
AGA(Androgenetic Alopecia)とは、“壮年性脱毛症”“男性型脱毛症”とも呼ばれ、前頭部(髪の生え際)や前頭部(頭の真上)の髪の毛が細く軟らかくなり、次第になくなっていく病気です。治療では第一に薬物療法が検討され、薬物療法で思うような効果が出なかった場合は、手術療法による植毛術が提案されます。AGAは自然に治癒することはなく、治療を行う必要があるため、気になる症状がある場合は受診を検討しましょう。
本記事は、AGAの治療内容や治療期間、費用の目安について詳しく解説します。
AGAの治療では、軽症〜中等症の患者の場合、まずは薬物療法が行われます。AGA治療で処方される治療薬は以下のとおりです。
いわゆる“育毛剤”のことで、なかでも“ミノキシジル”と呼ばれる成分が含有されたものが処方されます。ミノキシジルには、髪の毛を太く長く育てる毛乳頭細胞を刺激し、髪の毛を作り出す毛母細胞の増殖を促す成長因子を出させる効果があります。なお、ミノキシジル含有の育毛剤は、医薬品でありながら薬局でも市販品の購入が可能です。
“フィナステリド”“デュタステリド”と呼ばれる治療薬が処方されます。これらは、ヘアサイクルを健康に保ち、毛根(毛包)のミニチュア化を防ぐ効果があります。フィナステリドやデュタステリドは医師の処方が必要な治療薬で、入手するには病院の受診が不可欠です。
AGAの治療薬にはそれぞれ副作用があるため、AGAの治療中に気になる症状があったときは、医師・薬剤師に相談しましょう。
具体的には、外用薬(育毛剤)の場合、頭皮の赤み・かゆみのほか、頭痛や体重の増加などが現れることがあります。一方内服薬の場合、肝機能障害や蕁麻疹、性機能への障害が見られることがあります。
AGAが進行している場合や薬物療法をしても効果が見られない場合には、手術療法による植毛術や、かつらの着用が提案されます。
手術療法による植毛術とは、髪の毛を毛根(毛包)ごと移植する治療のことです。植毛術には、“自毛移植”と“人工毛移植”がありますが、人工毛移植は異物反応を起こすなど事象が多いため、自毛移植が推奨されています。
自毛移植では、後頭部(頭の後ろ)などから健康な毛根を採取し、髪の毛の薄い部分に移植することで髪の毛の分布を均一にします。もともと自分の髪の毛であるため、移植によるトラブルも少なく、生着率は82.5%といわれています。
AGAは、治療を行うことによって改善が期待できます。
ただし、薬物療法の場合、服用をやめてしまえば効果がなくなってしまうので継続的な服用が必要です。また、薬物療法は軽症〜中等症の患者向けの治療のため、症状が進行してしまった人には効果がないことがあります。したがって、症状が軽いうちに治療を始めたほうが治療の選択肢が広いといえるでしょう。
一方、手術療法による植毛術の場合、一度の治療によって自毛が生着すれば治療効果が比較的長く継続すると考えられます。ただし、自毛移植はあくまで自分の髪の毛を後頭部などから移植することで髪の毛の分布を均一にする治療のため、髪の毛の総数が増える治療ではありません。
AGA治療では、薬物療法が行われる場合、効果が確認できるまでにおよそ6か月の期間を要します。6か月〜1年間薬物療法を行って、効果があると見られた場合には引き続きその治療を継続します。
なお、AGAの薬物療法は、服用をやめてしまうと効果がなくなり元に戻ってしまいます。そのため、効果が見られた場合には、医師の指示に従いながら引き続き服用を継続しましょう。
AGAの薬物治療は保険適用外であるため、治療費は全額自己負担です。費用は各医療機関によってばらつきがありますが、相場として、フィナステリドを処方される場合、診察から治療薬の処方までを含め年間で合計9〜12万円程度の費用がかかることが予想されます。
また、フィナステリドに加え、月1本のミノキシジル含有育毛剤を購入した場合は年間でおよそ20万円程度の費用がかかると考えられます。なお、手術療法(植毛術)を行う場合も保険適用外となり、治療費は全額自己負担です。ただし、費用はあくまで目安なので、実際の治療費は治療を受ける医療機関に事前に確認しておきましょう。
「毛量が減ってきた」「生え際が後退した」など、うす毛の症状がある場合、まずは皮膚科の受診を検討しましょう。うす毛にはAGA以外にも、円形脱毛症、休止期脱毛症、薬剤性脱毛症、あるいはそのほかの病気などの原因が考えられます。これらは皮膚科を受診することで原因を解明することができ、その原因に即した治療が受けることが可能です。そのため、自己判断せずに、まずは医師に相談するとよいでしょう。
診断の結果、AGAである場合には、薬物療法や手術療法などによって症状を改善できる可能性があります。治療を受ける前は自身もAGA治療について十分に理解し、疑問や不安がある場合は医師に質問するようにしましょう。
医療法人 桃恵会 心斎橋いぬい皮フ科 院長、大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座 特任教授
医療法人 桃恵会 心斎橋いぬい皮フ科 院長、大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座 特任教授
日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医・代議員日本アレルギー学会 アレルギー専門医・指導医・試験問題作成委員会日本褥瘡学会 評議員日本抗加齢医学会 抗加齢専門医・評議員日本臨床毛髪学会 理事長日本毛髪科学協会 副理事長・資格審査委員会委員長・中長期事業計画委員会委員日本美容皮膚科学会 理事・機関誌編集委員会委員長・推薦委員会委員・学術教育委員会委員・用語集検討委員会委員毛髪科学研究会 世話人・監事日本研究皮膚科学会 評議員日本皮膚免疫アレルギー学会 代議員・広報委員会委員日本化粧療法学会 評議員
乾 重樹 先生の所属医療機関
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