院長インタビュー

茨城県の救急医療を担い地域医療完結を目指す、水戸済生会総合病院

茨城県の救急医療を担い地域医療完結を目指す、水戸済生会総合病院
村田 実 先生

恩賜財団済生会茨城県支部 水戸済生会総合病院 病院長

村田 実 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年04月18日です。

社会福祉法人恩賜財団済生会支部茨城県済生会 水戸済生会総合病院(以下、済生会水戸総合病院)は、茨城県水戸市にある総合病院です。同院は救急医療に注力しており、茨城県全域からドクターヘリで運ばれてくる救急患者さんの受け入れに対応しています。また、同院がある水戸医療圏内で完結できる医療の提供を目指しています。

同院の診療部門や、地域への取り組みについて、院長の村田実先生にお伺いしました。

 水戸済生会総合病院 外観
水戸済生会総合病院 外観

当院は1943年に茨城県済生会茨城診療所として開設しました。1964年には水戸済生会総合病院へ改称し、1984年に現在地へ移転新築しました。診療所を開設してから、診療科の増設や医療機器の導入など、多様な病院機能の拡充を繰り返し、現在に至ります。

当院は、茨城県ドクターヘリの基地病院の指定を受けており、茨城県全域の救命医療を担っています。また、当院は水戸医療圏と呼ばれる、水戸市、笠間市、茨城町などを中心としたこの地域の、茨城県がん診療指定病院、地域医療支援病院としての役割を担っています。この地域の基幹病院として、この地域で完結できる医療の提供を目指しています。

循環器内科のスタッフと村田先生

循環器内科のスタッフと村田先生

当院は、幅広い医療を提供するため、30を超える診療部門を備えています。

循環器センターでは、心筋梗塞不整脈など、心臓や血管に関する病気の診療にあたっています。循環器センターは、循環器の病気を網羅できるセンターを目指し、診療体制を整えています。消化器センターでは、消化管、肝臓、すい臓、胆のうなどの、消化器に関する病気の診療にあたっています。消化器センターのがん治療では、多様ながん治療方法を組み合わせた、集学的治療をおこなっています。

本項では、当院にある診療部門のなかでも、以下の3つの診療部門を詳しくご紹介します。

救急科では、急性心筋梗塞、脳卒中多発外傷などの重篤な患者さんをはじめとする、救急患者さんの受け入れを行っています。当科は救急車のみならず、ドクターヘリやドクターカーなどによる救急搬入にも対応しています。

当科は原則として、ベッド満床時以外は救急車の受け入れを拒否しない、断らない救急医療を提供しています。また、当科は日本DMAT(Disaster Medical Assistance Team)を有しています。日本DMATとは、航空機や列車事故、大地震などの災害時に、被災地に迅速に駆けつけ、救急治療を行う訓練を受けた職員によって構成された医療チームのことをいいます。このような救急医療体制を24時間365日整え、この地域を含む茨城県全域の救急医療に提供しています。

腎臓内科では、腎臓の病気の治療や、腎不全の患者さんに対する透析療法などを行っています。当科は、循環器センターと協力して医療の提供をしています。

腎不全の患者さんのなかには、合併症を発症する患者さんがいらっしゃいます。腎臓は、体内の余分な塩分や水分を排出し、血圧の調節を助けてくれる器官です。しかし、腎不全になると本来排出されるはずの水分や塩分が体にたまっていき、同時に過剰にたまった水分を循環させる心臓の働きにも影響が出るようになります。また、腎不全になると血圧の調整がうまくいかなくなります。

高血圧の状態が長期間続くと、血管が痛むことで動脈硬化を起こしやすくなります。そのため、心臓や血管の合併症を発症しやすくなります。

そこで当院では、心臓や血管の病気に対応できる循環器センターと当科で協力して、腎不全の患者さん一人ひとりの心臓や血管の状況を確認しながら、透析療法などの治療にあたっています。

総合周産期母子医療センターでは、妊娠中から出産までの母子を一貫して診療するセンターです。当センターは、茨城県立こども病院と密な連携を図っています。茨城県立こども病院とは、当院に隣接している病院であり、院内の廊下でつながっています。当センターでは、通常の出産もおこなっていますが、緊急性のある出産にも対応しています。緊急性のある出産の場合、茨城県立こども病院の新生児科医と、当院の産婦人科医が協力して、出産や治療にあたっています。

また、当センターでは、出産前の妊婦さんのご家族を対象に「両親学級」という名の講習会を開催しています。両親学級では、妊婦さんが充実した妊娠生活を送り、安心して出産ができるよう、妊娠中の過ごし方や、ご家族が妊婦さんをサポートする方法、妊婦さんの心理状態などのご説明をしています。

当院は、茨城県より地域医療支援病院に指定されています。地域医療支援病院とは、この地域の医院や診療所と地域の中核病院で連携して医療の役割分担をすることで、地域の医療を効率化させるための役割を担う病院のことです。この地域の医院や診療所のかかりつけ医から、患者さんを紹介してもらったり、当院での治療が完了した患者さんを紹介元の病院へ逆紹介したりすることで、役割分担をしています。

地域の医療機関と当院の間で円滑な連携を図るために、地域の医療機関に私から挨拶に行くなど、積極的にコミュニケ―ションをとっています。また、当院の診療活動報告と情報共有のために、当院はこの地域の医療機関の先生方を対象に、月に1回、症例検討会を院内で開催しています。

地域の方々を対象にした、救命処置の実技指導の様子
地域の方々を対象にした、救命処置の実技指導の様子

当院は、地域の方々を対象に、市民公開講座を院内で開催しています。市民公開講座では、地域の方々に向けて、当院の医師や看護師から、病気の予防方法などをお伝えしています。

また、地域の小学校高学年の子どもたちにむけて、「茨城子どもメディカルラリー」という講座を開催しました。たとえば、子どもたちだけで遊んでいてけがをしたときや、倒れている人を見つけたときに、適切に対処する方法を伝える講座です。先日行われた講義では、当院の救急科のスタッフが楽しそうに、子どもたちに伝えていました。

このような講座を通して、地域の方々に貢献できたらと考えています。

村田先生

当院には総合健診センターを備えています。利用者さんに、ゆっくりとした雰囲気のなかで健康診断を受診していただけるよう、健康診断や人間ドック専用の施設として独立させています。ぜひご自身の健康のためにも、定期的に健康診断や人間ドックを受診していただけたら幸いです。

体調を崩したときや、病気になってしまったときに、当院にお越しいただければ、できる限りの医療を提供させていただきます。それと同時に、この地域の方々が病気にならないよう、市民公開講座などを通して、病気予防の啓発を行ってまいります。地域から信頼される病院、そして頼られる病院になれるよう、職員一同で自己研鑽してまいりますので、今後とも、当院を何卒よろしくお願い申し上げます。

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  • 恩賜財団済生会茨城県支部 水戸済生会総合病院 病院長

    村田 実 先生

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