院長インタビュー

患者さんにも職員にも高品質な環境・医療を届け続けてきた、ひたちなか総合病院の豊富な魅力

患者さんにも職員にも高品質な環境・医療を届け続けてきた、ひたちなか総合病院の豊富な魅力
吉井 慎一 先生

株式会社日立製作所ひたちなか総合病院 院長、泌尿器科主任医長

吉井 慎一 先生

 

茨城県北部に位置する株式会社 日立製作所 ひたちなか総合病院の歴史は、株式会社日立製作所の企業病院として1945年に始まりました。現在では、人口20万人以上が暮らす常陸太田・ひたちなか医療圏の地域医療を支えています。茨城県は人口あたりの医師数が全国で2番目に少ない県とされています。そのなかでも茨城県常陸太田・ひたちなか二次医療圏はその割合がもっとも低く、全国平均を大きく下回っている状況です。同院は、ひたちなか市・東海村地区唯一の総合病院として限りある医療資源を有効活用し良質な医療を提供してきました。「相手志向で考える」ことをモットーにしている、同院の取り組みについて院長である吉井慎一先生にお話を伺いました。

 

少ない医療資源のなかで基幹病院としての役割を果たす

同院は、少ない医療資源地域のなかで基幹病院としてひたちなか市・東海村地区の高度急性期医療・急性期医療を担ってきました。302床ある病床数のうち、急性期病床は250床弱が配備されているほか、年間2,500件近くの救急車を受け入れています。救急車の患者さんは主に内科と外科が協働で対応しており、365日の受け入れ体制を整えています。患者さん自ら来院された場合で内科的救急医療が求められる際は総合内科が診療を受け持っています。

 

高度な医療を提供している各診療科

充実した診療内容の内科領域

総合内科では、近隣の診療所や病院から紹介を受けるなど、緊急性の高い患者さんの初期診療を担当しています。専門領域では、循環器内科、消化器内科、リウマチ・膠原病内科、神経内科、呼吸器内科、血液内科、腎臓内科、代謝内分泌内科などあらゆる内科疾患に対応しています。なかでも、リウマチ膠原病センターと心臓血管センターは専門性の高い職員がそろっており、当院の強みとなっています。

 

リウマチの専門家がそろうリウマチ膠原病センター(リウマチ科)

リウマチ膠原病センターは、入院・外来数ともに茨城県央・県北で随一の診療実績を誇っています。来院される患者さんは、福島県から笠間市、鹿行地域にいたるまでと広範囲です。高度な医療が求められるリウマチ疾患に対して的確な治療をするために、リウマチ膠原病センターではリウマチの専門医を3名配置しています。対象としている疾患は、リウマチ性疾患(多関節炎を主とする疾患)や、狭義の膠原病、全身性血管炎などはもちろんのこと、ベーチェット病、再発性多発軟骨炎、lgG4関連疾患、キャッスルマン病、サルコイドーシスなどの希少な疾患も診ています。

 

心臓カテーテルの技術の高い心臓血管センター(循環器内科)

当院は日本循環器学会認定専門医研修施設であり、ほとんどすべての成人循環器疾患を扱っています。なかでも虚血性心疾患に対しては、昼夜問わず対応し、経皮的冠動脈形成術は年間500件を超えて県内有数です。

 

がん治療を得意とする外科

当院には、多岐にわたる外科疾患の専門医が在籍しています。手術数は年間700件を超えています。外科では、消化器悪性疾患をはじめとして急性虫垂炎から消化管穿孔・絞扼性イレウスなど緊急手術を必要とする疾患まで広範囲の疾患に対応しています。手術難易度の高い疾患(食道がん、肝臓がん、膵がん、胆のうがん、胆管がんなど)の場合でも、全国でトップクラスの専門医が執刀にあたっており、患者さんが安心できる治療を実践しています。がん治療においては、早期から進行期まで幅広く診療しており、抗がん剤、放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っています。手術の場合は、腹腔鏡手術が全消化管がん手術の半数を占めており、患者さんの負担が少ない高度な医療を提供しています。

 

安全な医療の質を保証するために

2015年には地域がん診療連携拠点病院の指定を受けました。当院のがん治療は、多方面からのアプローチや柔軟な療法を用意していることが特色です。どのようながん患者さんであっても最高のケアをできるように、手術を行う外科をはじめ、最先端放射線治療機器を導入している放射線治療センターや、化学療法センター、地域の医療機関と密な連携と取っている緩和ケアセンター、がん相談支援センターを設置しています。今後はさらに高精度な放射線治療に力を入れていきます。放射線治療では、外科医、内科医、緩和医療医でカンファレンスを行い適切な治療方針を決定します。その後、患者さんに納得いただけるまで相談をし、治療方針の説明を受けていただいたうえで治療を進めています。化学療法も積極的に併用しており、高品質ながん治療をできていると自負しています。

 

病院としても組織としても常に高品質でありたい

独自のTQM部署が担う病院管理システム

「地域を護る病院」として、職員が働きやすい仕組み作りと、患者さんが納得できる医療サービスを提供するために尽力してきました。その目的のため、2001年に国内初のISO9001の2000年版の認証を受けました。ISO9001認証とは、ISO(国際標準化機構)が発行している品質マネジメントに関する国際規格です。認定を受けるための条件として、主に組織の体制、職員の教育、業務フローの確立など組織運営に関連することがみられるほか、それらの取り組みの持続性と改善を確認されたうえで厳しく評価されます。組織運営の基盤を整えたことで、当院ではさらなる医療サービスの品質向上を目指しています。そのために、TQM(トータルクオリティマネジメント)統括室を設けました。TQM統括室は病院内における、あらゆる業務の品質管理をしており、データ管理センター、教育・研修センター、安全管理センターなどで細かなところまで管理しています。健全な病院運営が、安心で安全な医療を提供できることにつながると考えています。

 

「医師が長くいたいと思える」病院づくり

当院は、医師を積極的に採用しております。現在は、常勤医70名に、研修医20名が在籍しています。基本的に医師の増員は筑波大学附属病院を通じて行っておりますが、最近では個別に「勤務したい」という医師も見受けられるようになりました。当院の医師離職率は非常に少なく、2016年・2017年の離職者は0名です。私は、よい病院というのは「医師が長くいたいと思える」ものだと考えています。そのため、当院では多様な働き方に応じています。たとえば、介護のために夜間勤務が厳しい職員もいます。そういった場合、最初に本人の要望を聞いて、働き方のすり合わせをしています。女性職員の働き方に関しても、具体策を講じております。病院内には24時間365日対応の保育施設を配備しており、子育てしながらでも勤務・研修をできる体制を整えています。また、研修医の育成フローも充実しています。大学病院とは異なった研修体制をとっており、診療専門科には所属してもらいますが、救急対応も含めて多種の診療科で討議する場を設けています。こういった風通しのよい環境づくりが、研修医から評判を得ており、初期研修医が後期研修先にも当院を選んでくれることが多いです。手技力の高い医師や、優れた能力のある医師に来てもらうことも大切です。しかし基本となる一般的な治療をできる先生に長く在籍してもらい、働きやすい環境を整えることが、よい病院づくりにはもっとも重要です。

 

筑波大学付属病院との連携

質の高い医療、教育、研究を目的として、当院内に「筑波大学附属病院ひたちなか社会連携教育研究センター」を2011年に設置しました。筑波大学附属病院から優秀な医師をお招きしています。基幹型臨床研修病院として、また、筑波大学附属病院・東京医科歯科大学附属病院の協力型研修病院として、初期研修医・後期研修医にくわえて、各種専門職のスキルアップを図っています。また、ITやチーム医療を活用した医療の質の向上のために、さまざまな取り組みも行なっています。

 

後進へ伝えたい医師としての道

私は、さまざまなタイプの医師がいてよいと思っています。加えて、当院で研修した医師たちには、患者さんから「先生に診てもらいたい」と選んでもらえるような人材になって欲しいと願っています。きちんと研修をして、技術・技巧の高い医師を目指すだけではなく、人として魅力ある医師を目指してもらいたいです。

 

相手志向の姿勢を持ち続けたい

吉井慎一先生

これまで当院は質を重視した病院運営を行ってきました。この姿勢は相手志向であるということです。患者さんやご家族が納得でき、安心できる医療を今後も届け続けます。また、今後の課題は地域連携のさらなる強化です。高齢化にともない、ご高齢の患者さんの移動手段が途絶え、遠くの病院に通えなくなってしまうケースが発生することも考えられます。地域の医療を守るためにも、地域の医療・福祉関係者や行政機関との連携体制を確立させたいと考えています。