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インタビュー

妊娠高血圧症候群の検査と診断とは?

妊娠高血圧症候群の検査と診断とは?
成瀬 勝彦 先生

奈良県立医科大学 産婦人科学教室講師/産科医長

成瀬 勝彦 先生

妊娠高血圧症候群の検査は血圧の測定が第一ですが、病態の進行具合によって治療方法も異なってきます。妊娠高血圧症候群の検査・診断・治療について、奈良県立医科大学 産婦人科学教室講師/産科医長の成瀬勝彦先生に詳しくご解説いただきました。

妊娠高血圧症候群の検査の基本は、血圧測定と尿検査による尿中蛋白の測定です。

約6時間以上の間隔をあけて、2回以上収縮期血圧が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上、またはその両方の場合高血圧と診断されます。

また、妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧と診断された場合(または高血圧に蛋白尿が伴っている場合)、妊娠高血圧症候群と診断されます。

一方、通常の妊婦健診での尿蛋白測定はテステープ(尿検査用のリトマス紙のようなもの)で行われることが多いですが誤差が大きく、正確な測定には24時間蓄尿(24時間のうち排泄された尿をすべて溜めておき、尿の送料や農中成分を調べる検査)が求められます。

軽症の妊娠高血圧症候群では、原則的に薬物治療はしません。安静の指示や外来での食事制限、塩分制限などの治療が中心です。重症以降の患者さんには、これらに加え、降圧薬の投与などで治療を行います。

治療の最大の目的は、脳血管障害の予防です。下の図のとおり、妊婦が死亡する原因は脳出血脳梗塞が18%を占めており、これを引き起こさないために降圧剤の投与などが行われます。最も多い母体死亡の原因は産科危機的出血ですが、これは出血が発生した場合の対策が十分考えられており、発生しても適切な対処で危機を脱することのできる可能性があります。しかし、脳出血などの脳血管障害は一度起こしてしまうと止めることが困難です。そのため、脳血管障害をあらかじめ防ぐ降圧治療が必要となります。

具体的な治療方針や薬剤の種類は、妊婦さんの重症度(詳細は『妊娠高血圧症候群とは? 原因と予防法』)や妊娠高血圧症候群と診断された際の妊娠週数、赤ちゃんの状態により異なります。

妊娠を希望する妊婦さん・またはすでに妊娠している妊婦さんは、血圧を140/90mmHg未満にすることが必要です。妊娠時に使用できる降圧剤は、ヒドララジン、ニフェジピン、ニカルジピン静注、メチルドパ、ラベタロール(α/β阻害薬)、ニトログリセリンがあります。これに加えて、硫酸マグネシウムは子癇『妊娠高血圧症候群の症状。重篤な合併症が起こる可能性も』参照)予防に用いられる唯一の特効薬です。

多くの場合、第一選択薬はメチルドパですが、これだけでは血圧が下がりきらない場合、ヒドララジンやラベタロール、ニフェジピン(妊娠20週以降の妊婦にのみ適用)を追加することがあります。

それでも症状が改善しないときには入院が必要となることもあります。重症の場合、入院して降圧剤や子癇予防のための点滴を行い、それでも改善が見られないなら、帝王切開あるいは陣痛誘発で赤ちゃんをお腹から出したあとで、母児双方の治療を目指すケースもあります。

ただし、早発型の重症妊娠高血圧症候群で赤ちゃんの発育が遅れている場合、赤ちゃんを娩出したところで未熟性による脳性麻痺が残ってしまう確率が高まりますし、かといって分娩時期を逃せばお母さん側が脳血管障害や腎不全を引き起こしてしまう可能性が上昇するだけでなく、産まれてくる前に赤ちゃんが亡くなってしまう危険すら考えられます。私たち周産期医は、この境目をしっかりと見極めていかなければなりません。

家庭で定期的に血圧を測るようにしましょう。また、安静を心がけることも大切です。

なお、妊娠高血圧症候群はその後の生活習慣病に関係が深いと考えられています。通常に分娩をした方と比較しても、数十年後の脳血管疾患や糖尿病脂質異常症、腎疾患などが見つかることが多いという結果が報告されています。そのため、妊娠高血圧症候群と診断されたら、妊娠期はもちろんお産後も食事や生活習慣を十分に管理することが大切です。カロリーや塩分の管理、適度な運動を心がけましょう。

また、ストレスをためすぎないよう、常にリラックスできる方法をひとつ持っておくとよいでしょう。音楽なども効果的です。

 

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