甲状腺がんには乳頭がんや濾胞がんなどいくつかの種類があります。そのなかで日本人に最も多い甲状腺がんが乳頭がんです。近年、検査精度の向上によって、以前は発見できなかった甲状腺がんを見つけることが可能になってきています。本記事では、甲状腺がんの種類や検査について、日本医科大学付属病院 内分泌外科 部長 杉谷巌先生にお話しいただきました。
甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」(甲状軟骨)のすぐ下にある重さ10〜20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。羽を広げた蝶々のような形で、右葉と左葉からなり気管を取り囲むように位置しています。甲状腺がんは甲状腺をつくっている細胞ががん化して悪性の腫瘍(しゅよう)となったものです。甲状腺がんは、1000人に1人前後の割合で発症するとされています。
甲状腺がんの種類には次のようなものがあります。
日本では、甲状腺がんの大半は乳頭がんです。
甲状腺がんにはヨウ素の摂取量が関係しているとされ、海藻類を日常よく食べる日本では乳頭がんの頻度が高く、一方で未分化がんや濾胞がんのような治療の難しいがんの頻度が少なくなるといわれています。国によってそれぞれの種類が占める割合は異なります。
甲状腺がんの自覚症状には、次のようなものがあります。
2~4は甲状腺の周囲にある声帯や気管、食道にがんが食い込んでしまうことで現れます。最近では自覚症状がなく、超音波検査(エコー)などによる検診で、偶然発見されるケースが増えています。
甲状腺がんの検査には次のようなものが挙げられます。
甲状腺がんの罹患率はアメリカ、韓国など先進国では増加傾向にあります。しかしその中で増えているのは乳頭がんであり、濾胞がんやその他のがんは横ばいです。また乳頭がんを取り上げてみても、増えているのは2cm以下の小さな乳頭がんなのです。
しかし、これは乳頭がんの発生が実際に増えたことを意味するのではないといわれています。がん検診の機会が増えたことや超音波検査などの検査の精度が上がったことで、これまで見つからなかった小さながんまで見つけられるようになったと考えられるためです。
次の記事から、乳頭がんが怖くないといわれる所以について述べていきます。
日本医科大学 大学院医学研究科 内分泌外科学分野 大学院教授、日本医科大学付属病院 内分泌外科 部長
関連の医療相談が15件あります
甲状腺がん(乳頭がん)について
妻が今年1月に甲状腺がん(乳頭がん)と診断されました。発見された悪性腫瘍の大きさは4mmでしたので主治医の先生からは3ヶ月おきに定期検査して、腫瘍が大きくなったら治療〜手術の検討の必要があるが現状では投薬、手術は行わない場合が多いと仰られました。腫瘍は大きくならないケースもあるとのことでしたので少し安心しましたが、悪性腫瘍があるのに治療や手術をしないで経過を診るのは不安が残ります。主治医の先生が仰られているとおりに考えても宜しいでしょうか。
手術後の生活について
甲状腺全摘後にホルモン剤を飲む事になりますが、疲れやすい、体力の減退などがおこると聞きました。仕事も体力を使う仕事です。夜勤もあります。これまでのように生活が可能でしょうか?
数値から見た腺腫様甲状腺腫の悪性の可能性
先日、健康診断結果で左葉)腺腫様甲状腺腫(疑い)要精密検査と診断されました。 色々なサイトを見ましたが全体的に低い場合の症状の記載が無く、一応基準内の数字ではあるようですが精密検査の扱いになった事もあり不安は残ります。 全体的に甲状腺機能低下症の太りやすい、寒がり、浮腫みといった症状は感じています。 全体的に低い数値から悪性の可能性は考えられるのでしょうか。 2018年度 TSH 0.650 FT4 1.14 FT3 2.69 2017年度 TSH 1.060 FT4 1.27
甲状腺癌の手術の方法について
妻が甲状腺癌と診断されました。全摘出術を勧められたようです。私は診察に付き添っていないので彼女から話を聞くだけなのですが、まだ意思を決めていないのにどんどん手術前の検査等の予約をされているようです。幸いガンは初期で小さいようです。であれば、リンパ節等もとってしまうと後でいろいろと不都合があるらしいので、妻も最小限の手術にしたいと言っています。都内に住んでいます。どこか良い病院を教えていただけないでしょうか。もしくは治療法と先生のお名前だけでも構いません。無理かと思いますが、よろしくお願いします。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「甲状腺がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。