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子癇とは?〜きっかけとなる病気と症状〜

子癇とは?〜きっかけとなる病気と症状〜
三島 みさ子 先生

河北総合病院 産婦人科 部長

三島 みさ子 先生

目次
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子癇(しかん)妊娠末期や分娩後数日以内に発症する危険な病気のひとつです。ここでは子癇とはどのような病気なのか、子癇の原因や症状、対処方法についてご紹介します。

子癇とは主に妊娠20週以降にはじめて起きるけいれん発作(てんかんや二次けいれんではないもの)のことで、初産婦(初めて妊娠、分娩する女性)や若い妊婦、妊娠高血圧症候群の人に多いといわれています。その症状から、てんかんと混同されることがありますが、子癇とてんかんは別のものです。子癇はどのような原因で発症するのか、その明確なメカニズムは解明されていません。

子癇の発生時期について調査したところ、

妊娠:17%

分娩期:40%

産褥*:43%(このうちのほとんどが産後1週間以内)

に生じるというデータが出ました(2013年)。大半が分娩中・産後に子癇を起こしたことを考えると、妊娠高血圧症候群と診断された方は産後しばらくの間は注意が必要といえるでしょう。

*産褥期:産後6週間(〜8週間)

妊娠高血圧症候群(PIH)管理ガイドラインでは、妊娠高血圧症候群について

妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧が見られる、または高血圧に蛋白尿を伴う場合かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものでないもの

と定義しています。

具体的には、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の状態(160/110mmHg以上は重症)が続くと妊娠高血圧症候群と診断されます。

妊娠高血圧症候群は、放置すると母親だけでなく胎児も重篤(じゅうとく)な合併症を引き起こす可能性が高いにもかかわらず、自覚症状に乏しいことがあります。そのため、妊婦健診で血圧を測って初めて、血圧が高いことに気づくこともあります。

子癇の代表的な症状は、全身のけいれんと意識消失発作です。突然、前触れもなく発症するケースもありますが、発作の前兆となる症状が見られるケースもあるため、次のような症状が見られる場合は注意が必要です。

  • 血圧の上昇:SBP(収縮期血圧)>140mmHg尿量の減少
  • 急激な尿蛋白増加

これらは非常に危険なサインですので、当てはまる場合は急ぎの受診が必要な場合があります。また、次のような身体症状が現れることもあります。

脳神経症状とは、脳や神経系統に起きたトラブルによって生じる症状のことです。子癇では全体の80%近くの方に生じるとされています。

  • 頭痛
  • 頭が重い感じ
  • 不穏状態:興奮して大声で叫んだり暴れたりする状態
  • 眼華閃発(がんかせんぱつ):視界に現れる花火のようなキラキラした光
  • 視力低下
  • 複視:ものが二重に見える
  • 眼球振(がんきゅうしん)とう:自分の意思とは無関係に眼球が揺れるように動いてしまう状態
  • 心窩部痛(しんかぶつう):みぞおちあたりの痛み
  • 悪心(おしん):吐き気
  • 嘔吐

こうした症状が突然現れた場合は、放置せずに病院での相談を検討しましょう。

どの症状も、単体ではよくある不調として捉えられがちですが、妊娠中はささいな不調が思わぬ事態を招くこともあります。母体のためにも胎児のためにも、ちょっとした不調であってもしっかり対処するようにしましょう。

子癇の予防や発作を鎮静させるために、硫酸マグネシム製剤の点滴が使用されます。これは使用方法に注意が必要な薬剤のため、医療機関で医師の管理の下でしか使われることはありません。

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