって外耳道に炎症を起こしたものを外耳道真菌症といいます。主な症状は痛みやかゆみ、耳が詰まったような感覚、不快な臭いなどで、通常、痛みよりもかゆみが強く現れやすいのが特徴です。真菌の種類によっては、綿のような真菌の胞子に囲まれた灰色や黒、黄色の点を生じるものや、粘度のある乳白色の分泌物が出てくるといった特徴をもつものもあります。
耳からいつもと違った臭いがするときや、気になる耳の臭いが続くとき、耳の臭い以外に痛みやかゆみ、耳だれ、発熱など気になる症状があるときなどは一度、病院を受診することを考えましょう。耳の臭いでは、外耳道や中耳など耳の内部に病気があることが多いので、耳鼻咽喉科などの専門家への受診が適しています。
受診の際には、医師にいつから耳の臭いが気になり始めたのか、痛みやかゆみなどの他の気になる症状などについて伝えましょう。耳の臭いが気になり始めた頃に風邪をひいたなど心当たりがあれば、あわせて伝えると診断の役に立ちます。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。