院長インタビュー

「エキスパートが集う病院 同愛記念病院(東京都墨田区)の取り組みと今後の展望」

「エキスパートが集う病院 同愛記念病院(東京都墨田区)の取り組みと今後の展望」
土屋 正光 先生

同愛記念病院 院長

土屋 正光 先生

この記事の最終更新は2017年06月05日です。

社会福祉法人同愛記念病院財団同愛記念病院は、墨田区の東部において、地区の総合基幹病院の役割を担っています。また、さまざまな診療科が垣根を越えて患者さんを紹介し合い、複数の疾患をお持ちの方でも、すべての治療が院内で完結する医療を提供しています。

今回は、同愛記念病院の院長である土屋正光先生に、病院の成り立ちから各診療科の特徴、今後どのような病院にしていきたいかを中心にお話しをうかがいました。

同愛記念病院 外観2

同愛記念病院より提供

同愛記念病院は1923年の関東大震災の際に、米国で米国赤十字社が中心となり集められた義援金により、1929年に開院しました。第二次世界大戦の後、一時的に米陸軍病院となりましたが、1956年に再開され現在に至ります。

震災の義援金で設立されたという歴史のある病院ですので、年に1度、必ず防災訓練を行うなど、災害の対策にも努めています。

ドクターが数名で笑っている画像

同愛記念病院には、常勤の医師が89名、そのうち55名の医師が専門医(特定の分野において高度な知識や技術を保有しているとして各学会が認定した医師)です。そのため、各診療科で、高度で専門的な医療を提供しています。なかでも、病院の中心となっている診療科は、循環器科、泌尿器科、整形外科です。

同愛記念病院の循環器科では、高血圧狭心症不整脈慢性心不全心筋症末梢動脈疾患、静脈疾患、肺血管疾患など循環器疾患全体の治療を行っています。また、東京都CCUネットワーク*加盟施設として、心血管疾患の救急患者さんを24時間365日受け入れています。

*東京都CCUネットワークとは、急性心血管疾患の患者さんに対して、施設への迅速な運搬と治療を目的として、1978年に東京都が組織したものです。

そして、心血管カテーテル治療にも力を入れており、狭心症や心筋梗塞などの疾患に対して、年間数多くのカテーテル治療を行っています。2016年の急性心筋梗塞患者受入数は都内11位です。

同愛記念病院には、ロボット支援手術ダビンチに対し高度な技術を保有する医師が在籍しています。そして、国内ではまだ限られた施設でしか行われていない、前立腺がんや腎部分切除術のダビンチ手術を実施しています。ダビンチ手術は、今まで困難とされていた角度の視野が確保できるなどといった利点があります。また、出血が少なく、術後の傷も小さい低侵襲な手術のため、術後の早期の社会復帰が可能です。

病院全体としては、今後、婦人科などの手術でもダビンチを活用していきたいと考えています。

同愛記念病院の整形外科には、関節に関する専門医が集まっています。そのため、関節を負傷することの多い、スポーツ傷害(運動による外傷や障害の総称)を患う患者さんの治療も積極的に行っています。現在は、北海道日本ハムファイターズ(日本のプロ野球チーム)のチームドクターを務めており、サッカーやアメフトチームなどの遠征や合宿に同行する医師もいます。

また、両国という土地に位置しているということもあり、力士の膝の靭帯再建術などの手術も行っています。力士の方々の治療を行っているという点は、他の病院ではなかなかみられない、同愛記念病院ならではの特徴です。

同愛記念病院 外観1

同愛記念病院より提供

現在、同愛記念病院から地域の診療所やクリニックへ、患者さんを逆紹介する流れがスムーズに行えていません。同愛記念病院での高度な医療が必要な患者さんには、もちろん丁寧に治療をします。しかし薬の内服や、注射を行うのみでよい程までに病状が回復された患者さんには、同愛記念病院での医療が必要な症状の重い患者さんのためにも、地域の病院やクリニックに移行していただきたいのです。当院では提携先の診療所・クリニックとも密な連携をとっており、患者さんの状態などもしっかりと連絡をしています。

もちろん、私たちが回復された患者さんを見捨てる、ということは決してありません。もちろん気になることがあれば当院を受診していただければと思います。

現在、同愛記念病院では、新棟を建てる企画をしています。そして、新棟が建ったあかつきには、患者さんのためのサポートセンターを作りたいと考えています。患者さんサポートセンターとは、患者さんが入院するときから退院までをサポートするソーシャルワーカーや、事務職員など様々な職種のスタッフを一か所に集めたものです。

現在、そういったスタッフは院内のさまざまな場所で仕事を行っています。彼らが一か所に集まることで患者さんへの説明やサポートもスムーズに行えるようになることが期待できます。

気管支喘息食物アレルギーアトピー性皮膚炎アレルギー性鼻炎などのアレルギーをお持ちの患者さんは、自己判断で治療をせず、重症化してから病院に来られる方も少なくありません。また、地域によっては、アレルギー疾患の専門的な治療を受けられる病院が少ないという問題もあります。

そのような背景から、全国どこでも適切なアレルギーの治療が受けられる体制を作っていくために、アレルギー疾患対策基本法が2014年に成立しました。そして、この地区東部のアレルギーセンター病院として、同愛記念病院にこの機能を設置したいと思っています。

現在でも、各診療科にはアレルギー疾患に対する専門医が所属しています。アレルギーセンターでは、そうした院内にいる専門医を集め、アレルギーで来られた患者さんを各分野に振り分けながら、高度な治療を提供していこうと考えています。

近年は、小学校の給食で食物アレルギーをもった児童への対応が問題になるなど、アレルギーへの関心が高まってきています。アレルギー疾患は、今後より注目されていく分野です。

土屋正光先生

同愛記念病院は、患者さんの信頼があったからこそ、長い間病院を続けることができました。これからもすべてのスタッフが患者さん中心の医療を提供していきます。

また、同愛記念病院には優秀な専門医が多数在籍しています。そのため、ぜひ、研修医などの若い医師たちにも興味を持ってもらい見学などに来てもらえる病院にしたいと考えています。

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