東京都八王子市に建つ医療法人社団 清智会 清智会記念病院(以下、清智会記念病院)は、“初診時の不安を取り除き信頼される医療を実践する”という病院理念に基づき、八王子市を含めた多摩地区の救急医療を支える病院のひとつとして活躍しています。
今回は同院の特徴や医療体制、地域連携に関する取り組みなどについて、理事長である横山 智仁先生にお話を伺いました。
当院は地域に救急・急性期医療を提供するための病院として、1987年に開院した横山記念病院を前身としています。2002年には清智会記念病院に改称、現在に至ります。
現在も、当院の医療の軸は救急医療であり、東京都の救急告示医療機関として24時間365日体制で夜間の受け入れにも力を入れています。地域の救急医療を支える病院として常に迅速な治療とその後のケアに努め、院内での治療はもちろんのこと、治療の前と後での生活の質を向上させることをひとつの目標としています。
救急搬送の受け入れから急性期治療、リハビリテーション(以下、リハビリ)の提供まで一貫した医療を提供しています。
当院では、治療を終えた患者さんが、元の生活に戻れるようになることが医療のゴールであると捉えています。もちろん、ケガや病気を治療することが第一の目的には違いありません。しかし、治療後のケアも医療関係者が果たすべき大切な役目であると考えています。
こうした考えのもと、地域包括ケア病棟や回復期病棟を設けて、救急病院でありながらリハビリまで提供できる体制を整えていることが当院の大きな特徴です。
消化器内科の分野では、吐血や下血で搬送されてきた患者さんへの治療のほか、ERCP(Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography:内視鏡的逆行性胆管膵管造影)などの各種内視鏡検査を行っています。早期の胃がんに対するESD(内視鏡下粘膜切除術)や手術不能の各種がんに対するステント留置によって、機能改善を目指した治療も行っています。日本消化器内視鏡学会認定の専門医である私も診療を担当し、救急病院として常に迅速な対応に努めています。
また、消化器外科分野では、虫垂炎や胆嚢炎、消化管穿孔を発症した患者さんを受け入れ、手術治療を行っています。
さらに、当院では胆のう専門外科外来(内視鏡外科専門外来)を開設。主に胆石症や胆嚢ポリープに対する腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施しています。腹腔鏡下手術は、開腹手術と比べて傷が小さいことから、入院期間の短縮と早期の社会復帰が期待できます。患者さんの状態により、開腹手術に移行することもありますが、その際も当院でしっかりと対応しています。
救急搬送された肺炎や心不全などの患者さんを受け入れています。そのほかにも、不整脈や尿路感染症、糖尿病などの生活習慣病患者さんの治療も行っています。一般的な内科疾患や呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患と幅広い分野の病気の診療を行っており、急性期疾患の治療から生活習慣病の改善にまで尽力しています。
主に四肢の外傷や骨折、大腿骨頚部骨折などに対応。打撲や捻挫など軽症の患者さんも受け入れています。また、脊椎手術に力を入れており、椎間板ヘルニアなど脊椎疾患を持つ患者さんに対して実施しています。また、今までに手術を行っていなかった胸椎や腰椎の圧迫骨折に対しても、BKP(経皮的椎体形成術)という固定手術を行うことで早期の痛みの軽減や生活の改善につながっています(2020年5月時点)。
医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が連携し、患者さん一人ひとりの状態に合わせたリハビリを提供しています。治療終了後できるだけ早期に取り組む急性期リハビリから、病状の安定後に運動機能を元の状態まで戻していく回復期リハビリ、退院後に再び運動機能が落ちてしまわないように外来で行う維持期リハビリまで、一貫して提供しています。
さらに、当院でけがや病気の治療を受けた患者さんに対しては、治療を行った医師がリハビリから退院までしっかりと見届けています。スタッフの熱意も高く、若くて勉強熱心なスタッフが患者さんの社会復帰を目指して、心のこもったリハビリを提供しています。
また定期的にリハカフェと称した、地域の高齢者と体操などを通した予防医療の教育プログラムを開催しています。
当院の地域医療連携室では、退院支援看護師や医療ソーシャルワーカーが患者さんやご家族の抱える困難などに対し、地域の医療機関や施設を紹介するなどさまざまな退院支援を行っています。
さらに当院では、地域医療連携室を中心に地域医療機関との連携にも力を入れています。具体的には、八王子市内の大学病院や2次救急病院と連携し、お互いの特性を生かした機能分化を図っています。
また、地域のどの病院で何ができるのかをお互いに把握し、信頼関係を構築していなければ、スムーズな医療連携は困難です。当院は、八王子医師会を中心とした地域医療の構築に貢献するため定期的な勉強会なども開催しています。私の専門分野である消化器の領域では、地域の日本消化器病学会認定の消化器病専門医などが集まって情報交換を行う消化器医会などを通して、顔の見える医療連携を心がけています。八王子市の医療を地域全体で支えていくために、今後も医療連携体制の構築に尽力してまいります。
医師や看護師をはじめとした職員全員の負担軽減のために、病院全体で効率のよい働き方を心がけています。理事長である私も、現場の無駄を可能な限り省けるようにさまざまなアドバイスをしています。
また、医師の長時間労働の解消については、患者さんにもご理解をいただけるように受診に関する啓発活動を行っています。そうした活動を日頃から行い、働き方改革に関するさまざまな取り組みを進めています。
地域に根付いた救急病院として、昼間はもちろん、夜間や休日も安心してかかれる病院でありたいと思います。患者さんは可能な限り受け入れ、院内だけで対応が難しい病気は適切な処置を行った後に、専門の医療施設に紹介しています。そうした取り組みを通して、来院された患者さんの不安を払拭できる病院を目指していきます。
そして、地域の皆さんには「清智会記念病院があれば安心だ」と思っていただけるように、これからも職員一同、まい進してまいります。
医療法人社団清智会 清智会記念病院 一般内科/理事長
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