院長インタビュー

高齢の方が住み慣れた土地で医療とケアが受けられるよう、日々尽力する第一病院

高齢の方が住み慣れた土地で医療とケアが受けられるよう、日々尽力する第一病院
杉原 健一 先生

光仁会 第一病院 院長、 東京科学大学(東京医科歯科大学) 名誉教授

杉原 健一 先生

目次
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東京都葛飾区にある社会医療法人社団光仁会 第一病院(以下、第一病院)は、高齢の方が多く住む地域に根差して医療を提供している病院です。最近では、NHKドラマ『燕は戻ってこない』のロケ地にもなりました。地域特性を考慮し、人々のニーズに応え続ける同院の特徴や思いについて、院長の杉原 健一(すぎはら けんいち)先生に伺いました。

1947年、葛飾区東金町(ひがしかなまち)に第一医院として開設されたのが当院の始まりです。その後、患者さんの増加を受けて1962年に現在の“第一病院”に発展し、1981年11月には“医療法人社団光仁会”を設立するに至りました。現在は一般外来として内科、外科・消化器外科、整形外科、リハビリテーション科のほか、糖尿病内科や循環器内科、呼吸器内科など15の専門外来、および136の病床(一般病床101床、医療療養病床35床)を備える病院となっています。

最寄り駅であるJR常磐線金町駅から東京メトロ千代田線の大手町駅までは直通で約25分であり、当院のあるエリアは都心までの交通の便がよい場所です。また、2013年に東京理科大学の葛飾キャンパスが開設した影響も相まって、この地域には多くの若い方々が暮らしています。ただ、都心で働いている人たちは都心の病院にかかることが多いようです。一方、この地域に住む高齢の人たちは当院を受診される傾向にあります。このような地域特性を反映した医療施設として、当院では特に高齢の方々が必要とする医療サービスの充実に努めてきました。そこには、この地域に暮らす高齢の方々が住み慣れた地域で良質の医療やケアを完結できるよう可能な限りサポートしたい、という思いがあります。

当院の外科には消化器外科医が私を含めて4名在籍し、麻酔科には麻酔科医*も常勤しています(2024年7月時点)。外科では主に切り傷などの外傷火傷(やけど)鼠径ヘルニアなどに対する治療を、消化器外科では胆嚢炎や虫垂炎大腸がん胃がん膵臓がんなどに対する手術を行っています。高齢の方であっても手術や内視鏡治療により適切で安全な治療、QOLを高める治療を目指しています。

手術に伴う合併症として、たとえば大腸がんの場合には縫合不全(縫い合わせた腸管がうまくくっつかない)や術後肺炎などがありますが、これらの合併症を防止するべく安全性の高い手術を行い、また、術前・術後の患者さんの全身状態の管理をしっかり行っています。特に、高齢の患者さんでは手術後の安静によって足腰が衰えてしまうことがあるため、術後は早期にリハビリテーションを始めています。

*第一病院の麻酔科医:森野良蔵

術後は早い社会復帰を目指すために、リハビリテーションに力を入れています。手術後はなるべく早い段階で運動機能のリハビリを開始することで、高齢の患者さんでも元の生活に復帰できるように努めています。さらに入院中のリハビリのみにとどまらず、退院後も訪問リハビリを行っていて、また、要支援、要介護と認定された方を対象とした通所リハビリも行っています。通所リハビリでは1対1の個別リハビリ(最長40分)を通じて、QOLの向上を目指しています。現在、通所リハビリの送迎範囲は東金町、水元、東水元、南水元、西水元で、それ以外の地域の方は、要相談となります。

当院は内視鏡検査にも対応しています。2023年度(2023年4月〜2024年3月)には592件の上部消化管内視鏡検査・処置を、350件の大腸内視鏡検査・処置を行いました。コロナ禍の前よりも検査数が減っていることから、がん検診などで精密検査をすすめられても放置している方が増えているのではないかと懸念しているところです。もしバリウム検査(胃透視検査)や便潜血検査などで異常を指摘された場合には、精密検査をきちんと受けるようにしましょう。

検査を行う医療機器については、2022年に従来よりも広範囲を短時間かつ高精細で撮影できる80列CT装置を導入しました。さらに今年は骨密度測定装置も導入し、骨粗しょう症の早期発見に努めています。このような取り組みを通じて、地域の皆さんの健康維持や病気の早期発見に貢献したいと強く願っています。

東京都が指定する二次救急医療機関の1つである当院は、休日および夜間を含めて二次救急(入院治療を要する救急)の患者さんの受け入れを積極的に行っています(2024年7月現在)。2023年には年間1,070台(2023年4月〜2024年3月)の救急車を受け入れました。この地域の高齢者介護施設などで暮らす方が急に具合が悪くなって搬送されてくる場合も多く、地域の救急医療を支える病院として今後も365日24時間、患者さんを受け入れてゆく所存です。

当院は、日本医科大学や東京医科歯科大学、東京慈恵会医科大学葛飾医療センターなどと医療連携体制を構築しています。それらの連携病院で急性期治療を終えてリハビリを要する患者さんを当院で受け入れるとともに、当院では対応が難しい患者さんの治療を連携病院へお願いしてきました。

さらに周辺の介護施設とも連携を図り、訪問診療や訪問看護も行っています。当院の医師が介護施設を定期的に訪問して入居している方々の診療を行い、入院治療が必要であれば当院で受け入れています。このような連携体制の維持には当院の“医療福祉連携室”が大きな役割を果たしています。医療福祉連携室では、退院後の療養に伴う患者さんのご相談を認定医療ソーシャルワーカー(日本医療ソーシャルワーカー認定協会認定)がお受けしており、訪問診療や訪問看護の利用に関する相談にも対応しています。

少子高齢化が進行するなか、看護師の人材不足は日本全体の課題とされています。当院においてもその課題は例外ではありません。その対策として保育所を院内に設置したり、看護補助者を多く雇い入れたりして、看護師さんたちが働きやすい環境づくりに努めています。現在、近隣在住の子育て世代のベテラン看護師さんが主力となって活躍しています。当院では、医療の重要な担い手である看護師さんたちが今後も引き続きやりがいを持って働き続けられるよう、看護体制の充実を図っています。

第一医院が開設されてから今日まで、当院は地域の皆さんから求められる医療の実現に努めてまいりました。地域の皆さんの健康を守り、皆さんに信頼されるような病院を目指し、新たな医療機器を導入するなどして、医療技術の向上と診療の質の充実を図ってきています。

今後も我々は医療や看護の質を高めつつ、地域に根差した病院として患者さんに安心していただけるような医療サービスの提供および、その後の療養や生活につながるサポート体制の充実に取り組んでいく所存です。

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