平成28年4月15日、熊本県熊本地方に発生した最大震度7の地震では、被害にあわれました方々に心からお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧をお祈りいたします。
弊社サイトでは、災害時のお子さんのアレルギーの対応について基礎的な内容を配信しています。ぜひご覧ください。
日本小児アレルギー学会では、被災時の小児のぜん息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎食物アレルギーなどのアレルギー疾患について相談窓口が設けられています。ご相談のある方は、下記のメールアドレスをぜひご利用ください。
※必ず、氏名、年齢、性別、住所、電話番号を記入
※メールの相談内容を相談医に報告。その後、記載された番号に直接担当相談医からメールに返信、電話がかけられます。
また、学会で作成している医療者向け「災害派遣医療スタッフ向けのアレルギー児対応マニュアル」と医療者・一般向け「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット」は冊子送付が可能とのこと。必要な場合、希望部数等を事務局(E-mail:office@jspaci.jp Tel:03-6806-0203)に連絡してください(数に限りがあるようです)。上記パンフレットとマニュアルは学会HPからもダウンロード可能。
●災害時の子どものアレルギー疾患対応パンフレット
http://www.jspaci.jp/modules/gcontents/index.php?content_id=4
●災害時の子どものアレルギー疾患対応パンフレット(英語版)
English version―Dealing with Allergy Ailments in Children during Disasters―
http://www.jspaci.jp/modules/gcontents/index.php?content_id=7
●災害派遣医療スタッフ向けのアレルギー児対応マニュアル
http://www.jspaci.jp/modules/gcontents/index.php?content_id=11
●いつもと違う環境のせいで咳が出やすくなり、ぜんそく発作が起きやすくなる。寝具のホコリ、たばこ、たき火、動物、がれき撤去で発生する粉塵などに特に注意を。
●枕や布団の襟元など、顔があたる場所にキレイなタオルをあてておくとホコリの吸い込みを防ぎやすくなる。ダニ防止シーツがあれば優先して支給、可能ならばなるべく新しい寝具を支給。快晴の日は寝具を外で干す。ホコリが舞わないよう寝具の扱いにも注意。
●がれきの近くは有害な粒子が飛ぶ可能性があるため、必ずマスク着用が望ましい。
●動物が近くにいる場合、少しでも症状があらわれたら離れるよう促す。
●器械による吸入は1日に1~2回、発作の場合は随時必要。避難所で優先的に電源の使用ができるような環境づくりに協力を。電動のネブライザーが使えない場合、子どもにはエアゾールタイプの吸入薬よりもスペーサーという吸入補助具を使う方が吸入しやすくなる。もしスペーサーがない場合、底に穴をあけた紙コップがスペーサー替わりになる。
●ぜんそくを持っていると発作でなくとも夜中に咳き込み、急に泣き出すことがある。
●予防薬や発作時の薬がなければ処方してもらう必要がある。
●ぜんそくの発作が出た時は、水分を飲ませてゆっくり呼吸するよう促し、発作時に使う薬(吸入・内服)を使い、もたれかかる姿勢で休ませる。顔色が悪い・唇が紫色・仰向けに眠ることができず座り込んで苦しそうにしている・苦しくて何度も目を覚ますなどの症状がある場合は早急に医療機関の受診が必要。強い発作の時は救急の受診が必要。
●周囲の方は近くにその様なお子さんがいる場合、理解、配慮を示すだけでも助けになる。
●アトピーは、重症でも決して他の人にうつらない。一緒に遊ぶ、同じ場所でのシャワー、同じ浴槽での入浴でもうつらない。
●かゆみをともなった湿疹、赤くなりジクジクしたぶつぶつ、皮がむけてかさぶたになるなどの症状がある。
●シャワーや入浴で皮膚を清潔に保つことはとても大切。避難所では、優先的にシャワーや入浴が利用できるよう協力を。できれば毎日石けんを使いよく洗い流すことが望ましい。石けんはなるべく防腐剤や香料が無添加のものを使えるよう配慮を。石けんなしのシャワー浴だけでも十分な効果あり。汗をかいたら早めに洗い流すとより効果的。
●シャワーや入浴ができない場合、熱すぎないお湯でぬらしたタオルで全身の汗やホコリをやさしく押し拭きする。乾燥しないうちに早めに塗り薬をつける。市販のウエットティッシュやおしり拭きは香料やアルコールなどで肌を荒らすことがあるため、いったん肌の一部で試し大丈夫であれば使用する。
●シャワーや入浴ができない日が続くと状態が悪くなるので、普段からステロイド入りの塗り薬を使っている人はいつもより強めのステロイドを使うこともよい。適切なスキンケアや治療ができていれば、元の塗り薬に戻したり始めたステロイドを中止することは可能なため、いつもは保湿用の塗り薬で十分な人も悪化しないよう早めにステロイド入りの塗り薬を使うことが推奨される。
●手元にステロイド入りの塗り薬がない場合、可能ならば医師に相談を。同程度の強さや効果をもつ薬の代用でもよい。ただし市販の保湿用塗り薬は肌に合わないことがあるため、肌の一部で試し大丈夫であれば使う。
●肌の手入れが不十分なうえストレスや体調不良が加わると、かゆみが強くなる場合がある。その場合は冷たいタオルなどで患部を冷やすと一時的に楽になることがある。長時間は避け、小さい子供は体が冷えないよう注意する。遊びなどに集中させてかゆみから気をそらせるのもよい。あらゆる対策をとっても症状が悪化し眠れない状態が続く場合は入院治療が望ましい。係りの人に相談を。
●緊急時や避難所では肌の手入れや薬の塗布が不十分になりやすいため皮膚の状態が悪化し昼夜を問わずかゆみが強くなる。ずっと体をかき続けたり夜泣きなども増えるができるだけ理解を。また、アトピーの子どもの優先的なシャワーや入浴は「治療」であるため理解を。
●食物アレルギーの症状は、じんましん、かゆみ、咳、ゼーゼー(喘鳴)、息苦しさ、嘔吐など。
●アレルギーの原因食物を避けるために支援食の包装にある食品表示に注意。鶏卵、乳、小麦、ピーナッツ(落花生)、ソバ、エビ、カニの7品目以外で、少量の混入で記載されないものがあるため注意が必要。また、炊き出しの材料を調理する方に確認するのもよい。
●炊き出しの際は常に「食物アレルギーの方はいませんか?」と確認し、患者さんやご家族による“食材の問い合わせ”には正確に答える。ただし大量に調理する炊き出しは個別の対応が難しいため、子どものご家族が調理できる状況であれば個別調理を認め食材を分けてあげることが望ましい。また、“鶏卵・牛乳・小麦アレルギー”の患者さんがいる場合これらをできるだけ使わない工夫を。
●アレルギー対応食やアレルギー用ミルクの支援があれば、食物アレルギーの子どもを優先できるよう早めに係りに相談。周囲も気にかけ配慮を。また、子どもは自分が食べられないものを理解していないことがあるため、子どもにお菓子や食べ物をあげる時は必ず食物アレルギーがないか確認を。子供を世話する係りの方は「食物アレルギーサインプレート」などを子供につけて周囲に伝えるのもよい。
●災害時は食物アレルギーの“予測不可能な誤食事故”が起きやすくなる。症状の強さにあわせて迅速かつ適切な対応を。
●食物アレルギー症状の多くは、原因食物を食べてから“直後~30分以内”“にあらわれる。
【軽症】部分的なじんましん・かゆみ・弱い腹痛・吐き気・弱い咳・鼻水
対応…進行がないか経過を注意深く観察し、抗ヒスタミン薬があれば内服させてください。
【中等症】全身のじんましん・強いかゆみ・明らかな腹痛・嘔吐・強い咳・元気がなくなる
対応…速やかに医療機関を受診できるよう手配を。
【重症・ショック】全身のじんましん・強いかゆみ・強い腹痛・繰り返す嘔吐・下痢・喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)・ぐったり・意識低下・意識消失・失禁など
対応…大至急、医療機関を受診させる。可能ならば救急車の手配。患者に処方されているアドレナリンがあれば速やかに注射。
国立病院機構三重病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。