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男性型脱毛症の対策には何をすればよいの?〜病院で行う治療や、自分でできる対策とは〜

男性型脱毛症の対策には何をすればよいの?〜病院で行う治療や、自分でできる対策とは〜
乾 重樹 先生

医療法人 桃恵会 心斎橋いぬい皮フ科 院長、大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講...

乾 重樹 先生

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男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia:AGA)は、壮年性脱毛症、うす毛とも呼ばれ、前頭部(額の髪の生え際)や頭頂部(頭の真上)の髪の毛が細く軟らかくなり、次第になくなってしまう病気です。

日本の成人男性の場合、およそ3人に1人が男性型脱毛症になるといわれており、思春期以降に発症し年齢とともに進行します。なお、男性型脱毛症の発症は20歳代後半から30歳代にかけて明らかになることが一般的です。

では、男性型脱毛症の原因には何が考えらえているのでしょうか。また、治療方法にはどのようなことが行われるのでしょうか。

男性型脱毛症の原因は、思春期以降に体の中で増加する“アンドロゲン”の作用によって、ヘアサイクルが乱れることです。アンドロゲンとは男性ホルモンのことで、髪の毛を薄くするほかに、ひげや胸毛など別の箇所に生える毛を濃くすることで知られています。

健康な毛根の場合、一度毛が抜けたら毛根から再び毛が生え、時間とともに太く長い毛になった後、再び抜けるというヘアサイクルが繰り返されます。しかし、男性型脱毛症にかかると、毛が抜けたら毛根から毛が生えても、十分に太く長く育つことがなく、軟らかい状態のまま抜け落ちてしまいます。そのうえ、毛が抜け落ちた毛根からは次第に毛が生えてこなくなります。

このようにヘアサイクルが乱れ、毛が十分に太く長くならないことや、一度抜け落ちた毛根から再び生えてこなくなることを“毛根(毛包)のミニチュア化”と表現することもあります。

男性型脱毛症は、ヘアサイクルを正常に保つために病院で治療を受けるほか、自身で対策を行うことによって改善が可能です。

男性型脱毛症の治療では、主に外用薬(育毛剤)と内服薬が処方されます。ただし、男性型脱毛症で処方される薬は保険適用がなく、病院を受診のうえ自費診療での処方となるため注意が必要です。

外用薬(育毛剤)

標準治療で用いられる外用薬は“ミノキシジル液”と呼ばれ、医薬品ですが薬局でも購入が可能です。ミノキシジル液はヘアサイクルを正常に保ち、毛を太く長くするはたらきを持つ毛乳頭細胞を刺激するほか、毛をつくり出す毛母細胞を増殖させる成長因子を促す効果があります。ただし、液体にアルコールが含まれているため、頭皮に塗布するとかゆみが生じることもあります。

内服薬

“フィナステリド”や“デュタステリド”と呼ばれる薬が処方されます。これらの薬は、毛根のミニチュア化を防ぐ効果があります。ただし、これらの内服薬は、肝機能障害や性機能に関する副作用が生じることもあります。

このような外用薬や内服薬を使用した治療を1年行い、効果があればこれらの治療を継続しますが、もし治療効果が乏しい場合には、植毛術やかつらの使用が提案されることもあります。

毎日、あるいは2日に1回程度はシャンプーを使って頭皮を優しくマッサージしながら髪を洗うようにしましょう。

髪の毛が抜けやすくなると、「洗髪することで余計に抜けるのではないか」と心配し、あまり髪を洗わなくなる人もいます。しかし、長期間髪を洗わないでいると頭皮が汚れ、コンディションが悪くなることもあるため、注意が必要です。

男性型脱毛症(AGA)は病院での治療や、自身で行う対策によって改善が期待できます。ただし、このようなうす毛には男性型脱毛症のほかにも、円形脱毛症、休止期脱毛症、薬剤性脱毛症、あるいはそのほかの病気が関係していることもあります。そのため、男性型脱毛症が疑われる場合は自己判断せず、まずは皮膚科を受診することを検討しましょう。皮膚科では、症状に合わせて外用薬・内服薬の処方や生活習慣におけるアドバイスを行います。

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  • 医療法人 桃恵会 心斎橋いぬい皮フ科 院長、大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座 特任教授

    乾 重樹 先生

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