白血病とは、血液をつくる細胞が何らかの遺伝子異常によりがん化し、増殖する病気の総称です。白血病にはいくつかの種類がありますが、進行の速さにより、急性白血病と慢性白血病に大別することができます。急性白血病には急性骨髄性白血病(AML)や急性リンパ性白血病(ALL)などいくつかの種類がありますが、詳しい原因は解明されていません。主に体のだるさや、発熱、あざ、鼻血などの症状が続くことから発見に至ります。
大阪暁明館病院 血液内科部長の小川 啓恭先生に、急性白血病の原因や症状、AMLとALLの違いについてお話を伺いました。
白血病は“血液のがん”とも呼ばれる病気で、血球をつくる細胞ががん化し、増殖することで発症します。
骨の内部にある骨髄には、全ての血球をつくり出す“造血幹細胞”があります。造血幹細胞には、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞があり、骨髄系幹細胞が増殖分化すると赤血球、白血球(顆粒球・単球)、血小板がつくられ、リンパ系幹細胞が増殖分化すると最終的にT細胞、B細胞、NK細胞がつくられます。最終分化した細胞は、細胞ごとに一定の寿命がきて死滅します。この造血幹細胞のはたらきにより、ヒトが生きている限り、血球は365日24時間つくり続けられます。
未分化な血液細胞で、何らかの遺伝子異常が1つ、あるいは複数重なった形で起こると、血球の分化が停止し、分化が止まったレベルで血液細胞が増殖し続けることで白血病を発症します。このように分化が止まって増殖し続ける細胞は、芽球(白血病細胞)と呼ばれます。骨髄系幹細胞で分化が止まった場合は“急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:以下、AML)”、リンパ系幹細胞で分化が止まった場合は“急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia:以下、ALL)”と呼ばれます。
骨髄で白血病細胞が増殖し、正常な血球をつくれなくなると、体に症状が現れ始めます。具体的には、赤血球が減少することで貧血になったり、血小板の減少により出血が起きたり、白血球が減少することで感染症にかかったりします。出血や感染症は、重症化すると命に関わることがあります。
AMLとALLの発症メカニズムに大きな違いはありませんが、治療に使用する抗がん剤が異なります。また、AML、ALL共に脳や脊髄などの中枢神経へ白血病細胞が浸潤する可能性がありますが、ALLはその傾向がより強いという特徴があります。AMLの発症頻度は10万人あたり2〜3人ほどで、10万人あたり1人ほどのALLと比較すると、AMLのほうが患者数は多いとされます。
ほとんどの例において、急性白血病の詳しい原因はいまだ解明されていません。しかしながら、一部の例において、白血病の原因が特定できるケースもあります。たとえば、ヒトに対して発がん性があると報告されているベンゼンなどの特殊な有機溶剤の曝露によって引き起こされるAMLや、過去に抗がん剤治療や放射線治療を受けた後に発症する二次性白血病などが挙げられます。
主な症状は、貧血症状、出血、感染の3つです。先に述べたように、これらの症状は正常な血球が減ることで現れます。これらに加えてALLに特徴的な症状としては、中枢神経系への浸潤に伴う頭痛や吐き気、リンパ節腫脹による首のリンパ節の腫れ、脾臓・肝臓の腫れ、縦隔部*の腫瘤形成などがあります。
出血と感染は重症化すると命に関わる場合があります。急激に症状が出てくるうえに進行が速いため、注意が必要です。
*縦隔部:左右の肺の間で胸椎(きょうつい)や胸骨に囲まれた部分。
急性白血病の場合は、白血病細胞が増えるスピードが速く分裂が盛んです。そのため、早期発見するのが難しいことがあり、基本的には倦怠感や発熱、息切れ、動悸などさまざまな自覚症状が出て病院を受診し、血液検査を受けることで発見につながるケースがほとんどです。急性白血病は進行スピードが速いため、診断されたら速やかに治療を受ける必要があります。体調不良が続き改善がみられないようであれば、放置せずに受診することが大切です。
一方、慢性白血病(慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病など)の場合、初期は無症状のことが多く、健康診断や検診で見つかることが多いとされます。
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