マイコプラズマが主に引き起こすのはマイコプラズマ肺炎です。マイコプラズマ肺炎の主な症状の特徴は、しつこくて乾いた咳と喉の痛みなどです。しかし、ほかの肺炎と比較すると、症状が軽い、ゆっくりと進む、といった特徴もあります。マイコプラズマ肺炎のこれらの特徴について、川崎医科大学小児科学教授の尾内一信先生に詳しくご解説いただきました。
冒頭でも述べたように、マイコプラズマ肺炎の症状は、しつこくて乾いた咳と喉の痛みです。また、ほかの肺炎と比較すると症状が軽いという特徴を持つため、「ウォークインニューモニア」という呼ばれ方もします。これは、病院の外来に本人が歩いて受診できる(ウォークイン)ような肺炎(ニューモニア)という意味です。救急車で来るような肺炎ではないという意味も含んでいます。受診後に胸部レントゲンを撮影してみて異常所見が見つかり、実は肺炎だったという診断がついてから、「風邪だと思って来たのに肺炎だったんだ」と驚く患者さんが多いのも特徴です。(しかしもちろん、人によっては重症になって入院するケースもあります。)
マイコプラズマ肺炎と、いわゆる普通の細菌性の肺炎(肺炎球菌などが原因となる肺炎)とを比較してみると、症状がゆっくり進んでいくことも特徴として挙げられます。普通の肺炎では、細菌が1分間に1回も2回も、スピーディに分裂していきます。一方、マイコプラズマの場合は2つに分裂するのに3~6時間ほどの時間がかかります。身体の中でゆっくりと増えていくため、潜伏期間も2~4週間と長く(2~4週間くらいかけて咳や熱などの症状が出る)、「いつもらったのか分からない」ということも多くあります。
マイコプラズマによる発熱の特徴も、一般的には「熱が徐々に高くなっていく感じ」といわれます。例えば、インフルエンザではあっという間に39~40度ほどになりますが、マイコプラズマの場合は始まりが明確には分からないのです。「始まった時期が何曜日だったか、この時はどうだったか?」という質問に対し、患者さん自身も明確に答えられないというケースもよくあります。
マイコプラズマ肺炎の特徴の一つに、「免疫力が強い人のほうが症状はひどくなる」というものがあります。実は、マイコプラズマは強い毒素を出しません。そのままそこにいて悪さをしないこともあります。しかし、人の免疫機構はマイコプラズマを異物と認識します。そのため、マイコプラズマが体内に侵入すると免疫系が反応してしまい、そこに白血球が集まるなどして、戦いが始まります。戦いが始まったことが、「肺炎」という形で病気として顕在化するのです。
そのため、免疫機構が弱い乳幼児の場合は肺炎になりません。あるいは、極端な例を挙げれば、がんの末期の方はマイコプラズマ肺炎になりません。免疫機構が弱くなっている方や免疫不全の方の場合、免疫機構がマイコプラズマに対して戦いを起こさないため、マイコプラズマ肺炎を起こすこともないのです。
家庭内でマイコプラズマが流行っている状況の中で、「兄は肺炎、妹は気管支炎」というパターンもよく見られます。年齢がある程度高くならなければ、つまり、おおよそ4~5歳より上にならなければ、肺炎にはなりません。3~4歳までは免疫力が強くないために気管支炎で終わり、免疫力がついてくる4~5歳では肺炎になってしまうというわけです。
川崎医科大学 名誉教授、川崎医療福祉大学 医療福祉学部 子ども医療福祉学科 特任教授
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