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日常生活でできる抜け毛対策は?~生活習慣やシャンプーを見直すことが大切~

日常生活でできる抜け毛対策は?~生活習慣やシャンプーを見直すことが大切~
伊藤 泰介 先生

浜松医科大学 皮膚科学講座 准教授

伊藤 泰介 先生

目次
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髪の毛は、成長期(髪が成長する時期)、退行期(毛根の退縮していく時期)、休止期(毛根が完全に退縮して停止する時期)の3つの時期を繰り返しており、これをヘアサイクルと呼びます。成長期に入ると、それまであった休止期の古い髪の毛が自然と抜け落ちるため、毎日50~100本程度の髪の毛が抜けるのは自然なことです。ほとんどの髪の毛は、抜けている時にはすでに次の髪の毛が皮膚の下で育ってきています。しかし、ヘアサイクルが乱れると髪が成長しなくなったり、抜け毛が増えたりすることがあるため、注意が必要です。

本記事では、日常生活でできる抜け毛対策や病院で行われる抜け毛治療について解説します。

日常生活の中のささいなことが原因でヘアサイクルが乱れることがあります。その場合は、ヘアサイクルが乱れる原因となる習慣や、髪の毛に与えている過度な刺激を見直し、対策をすることが大切です。日常生活でできる抜け毛対策としては、生活習慣の見直し、ストレス解消、ヘアケアなどが挙げられます。

まず、日常生活における抜け毛の原因として、ホルモンバランスの乱れやストレスが挙げられます。ホルモンバランスの乱れは生活習慣の乱れなどによって引き起こされることがあるため、十分な睡眠や適度な運動などを行い、健康的な生活を心がけるとよいでしょう。また生活習慣に関連して、栄養バランスの崩れも抜け毛の原因となるといわれているため、偏りのない食事を心がけるとよいでしょう。

さらに、頭皮の状態を良好に保つことも大切です。そのため、シャンプーで頭皮の汚れをしっかりと落とすようにしましょう。ただし、過度な頭皮マッサージや乾燥は頭皮を傷めることもあるため注意が必要です。

抜け毛の原因が病気である可能性もあります。その場合は、抜け毛の原因となっている病気を突き止め適切な治療を始めることが大切であるため、気になる症状がある場合は医療機関の受診を検討するとよいでしょう。抜け毛の原因となる病気とその対策や治療法は以下のとおりです。

男性型脱毛症(Androgenetic alopecia :AGA)や、女性型脱毛症(Female pattern hair loss :FPHL)は、生理的に生じる抜け毛ととらえられています。

男性型脱毛症(AGA)では、ジヒドロテストステロン(より活性の強い男性ホルモン)が毛乳頭に作用することで頭頂部や前頭部の薄毛につながります。また、女性型脱毛症(FPHL)では、男性ホルモンの影響もしくは女性ホルモンの減少など、さまざまな要因によって頭頂部から側頭部にかけて広い範囲に薄毛が認められます。

治療

男性型脱毛症は、主に内服薬(フィナステリドやデュタステリドなど)やミノキシジルの外用による治療を行います。一方女性型脱毛症は、主にミノキシジルの外用による治療を行います。内服薬は処方箋薬となりますが、ミノキシジルは一般用医薬品として薬剤師の指導の下にドラッグストアなどで購入可能です。なお、個人輸入などで自己入手することは、安全性などが担保されず推奨されていません。

円形脱毛症とは、頭髪や体毛が免疫反応によって局所的、もしくは全身的に脱毛する病気です。毛組織に対する自己免疫反応が成長期の毛包周囲で起きることで、毛包がアポトーシス(予め決められていた細胞の死)に陥り脱毛に結びつきます。本来であれば病原菌や異物を攻撃するための免疫反応が、間違って髪の毛を作り出す部分を攻撃することで起きるとされています。

一般的に円形脱毛症の原因は精神的なストレスだといわれることもありますが、ストレスは誘因の1つに過ぎないと考えられています。また、誘引するものは精神的なストレスだけではなく、ウイルス感染症や疲労、外傷、出産など肉体的なストレスも誘引となり得ます。なお、繰り返し円形脱毛症になる方や兄弟姉妹、親子で発症する場合には、なりやすい遺伝的な体質が疑われます。

治療

自然治癒もあり得ますが、主に副腎皮質ステロイド、カルプロニウム塩化物の外用やグリチルリチン、セファランチンの内服療法、紫外線療法、液体窒素療法を行うことが一般的です。さらに、医療機関によっては副腎皮質ステロイドの局所注射や局所免疫療法も選択されます。また、急性に頭部全体が脱毛する場合には短期入院でステロイドハーフパルス療法が行われることもあります。

脂漏性皮膚炎(頭皮の皮膚炎)などに伴って抜け毛が起こる場合もあります。また、頭皮に炎症やかゆみがある場合、引っかくなどして抜け毛につながることもあるため注意が必要です。

治療

原因となる皮膚疾患の治療を行うことが重要であるため、医師の指示にしたがって適切な治療を受けるとよいでしょう。

抜毛症とは、ストレスなどによって髪の毛をいじったり抜いたりしてしまう病気で、患者の多くが思春期の女子です。円形脱毛症と合併している場合もあり、適切な診断には皮膚科専門医によるダーモスコピー観察が有用です。

一般的には抜毛行為をやめれば髪の毛は生えてくると安易に考えられがちですが、精神的な病気を抱えていたり、まったく無意識に触っていたりすることも多く、本人も治したいと思っているのに治せないと深く悩んでいるケースも少なくなくありません。そのため、家族など周囲の人が厳しく咎めることは避けるべきです。

治療

すぐに治そうとはせずに本人の気持ちに耳を傾けながら、抜毛行為を見かけたら優しく気付かせてあげることが大切です。精神科医師と皮膚科医師の連携が必要となる場合もあります。

抜け毛の原因には生活習慣、ストレス、病気などさまざまなものがあります。適切な対策をするためには、まず原因を突き止める必要があります。もし原因が病気であればそれに応じた治療が必要となるため、抜け毛が気になる場合は早めに医療機関の受診を検討するとよいでしょう。

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