院長インタビュー

小児救命救急センターとして東海三県の小児医療の最後の砦としての重責を担う、あいち小児保健医療総合センター

小児救命救急センターとして東海三県の小児医療の最後の砦としての重責を担う、あいち小児保健医療総合センター
メディカルノート編集部  [取材]

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あいち小児保健医療総合センターは、2001年11月の一部オープン以来一貫して“子どものための医療と保健の提供”に注力し、成長を続けてきました。

今や愛知県下だけでなく東海圏内においても“子どもの最後の砦”として、なくてはならない存在となった同センターの特徴や強みを、伊藤 浩明(いとう こうめい)センター長にお伺いしました。

あいち小児保健医療総合センターの歴史は2001年11月に始まりました。当初は診療科目14科目・病床数42床という比較的小規模な状態でのスタートでしたが、2024年6月現在においては診療科目31科目・病床数200床を有するまでに成長を遂げています。100名を超える医師を擁し、31科目の診療科目すべてが小児専門である当センターは、愛知県唯一の“子どものための保健医療施設”としての役割を担っています。

当センターは2016年2月に東海三県初の小児専門の救急棟を開所して小児集中治療室(PICU)などを設置し、同年3月には東海三県で初となる“小児救命救急センター”の指定を受けました。近隣の病院では対応が困難な重篤の子どもに対応するための小児三次救急を24時間365日実施している当センターには、県内だけでなく岐阜や三重などの近隣県や、大学病院・赤十字病院などからも小児患者さんが来ています。

こうしたニーズに可能なかぎり応えられるよう、体外式膜型人工肺( ECMO(エクモ))はいつでも稼働でき、さらにECMO搬送も可能なドクターカーを導入しています。さらに、遠方から重篤な小児患者さんを迅速に受け入れるためのヘリポートも備えており、愛知県内の主要な病院からヘリによる転院搬送を受け入れています。

救急医療対象となる疾患としては、蘇生が必要な呼吸不全、循環不全、意識障害などの内因系救急疾患および、外傷や熱傷、中毒などの外因系救急疾患が挙げられます。受け入れ後は救急科医師による初期診療を行ったうえで、集中治療科や各専門診療科と連携し、最適と考えられるフォローを行います。もちろん、一般的な救急紹介患者やご自身で受診された方たちも、看護師によるトリアージを行った上で必ず受け入れています。

当センターの強みは、重篤な小児患者に対する救急対応だけではありません。

当センターの数ある診療科目の中でも、特に強みのある科をいくつかご紹介します。

感染免疫科の主な診療内容は感染症・膠原病・免疫疾患ですが、その中でも小児膠原病の患者さんについては県内のみならず他県の医療機関からの紹介も多く、小児膠原病の診療実績は全国でも非常に多くなっています。

腎臓科は当センターが開院当初から強みとしている科のひとつで、尿検査から腎移植後の管理まで、小児のすべての腎疾患に対応しています。中でも腎不全、特に慢性腎不全の治療や管理には力を入れており“慢性腎不全を抱えている子どもが、できるだけ子どもらしい日常生活や学校生活を過ごせるための治療”を心がけています。

大人向けの泌尿器科ではなく“小児専門の泌尿器科チーム”だからこそ、先天性の尿路や性器異常に対する外科的治療を得意としております。

たとえば性器治療については、見た目では性別がわからないような状態の外性器であっても、内分泌科と協力して実際の性別や性ホルモンの異常を明らかにしながら、将来の形態や機能を可能なかぎり考慮した治療を行います。

尿路の治療においても、将来にわたって腎機能を保持できるよう考慮した治療を行います。

当センターは医療だけでなく小児保健も大きな柱のひとつとしている保健医療施設であり、県内における小児保健の中核的な役割を担っています。

妊娠期からの児童虐待予防や対応活動、時間外電話相談・子どもの保健と医療の連携システムなどをはじめとしたさまざまな課題に取り組み、その解決を図っております。

ホームページや公式LINEによって、患者さんおよびご家族に対する“Q&A”や“子どもの健康お役立ち情報”の提供や、医療従事者に対する保健情報提供などを実施中です。

もちろん、当センターでは、小児患者さんに対するケアも重視しております。

2024年6月現在、センター内には非常勤を含めて11名の保育士が活動しています。ボランティアの受け入れも含めた院内行事の開催や、ひとりひとりの興味や関心・発達に合わせた遊びの提供などを通して、院内に子どもの生活空間を作り、ストレス軽減や発達援助を図っています。

在籍保育士のうち6名は、病気や障がいがある子どもをより専門的にサポートする専門職“ホスピタル・プレイ・スペシャリスト(HPS)”の修了資格も有しています。

さらに当センターは2013年度から、愛知県の児童虐待防止ネットワーク事業の拠点病院としての活動も開始しました。今後も当センターは、子どものために役立つ、より良い保健医療施設となるための努力を続けていきたいと考えております。

わが国の少子化が進む中、子どもを守るためには小児に対する保健医療の水準をより引き上げていくことが必要不可欠であり、その一翼を担うことは当センターの使命でもあると考えております。

そのために当センターは、センター外での講座や勉強会などを通じて保健活動の輪を広め、積極的な臨床研究や論文発表などの努力を続けております。

当センターはこれからも“子どもの最後の砦”としてみなさんのご期待に沿えるよう、一致団結して先進的な小児医療と充実した小児保健を追求して参ります。

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