院長インタビュー

“温もりある医療”の提供を目指し地域のニーズに応え続ける柏崎総合医療センター

“温もりある医療”の提供を目指し地域のニーズに応え続ける柏崎総合医療センター
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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新潟県柏崎市にある柏崎総合医療センターは1939年の開院以来、柏崎市と刈羽村を中心とした地域の人々に医療を提供し、現在は地域を守る総合病院として日々の診療にまい進しています。高齢化の進行や医師不足が課題とされる地域で救急医療や周産期に力を注ぐ同院の役割や思いについて、病院長の相田 浩(あいだ ひろし)先生に伺いました。

*病床数や診療科、医師、提供する医療の内容に関する情報は、2024年7月時点のものです。

当院は初め、1939年に刈羽郡病院として開院しました。当時は病床27床と診療科4つという小規模な施設でしたが、病床や診療科の拡大など種々の変遷を経て、2012年に“柏崎総合医療センター”と改称したのち現在に至ります。開院当初から現在まで柏崎・刈羽地域に密着した医療を展開し、現在では地域を支える総合病院として幅広い診療を行っています。

日本全体では高齢化と人口減少が進行しているものの、柏崎・刈羽地域では原子力発電所の立地や周辺産業の影響もあり、人口減少の速度は比較的ゆるやかな印象です。しかし一方で、柏崎市と刈羽村を合わせた人口約8万人(2024年6月新潟県公表の県内推計人口)に占める高齢者率は増加傾向にあります。このような変化に対応するには、常に先々の地域の医療ニーズの変化を見越して、その時々で必要な医療を提供することが重要になるでしょう。私は病院長として地域医療の維持と充実に努め、地域の方々の暮らしを根底からしっかりと支えていきたいと考えています。

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柏崎総合医療センターの外観

当院は現在、21の診療科と352床(回復期リハビリ病棟45床、地域包括ケア病床47床)の病床を有し、さまざまな病気の診療を行っています。

当院の内科は循環器、呼吸器、消化器、血液、腎臓、内分泌糖尿病、神経と臓器ごとに分かれており、各分野の専門的な知識と技術を備えた医師たちが治療を担当しています。そして外科は、医師不足が叫ばれるなかにあっても、消化器外科をはじめ、脳神経、整形、泌尿器などを幅広くカバーしています。柏崎・刈羽地域には脳梗塞くも膜下出血など脳血管疾患を診られる医療機関が少なく、また、脳神経外科医の数が減っていることは新潟県全体の課題とされてきました。そうした状況において当院が担う役割は大きく、ほかの医療機関と連携しながら適切な治療を行っています。

当院は柏崎・刈羽地域における救急医療の中核を担い、2次救急(処置や入院を必要とする救急)の患者さんを積極的に受け入れています。また、新潟県より地域災害拠点病院にも指定されており、2018年の北海道胆振東部地震や2024年の能登半島地震などでは、被災地に向けたDMAT(災害派遣医療チーム)の派遣を行ってきました。

救急車の受け入れ台数はコロナ禍を経て増加傾向にあり、年間およそ2,500台にのぼります。最近では、高齢かつ独居の方が増えた影響により夜間に救急車で運ばれて来るケースが目立ちます。特に高齢の方が骨折で運ばれてくるケースが多いことから、当院の整形外科には現在4名の医師が在籍し、迅速な対応に努めています(2024年7月時点)。

私の専門が産婦人科という背景もあり、当院は妊婦さんやご家族に安心して赤ちゃんを迎えていただけるように最大限のサポートに尽力しています。新潟県の周産期医療は、2012年から2022年の10年間で分娩数が3分の2に減少するなど厳しい状況にあり、同時に産婦人科医の不足も地域の課題とされてきました。2022年には柏崎市内で分娩を扱う医療機関が当院のみとなり、よりいっそう周産期医療を担う存在としての責務を感じています。このような状況においても地域の方々に不安なく出産に臨んでいただけるよう、分娩に対応する環境と人員の維持に努める所存です。

当院には私を含めて産婦人科医が4名在籍しており、思春期外来、更年期外来、子宮がん検診の2次検査などにも対応しています(2024年7月時点)。また、子宮筋腫卵巣腫瘍などの良性疾患に対する手術にも対応し、悪性腫瘍に関しては当院で必要な処置を行ったうえで長岡中央綜合病院など連携施設に紹介をしています。我々は“温もりある医療”の提供に日々努めていますので、どうか安心してお越しください。

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柏崎総合医療センターの外観

地域医療を維持していくうえで、若い世代の医療者の育成は急務です。新潟県では行政主導で臨床研修医の育成に力を入れており、当院も臨床研修病院の1つとして参画しています。

最近は、地域医療に興味を持ち研修に来てくれる若手医師が徐々に増えています。彼らにいかに定着してもらうかが、最大の課題です。私たちは先輩医師として責任を持って若手医師の指導にあたると同時に、地域への愛着を育み、若手医師が柏崎・刈羽地域に根づき、地域医療が発展していくことを願っています。次世代の医療を担う若い医療者には、患者さんを大切に、共に働く同僚を大切に、精一杯の診療をしてほしいです。

地域の方々にぜひお願いしたいのは、研修医を温かい目で見守っていただきたいということです。研修医とはいえ彼らは十分にトレーニングを積み、救急医療の現場でも即戦力として活躍してくれています。そして、彼らのそばには指導医がきちんと待機しています。研修医は次の世代の医療を担い、地域医療を守る大切な存在です。私たちと同じように「地域の中で人を育てる」という気持ちで、安心して治療をお任せいただければと思います。

私は新潟県で生まれ、秋田大学医学部を卒業後に新潟に戻り、産婦人科医になりました。上越総合病院の副院長を経て、当センターの病院長に就任したのは2019年です。病院長になったのを機に広報委員会を立ち上げ、ホームページも一新しました。また、小中高生の職場見学の受け入れや、インスタグラムなどのSNSを活用した情報発信など、積極的な広報活動や地域との交流の活性化にも尽力してきました。

こうした取り組みは全て、柏崎・刈羽地域の医療を守り、次の世代にバトンを渡すためです。ご縁があってここに来たわけですから、そのご縁を大切につないでいくことが今の私の役割です。「80年以上の歴史ある当センターを自分の代で終わらせるわけにはいかない」――そんな気持ちで今後も人材面・設備面を含めた医療体制の充実に努めてまいりますので、ぜひご期待ください。

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