院長インタビュー

実直に市民の健康と命を守り続ける済生会横浜市南部病院

実直に市民の健康と命を守り続ける済生会横浜市南部病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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済生会横浜市南部病院*は、1970年代に人口が急増する横浜市で進められた大規模総合病院の建設計画に基づき、1983年6月に開院しました。2023年に開院40周年を迎えた同院は、横浜市の地域医療支援病院や二次救急指定病院、神奈川県の災害医療拠点病院などさまざまな責務を担い、市南部の医療を支える大きな柱として現在も成長を続けています。同院の取り組みや思いについて、院長の猿渡 力(えんど つとむ)先生にお話を伺いました。

*病床数や診療科、医師、提供する医療の内容に関する情報は、2024年7月時点のものです。

外観(提供写真)
済生会横浜市南部病院ご提供

人口が急増する横浜市で1970年代から進められていた大規模総合病院の建設計画に伴い、1983年6月に済生会横浜市南部病院は開院しました。この経緯が示すように、当院は横浜市南部における医療の中核を担う病院の1つです。現在は32の診療科と500床の病床を備え急性期医療を中心に従事するほか、福祉部門として訪問看護ステーションや地域ケアプラザ(デイサービスや居宅介護支援、地域包括支援などを行う施設)を併設し、地域のニーズに応えています。また地域の医療機関との連携体制強化にも注力しており、2003年9月には横浜エリアで初となる“地域医療支援病院”の承認を受けました。

また、横浜市の二次救急指定病院や小児救急医療拠点病院、周産期救急連携病院、小児がん連携病院、および神奈川県のがん診療連携指定病院などさまざまな責務を担い、その期待に応えるべく日々成長と努力を続けています。

最近では、開院40年を超えて施設の老朽化が目立ってきたこともあり、旧資源循環局港南工場跡地を移転先とした新病院の開設を計画中で、救急医療やがん診療、周産期医療などの分野を強化する予定です。現在は最寄り駅(電車、バス)から徒歩3分という立地ですが、移転後は駅からもう少し遠くなります。駅から近いという利点が損なわれたとしても皆さんに選んでいただける病院であるために、機能や設備の特化および質の向上に努める所存です。

当院の救急診療科は、横浜市の二次救急指定病院として、主に救急車で搬送されてきて入院が必要となる救急患者さんのけがや病気、やけどなどに対応し、特に重症な患者さんに対しては救命救急処置や集中治療も行います。2023年度の救急搬送受け入れ数は、9,203台にのぼりました(2023年4月〜2024年3月)。

また当院の救急診療科における特色の1つは、総合診療の要素も備えているという点です。高齢化の進行に伴い、当院へ運ばれてくる方の中に、複数の病気を抱えた患者さんや、病気だけでなく転倒や転落による外傷を伴う患者さんが増加しています。このように1つの診療科だけでは対応が難しい症例が増えるなか、患者さんの複合的な問題を包括的に捉え、速やかに診断と治療、適切な診療科への連携を行う総合診療の要素を備えることは、非常に重要な視点です。

なお、当院は神奈川県の災害医療拠点病院に指定されており、救急診療科が中心となってDMAT(災害派遣医療チーム)の連携訓練や災害訓練なども実施し、被災地への派遣にも備えています。

当院は2022年、新たに“乳腺センター”を立ち上げました。これにより、それまで専門外来の1つとして行っていた乳がん診療を、より専門的かつチーム医療の力を集約した形で行えるようになりました。

乳がんに罹患する方は増加の一途をたどっており、現在では年間に10万人が罹患し(2019年データ)、1万5,000人近くが亡くなっています(2020年データ)。このような状況を踏まえて、横浜市ではさまざまな乳がん対策を推進してきました。その1つとして、市内の乳がん診療体制を充実させる目的で2017年から“横浜市乳がん連携病院”を指定しており、当院は2024年にその1つに指定されたのです。今後も我々は「横浜市南部地域の乳がん診療に貢献する」というビジョンを体現するべく、患者さんの人生観や価値観を大切にしながら、乳がん診療のニーズに真摯に応えたいと思います。

当院は地域の皆さんとの交流を深めるために、市民公開講座や健康教室の開催、あるいは地元で行われるイベントへの参画を積極的に行っています。たとえば直近の市民公開講座では2024年5月に「災害に備える~地域でどんな準備が必要か?~」「乳がんの標準治療について〜そもそも標準治療ってなに?~」と題して当院の医師たちが話をしました。また地元イベントに関しては、2024年5月19日に開催された“港南メディカルフェスティバル”に共催団体として参画しました。この催しは健康と病気、命の大切さを楽しみながら学べる体験参加型イベントです。

また、当院の患者さんやご家族向けの取り組みとして、正しい治療を続けていただくための糖尿病教室や、がん患者さんやご家族が自由に語り合い交流を深めるためのがんサロン“ももの会”も当院内で定期的に実施しています。このような取り組みを通して、患者さんがより快適な治療生活を送ることに寄与し、さらに当院としても地域の方々と交流を深めることができたら本望です。

当院が誇りとするのは、職員たちのやる気、責任感、結束力です。それらは、医療現場で大いに発揮されていることでしょう。これまで病院として大変な時期はありましたが、職員たちのおかげで乗り切ってきました。私はつくづく「よい人にめぐりあえる運を持っている」と感じます。おかげさまで当院の職員はもとより、地域の医療機関の方々、そして地域の皆さんに、多くの面で支えられ、協力いただいていると日々実感しています。

市南部の医療の中核を担う総合病院として、当院の理念である“思いやりの心と質の高い医療で、地域の皆さまから信頼される病院”を目指します。そして、皆さんの期待に応えられる存在に、地域の皆さんの生命と健康を守れる存在になれるよう、今後よりいっそうの努力をしていく所存です。

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