
髪の毛は、成長期(髪が成長する時期)、退行期(毛根の退縮していく時期)、休止期(毛根が完全に退縮して停止する時期)の3つの時期を繰り返しており、これをヘアサイクルと呼びます。次の成長期に入るとそれまであった休止期の古い髪の毛が自然と抜け落ちるため、毎日50~100本程度の髪の毛が抜けるのは自然なことです。
しかし、何らかの原因で休止期が長くなったり成長期が短縮したりすると、新たに生える髪の毛が少なくなったり、髪の毛の長さが短くなったりしてボリュームも減ることから薄毛につながります。そこでここでは、薄毛の予防・進行を抑えるための対策、治療法などについて詳しく解説します。
薄毛の原因にはさまざまなものがあるため、対策にはまず原因を知ることが重要です。薄毛の代表的な病気としては、男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia :AGA)、女性型脱毛症(Female pattern hair loss :FPHL)、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症などがあげられ、その悪化要因として日常生活での疲労、ストレス、生活習慣の乱れなどの関与が疑われます。
具体的な特徴は以下のとおりです。
男性では頭頂部や前頭部などパターン化した脱毛(薄毛)が見られ、主に遺伝やジヒドロテストステロン(活性の高い男性ホルモン)が関わって発症しているといいます。
一方、女性にも同様のパターンで脱毛が起こることがあり、この場合は女性型脱毛症(FPHL)と呼ばれます。これは男性ホルモンのみではなく、女性ホルモンの低下などさまざまな原因が考えられています。
皮脂を栄養とするカビ菌の増殖などによって、頭皮や顔面など皮脂の分泌が多い部分に皮膚炎が現れ、頭部では脱毛を伴うこともある病気です。
頭部のみならず、あらゆる毛髪が突然に部分的もしくは全身的に脱毛する病気です。主に毛の組織をターゲットにした自己免疫反応が起きて生じていると考えられています。
出産、鉄欠乏、亜鉛欠乏、薬剤、全身疾患、ダイエット、ウイルス感染症などによる高熱がきっかけで毛周期が乱れ、休止期となり脱毛症状を引き起こす病気です。
全身性エリテマトーデス、内分泌疾患などが原因で薄毛になることがあります。
カラーリングやパーマなどの刺激性皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎、過度な頭皮マッサージなどが薄毛の原因で薄毛が生じることがあります。
このように薄毛の原因は多岐にわたり、病気が原因となっている場合もあるので、早めの受診を検討するとよいでしょう。
日常生活における刺激や生活習慣の乱れなどによって抜け毛が多くなり、薄毛になってしまっている場合は、これらの見直しによって薄毛の予防、進行の防止が期待できます。
具体的には、ヘアカラーや、三つ編み、ポニーテールなど髪が引っ張られる髪型を極力避け、毎日または1日おき程度でシャンプーを行います。シャンプーのときは髪だけでなく頭皮も洗浄し、頭皮をよい状態に保てるように心がけましょう。ただし、過度な頭皮マッサージは刺激になる場合があるので避けてください。
そのほか、疲れをためないようにし、規則正しい生活、十分な睡眠も心がけるとよいでしょう。過度な喫煙や飲酒も避け、適量を守ることが大切です。さらに、栄養バランスの整った食事も必要です。毛髪を作るためには特に鉄分や亜鉛といったミネラルが必要となります。鉄分は赤身肉や魚、鶏肉などによく含まれ、亜鉛は牡蠣をはじめ、赤身肉や鶏肉にも含まれています。
薄毛の原因が病気である場合は、医療機関での治療が必要となることがあります。病気に対する治療を行うことで薄毛が改善できる可能性があるとされています。また、薄毛の原因として挙げられる男性型脱毛症、脂漏性皮膚炎、円形脱毛症の治療法は以下のとおりです。
フィナステリドやデュタステリドなどの内服薬、1もしくは5%ミノキシジルの外用による治療を行うことが推奨されています。一方、女性型脱毛症の場合には1%ミノキシジル外用が推奨されています。
原因となる刺激を避け、ステロイド外用薬や抗真菌薬などが使用されます。
脱毛が始まった期間と脱毛部分の大きさによって治療が異なりますが、ステロイド外用薬やステロイドの局所注射、局所免疫療法(かぶれを起こす薬品を塗る治療法)、紫外線照射などの治療法が選択されます。
薄毛が気になる場合は、原因を知り、適切な対策をとることが大切です。そのため、まずは受診を検討し、原因を把握するのがよいでしょう。原因によってさまざまな治療法が存在するため、医師の指示にしたがって治療を受け、疑問や不安がある場合は放置せずに相談するようにしましょう。
浜松医科大学 皮膚科学講座 准教授
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