埼玉県の南部、川口市に位置する埼玉協同病院は、地域を守る医療機関を目標に、開院以降多くの患者さんのサポートに務めてきました。地域住民がいつでも誰でも安心してかかれる病院であることををモットーとし、総合的な医療の提供・保健予防・救急医療・在宅医療など幅広い対応を目指しています。そんな同院の信念と取り組みについて、増田 剛院長にお話を伺いました。
当院は1978年の開院以降、地域に根ざした病院を目指してきました。地域の医療活動を担う医師をはじめとしたスタッフの育成にも力をいれていることから、1994年には厚生労働省(当時、厚生省)より臨床研修指定病院(基幹型)の認定を受けました。1998年には県から二次指定病院の認定を受け、入院が必要な多くの患者さんに医療を提供してきました。
2017年2月現在では401床の一般病床(ハイケアユニット4床、緩和ケア病床24床、回復期リハビリテーション50床を含む)と31の診療科をもつ総合病院となり、多くの患者さんの健康サポートに尽力しています。
当院は地域に根ざした病院として開院以降、これまで地域のみなさまの健康に寄りそってきました。救急医療・慢性疾患医療・リハビリテーション・在宅医療などの一貫した総合的医療に取り組み、常に患者さんの立場に立って実践することを目指しています。今回はその中でも当院のいくつかの診療科について詳しくご紹介いたします。
当院の消化器内科は、「日本消化器病学会関連施設」「日本消化器内視鏡学会指導施設」のひとつです。日頃から地域の医療従事者と密に連携を図り、紹介患者さんの受け入れや、地域医療懇談会を定期的に実施し、地域と密着した消化器内科を目指しています。
当科では多岐にわたる内視鏡検査はもちろん、急性期疾患から悪性疾患への内視鏡的手術まで幅広く対応をしています。特にポリープや早期がんに対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)、粘膜下層剥離術(ESD)、緊急の胆道ドレナージ術(ERCP・PTBD)の件数は増えています。また、数多くの膵石治療にも取り組んでいるため、大学病院やがんセンターからの紹介患者さんの受け入れも行っています。
さらに、当院の外科では1978年の開設以来、40年間にわたって消化器疾患の手術、治療に積極的に取り組んで来ました。近年では腹腔鏡手術も本格的に導入しています。特にこの数年は肝・担・膵の手術や症例が増え、今後もこの分野の更なる強化を図っていくつもりです。
がんなどの重症患者さんに対しては内科・外科共に連携を図るなど、常に万全の体制で望んでいます。
各科の患者さんを横断的にみるため、2012年に立ち上がったのが当院の総合内科です。患者さんの病気や臓器だけではなく全身をくまなく診断しています。また、患者さんの背景にある生活環境・退院後の過ごし方にもアドバイス・サポート・フォローをしています。また、当院の総合内科のモットーは「専門家に任せるべきものでない限りは、いかなる患者さんでも担当する」ことです。診療を担当する内科医は病院総合内科の専門家(オールラウンダー)として偏りのない高水準なスタッフがほとんどです。さらに、おのおの専門分野も持っているため、多角的な視点から診察ができるといえるでしょう。入院診療では肺炎や尿路感染症をはじめとする感染症・心不全・糖尿病・脳梗塞などについて適切な医療の提供を目指しています。
外来診療では他科と協力をして、2次救急までの救急外来・全科当直、一般内科外来など、それぞれの専門に応じた外来を担当しています。病棟内に内科HCU(高度治療室)があり、ERからの入院への迅速な対応や、急性期の管理も行っています。
当院の整形外科は、人工関節手術の経験を豊富に持つ仁平 高太郎部長を筆頭に、4名の常勤医師と11名の非常勤医師が診察にあたっています。(*1) 医師たちの高い技術力が認められ、地域のみならず遠隔地からもご来院いただくなど、多くの患者さんに高いご支持を受けています。2008年には人工関節・股関節外科を当整形外科のメインテーマとし、最新のコンピューター支援手術器械であるナビゲーション手術システムを導入しました。手術実績も年々増加しており、2016年には579件の人工関節手術(人工股関節手術・人工膝関節手術)を行いました。また、骨粗しょう症・外傷一般などにも対応をしていますので、お気軽にご相談ください。
(*1)これらの従業員の人数は配置状況は現在の実態とは異なる場合があります
当院の小児科は川口市の小児夜間救急診療当番の一部を担っています。主に乳幼児の一般的な疾患(感染症・アレルギー疾患・川崎病など)を診察し、年間で400名前後の患者さんの入院に対応しています。多数の予防接種を行なうと同時に、看護師・保育士・管理栄養士が関わりながら、乳児健診にも力をいれています。
1984年の開設以降、当院の婦人科では多くの分娩を扱い、2018年1月には分娩数が2万5,000件に到達しました。さらに退院後のサポートとして、当院婦人科では「リフレッシュ入院」を導入しています。核家族が増え、産後のサポート体制が薄くなってきた昨今、1人で頑張りすぎて心身ともに辛くなり、育児疲れをしているお母さんが増えたと感じます。そのお母さんたちを少しでもサポートするため、疲れたから眠りたい・ちゃんとしたご飯を食べたい・沐浴や母乳の相談をしたいなど、どんな理由でもかまいません。お母さんにリフレッシュできる環境の提供と、赤ちゃんへのサポートを当院の産婦人科は提供しています。
当院では患者さんご本人からの申請があれば、カルテの開示を行っています。これは「医療の主体は患者さんであり、医療情報は患者さんのもの」という当院の理念に基づく取り組みです。患者さんに納得し満足いただける医療の提供を目指すには、医療情報を共有することは何よりも必要不可欠だからです。さらに、患者さん自身が院内の機械で自由にカルテを閲覧・プリントアウトすることができる「マイかるて」のサービスも2011年より導入しています。マイかるてには「患者さんがお話された症状について・検査結果に基づいた医師の分析・診断・治療方針」などが細かく記載されています。小まめに自分のカルテを確認する患者さんからは、「医療情報を見ることで健康維持への気持ちが強くなった」という声もあがっています。患者さんに納得・満足していただける医療を目指して、今後もよりよい診療の提供に尽力していきます。
当院は無料低額診療を行う病院のひとつです。無料低額診療とは、医療費の支払いが難しい方に対し、医療費などの減額や免除を行う社会福祉法第2条に基づいた医療制度です。
受付でご相談をいただければ、当院の医療ソーシャルワーカーがお話を伺います。制度が適用されれば医療費の減額あるいは免除が行われ、制度が適用されない方であっても支払いや当面の生活について当院のスタッフが支援を受けるお手伝いをさせていただきます。
当院は長期にわたって、化学療法の質と安全性向上への相談支援の仕組みづくりや、がん診療に関わる専門職の計画的な育成、緩和ケア病棟の開設などに取り組んできました。その結果、2015年には埼玉県よりがん診療指定病院に指定されました。これからも地域のみなさまのがん診療を担う病院でいることを目標に、努力していきます。
当院は、2013年にHPH国際ネットワークに参加し、HPH活動(Health promoting hospitals & Health Services=ヘルスプロモーションホスピタル=健康増進活動拠点)を行っています。HPHとは、患者さんの健康だけではなく、病院に務める医療スタッフや地域に住む住民の方たちに対しても保健活動を行い、「健康的な組織・地域」をつくる取り組みです。
当院で行われるHPHの主な取り組みは、以下の通りです。
当院では5つの視点(運動不足・栄養不良・肥満・喫煙・健康を害する飲酒)から、患者さんや利用者のQOL(生活の質)向上を目標に、さまざまなことに取り組んでいます。格差やストレス、不安定雇用などSDH(健康の社会的決定要因)にアプローチすることを重視し、保健・医療・介護・地域まるごと健康づくり・明るいまちづくり運動を住民と職員が一体となって進めています。その活動はWHOのHPH事務局からもゴールドレベルの評価を頂いています。
当院では、毎年春休みと夏休みの期間に「一日医師体験」を実施しています。
医師を志す高校生や受験生を対象に、特色のあるプログラムを用意し、これまで多くの若者のみなさんにご参加いただききました。医師体験で行われるプログラムは、病棟や外来での診察見学・医療スタッフ体験・医師や患者さんとの懇談などです。実際の医療現場を体験することで、医療従事者の仕事がよりリアルに伝わり、を持って医師を志してもらうことを目指しています。
埼玉県は全国的にみて、人口10万人に対する医師数が一番少ない県です。その分、必要とされる医療を待つ患者さんは多く、それが県全体の課題となっています。また、残念ながら貧困や格差によって、適切な医療を受けたくても受けられない方々が多くいるのも現実です。当院は1987年の開院以来、一環として「無差別・平等の医療・介護」を追求してきました。その活動を支えてくれる医師をはじめとしたスタッフの育成にも力を入れております。2011年には医師の初期研修・後期研修・専門研修および生涯研修の充実をはかることを目的に、埼玉協同病院教育研修センター(Saitama Kyodo-hospital Medical and Training Center)を立ち上げました。また、看護師のみなさんには奨学金制度や充実した教育研修制度、職員寮の提供や院内にお子さんを預けることのできる保育園などの施設も設置しています。さらに、医療分野で働きたい若者たちへの支援を続け、今後も「学びの場」を提供できる病院でいることをお約束いたします。
地域のみなさん・医療従事者のみなさん・医療分野を目指す若者たち。1人でも多くの人に必要とされる病院であることを目標に、埼玉県南部の医療を支える病院として、今後とも当院は尽力してまいります。
埼玉協同病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。