院長インタビュー

足立区の“トータルヘルスケア”に貢献する等潤病院

足立区の“トータルヘルスケア”に貢献する等潤病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]院長インタビュー

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東京都足立区に所在する社会医療法人社団 慈生会 等潤病院(以下、等潤病院)は、“地域と共に生きる慈しみのトータルヘルスケア”という理念を掲げる法人として、時代とともに進歩している医療技術を積極的に取り入れながら、グループ内の施設とともに地域における医療や介護の拠点として、安全で良質な医療を地域の皆さまに提供できるようスタッフ一同で取り組んでいます。

今回は同院の特徴や医療体制、地域連携、現在推進している取り組みなどについて、院長である伊藤 雅史(いとう まさし)先生にお話を伺いました。

先方提供
等潤病院ご提供

等潤病院は、人間ドック施設を作る目的で1974年10月に開設された足立クリニックを前身としています。1979年6月に病院組織へと改組し、等潤病院として生まれ変わるとともに病床数を59床に増床しました。その後、1981年11月に医療法人社団慈生会が設立されてからも増床や新病棟の開設、医療機器の導入などを積極的に推し進め、2012年には社会医療法人となり、現在では病床150床を有し、急性期から回復期、慢性期まで対応可能な地域密着型病院に成長しています。

等潤病院は、地域で暮らす方々の健康を守り、地域の求める医療や介護を提供するために活動する病院です。急性期の患者さんの受け入れを積極的に行うとともに、在宅医療、訪問看護、介護部門といった法人内の施設と連携を保ち、医療と介護の一貫したサービス提供に努めています。また、患者さんやそのご家族が、急性期から慢性期、さらにご自宅に戻られた後もスムーズに生活できるよう私たちがサポートしていきます。

等潤病院は救急医療にも力を入れています。急性心筋梗塞などの心血管疾患は当院の心臓血管センター**注が、脳卒中などの脳血管疾患は脳神経外科が24時間365日対応しており、整形外科その他も含め年間の救急車の受け入れは約3,000台*に上ります。脳神経外科は東京都脳卒中急性期医療機関登録病院Aの認定を受けており、脳梗塞の超急性期の適応となる血栓溶解療法、血栓回収療法などの治療を得意としています。

また、内科系は呼吸器系の診療を主軸とし、循環器内科**注でのカテーテル治療やステント術も積極的に行っています。外科系は消化器一般、乳腺、血管外科疾患の診療に注力しつつ特に患者さんの体に負担が少ない低侵襲治療には力を入れており、胃がん大腸がんでは、進行度を十分に検討して腹腔鏡下手術を実施、早期の場合では内視鏡での治療にも対応します。人工透析は、患者さんの病気に応じて、各診療科と透析専門配属のスタッフが連携を取りながら行います。さらに、必要な場合は車での送迎にも対応しています。

*救急車受け入れ件数2935件(2023年実績)

**現在は休止中、来年より再開予定

当院の看護部では、“看護部は慈しみの心を基盤に地域の人達より信頼され、選ばれる病院を目指し、満足いただける看護を実践します”という理念のもと、患者さん一人ひとりに対して心配りを絶やさず、安心・安全な看護を提供できるように心がけています。

入院患者さん向けのイベントを開催するなど、少しでも入院生活を快適に過ごしていただけるような取り組みも行っています。心のこもった温かい看護で病院内に明るい雰囲気をもたらすことも、看護部が果たしている役割の1つです。

当院は法人として、足立区全体の医療向上に貢献したいと考えており、“統合医療ネットワーク(IHN:Integrated Healthcare Network)”という考えに基づいて地域医療に取り組んでいます。これはアメリカで広く展開されている考え方で、地域住民に医療を提供するためには1つの病院内で医療を完結するのではなく、地域医療圏全体が1つの医療機関として機能するような体制を目指すというものです。地域のさまざまな医療機関や介護施設、地域包括支援センター間の地域ケア会議に当院も積極的に参加し、介護分野でも地域で連携を図っています。

現在は社会医療法人である慈生会は、法人理念である“地域と共に生きる慈しみのトータルヘルスケア”を実現するため、医療機関としての“等潤病院”、そして等潤病院分院としての医療機能と在宅から通所・訪問サービスを持つ“等潤メディカルプラザ病院”、また“介護老人保健施設(老健)イルアカーサ”といった施設を持っています。また健診や在宅医療、居宅介護といった分野においても、足立区内にある複数の慈生会関連施設と連携を取って活動しています。

等潤メディカルプラザ

先方提供
等潤病院ご提供

2023年9月に等潤病院の隣にオープンした“等潤メディカルプラザ”は等潤病院の分院として医療機能を持ちつつ医療、介護、住居サービスを併設し、急性期・回復期からその後の維持期までをシームレスに提供できる拠点です。等潤メディカルプラザには“等潤メディカルプラザ病院”と“等潤メディケア診療所”が入っています。

“等潤メディカルプラザ病院”は、近隣地域では初めてとなる緩和ケアセンター、外来透析機能をメインとする腎センター、そして健診センターの3つのセンターを持ち、地域にお住まいの皆さまの健康増進やケアを行っています。“等潤メディケア診療所”では訪問診療を行い、ご自宅で過ごされる方が安心して暮らせるようサポートさせていただきます。

また、このプラザにはデイケア・デイサービスの通所サービスや、訪問リハビリテーションや訪問介護といった介護サービスも揃っています。プラザ内にある有料老人ホームへご入居いただくと送迎なしでサービスを利用できるため、ご家族の負担も軽減できると好評いただいています。

プラザは、多くの人が集う“広場”という意味です。1つの建物で医療から介護、その後の住まいを提供することで、地域の皆さまにぜひ気軽に集まっていただき、健康向上に向けたさまざまな医療サービスを通じて安心した暮らしを送ることができるようになればと強く願っています。

なお、事務棟には法人事務局や院内保育室のほか、訪問看護ステーション等潤、居宅介護支援事業所等潤、地域包括支援センター一ツ家があり、医療から介護までが切れ目ない迅速なサービス提供に心がけております。

介護老人保健施設イルアカーサ

イルアカーサは、ショートステイや通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションを中心とした在宅強化型の老健施設です。ここでは看護や介護といったケアや作業療法士や理学療法士などによるリハビリテーション、栄養管理や食事、入浴など日常生活のサービスまで行っており、介護が必要な方が自立した生活ができるよう、“できること”に目を向けたケアを実践しています。施設名はスペイン語で“(うち)へ帰ろう”という意味で、これは施設の理念でもあります。一日でも早く自宅での生活ができるよう、質の高いサービスが提供できるよう努めています。

等潤病院 診療技術部には放射線科と検査科という部門があり、それぞれの部門で設備の増強に力を注いできました。

放射線科では、まず第四世代320列MDCT装置への更新が挙げられます。この装置は、従来よりも被ばくを低減した撮影が期待できるだけでなく、3D撮影や4D撮影で画像情報を取得することができるため、より精密な評価が可能となりました。MRIに関しても、2014年4月より3テスラMRI装置を導入して、より鮮明な画像を取得できるようになっています。また、検査空間が従来の機器よりも拡大しているため、肥満や大柄の患者さんもリラックスした状態で検査を受けていただくことができます。

一方で検査科においても、超音波診断装置や脳波計、心電計、生理検査システムなどの導入を進めており、患者さん一人ひとりの容体や病気に応じた診断や検査を行うことができるようになっています。

このほかにも、等潤病院では電子内視鏡システム、多用途透析装置などを取り入れており、設備や機器を充実させることに対して積極的な姿勢を取っています。

また、当医療法人グループ内でITを活用することにより事業所間、他職種間の連携を取りやすくしています。その中でも特に電子カルテ関係に力を入れているのが特徴で、医療従事者同士の共有だけでなく、患者さんにも治療の主役になっていただくことが大切と考え、“カルテコ”というカルテ記録閲覧サービスを導入しています。

カルテコは患者さんのご希望があればCTなどの画像データや血液検査のデータ、内服薬、注射薬、健診結果や診療情報を、インターネットにつながるスマホやパソコンから閲覧が可能です。ご利用は無料で、ご自身で日々の健康状態や服薬歴、病歴なども記録しておけるので、日々のトータルヘルスケアにぜひ役立てていただけければと思っています。

MN

近年の若手医師の多くは真面目です。しかしその一方で、自ら進んで何かを得よう、技術を盗んでやろうといった意欲は、昔に比べると薄い傾向にあるような印象を受けます。医師としてのみならず、人間としての成長を得るために、積極的に学ぶチャレンジ精神と仕事を楽しむ意識を持っていただきたいと願っています。

当院は、病気になったとき、介護が必要なとき、健康相談をしたいときなど、どのような状況の方にも等潤病院を頼っていただける組織であるよう、これからも活動を続けていきます。

また、私たちも病院や施設の外に出て、地域の一組織としての役割を果たし、交流をしたいと考えています。

そのために、避難所訓練へ参加し救命講師をしたり、“健康応援隊”という出張イベントを行ったりしています。公民館でのリハビリ体操や健康講和、健康チェックなど地域の方に向けた取り組みを行っていますので、ぜひご参加ください。

近隣の方にはお祭りのお手伝いや、院内の救護訓練の際は患者さん役でご協力いただいています。訓練では出血のお化粧もして、搬送やトリアージの訓練や簡易の治療の練習台になっていただきました。コロナ禍以降は休止していますが、またお力をお貸しいただける日が来ることを願っています。

新設した等潤メディカルプラザは、医療・介護・生活に関すること全てにおいて、人々が集う場所であってほしいという願いから、“広場”という意味を持つ“プラザ”を名づけました。何か困ったときにはぜひ相談にいらしてください。

実績のある医師をチェック

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