いっかせいのうきょけつほっさ

一過性脳虚血性発作

別名:TIA
脳

目次

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概要

脳には、多くの血管が張り巡らされており、そこから栄養と酸素が供給されています。動脈硬化などにより脳の血管の一部が細くなったり詰まったりしてしまうと、脳へ十分な酸素が行きわたらなくなります。このような血液の供給不足(虚血:きょけつ)が起きると、その部分の脳に障害が生じ、麻痺などが引き起こされます。

一過性脳虚血発作(TIA)とは、一時的に脳が虚血状態となって神経症状が起き、24時間以内に改善するものを指します。一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前駆症状とも考えられています。

原因

もともと虚血の原因ができていることが重要で、2つの起こり方があります。

閉塞性

太い血管や心臓内に血の塊(血栓)ができ、その一部が飛んで脳の細い血管を詰まらせるものです。詰まった血管と関係している脳の支配部位は、血液供給が足りなくなることで障害を受けます。これにより神経症状が現れます。
ここまでは通常の脳梗塞と同じメカニズムです。しかし、できた血栓が小さい場合は自然に溶けて血流が再開するため、神経症状も消えるのです。

血行力学性

元々脳に血液を送る血管が細くなっており、一時的に血圧が低下することで、その先にある部分への血流が大幅に減少し、脳虚血状態になります。
血圧が戻れば血流も戻るので神経症状は消えます。しかし、再び何らかの理由で血圧が下がると一過性脳虚血発作を繰り返すことがあります。

症状

一過性脳虚血発作の症状は、脳内のどの血管が閉塞したかによって異なります。
脳内の血管は大きく分けて内頚動脈系(ないけいどうみゃくけい)椎骨脳底動脈系(ついこつのうていどうみゃくけい)があります。内頚動脈と椎骨動脈は首にある太い血管で、これらが頭蓋内に入り、脳内で細かく枝分かれして末梢血管になります。この2つの血管系は脳内で走行する部分が異なり、閉塞したときに現れる症状にはそれぞれ特徴があります。

内頚動脈系

麻痺やしびれ、脱力などの神経障害が起こります。また、片目の一時的な視力障害が起きたり、言葉が出てきづらくなったりすることもあります。

椎骨脳底動脈系

特徴的な症状は、めまいや歩行困難、言葉が出てくるのにうまく話せない(舌が回らない)、飲み込めないといったものです。これらの症状は、椎骨脳底動脈系が栄養する小脳や延髄の機能障害による症状です。
 

検査・診断

一過性脳虚血発作は症状が数十分以内に治まることが多いので、受診時に症状がないこともあります。そのため、詳細な問診が必要になり、その原因を探る検査を行うことになります。

 

画像検査

最も簡単に行える画像検査はCT検査です。しかし、CT検査では24時間以内に発症した梗塞の病巣は映らないことがほとんどです。

一方、MRI検査では拡散強調画像という撮影方法で、発症してすぐの梗塞巣を映すことができます。MRI検査では、一過性脳虚血発作のような微小な虚血病変でも発見できることがあります。血管の像だけを作るMRAによって、血管が細くなっていることを確認できることがあります。また、脳梗塞や脳内出血、腫瘍との鑑別(見極め)を行うこともできます。

心電図検査

心房細動などの不整脈があると、心臓の中で血栓ができやすくなります。心房細動は非常に重症の脳梗塞に移行することも多いため、心電図できちんと検査して適切な予防を行うことが大切です。

超音波検査

心臓の弁や首の血管の異常を調べます。特に内頸動脈に細くなっている部分がないかを調べることは非常に役に立ちます。
 

治療

一過性脳虚血発作を発症した原因によって治療方法は異なります。治療の目的は、脳梗塞への移行を防ぐことです。心房細動や弁膜症などが原因で血栓が生じた場合には、一部の抗凝固薬などを内服する治療が行われます。それ以外の原因が考えられる場合には、抗血小板薬の内服による治療が行われます。

また、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、動脈硬化を起こしやすくする病気がある場合にはその治療も同時に行われます。超音波検査で内頚動脈が著しく狭まっていることがわかった場合には、手術によって狭くなった部分の血管の内側の病変を取り除く頸動脈内膜剥離術(けいどうみゃくないまくはくりじゅつ)を行ったほうがよいこともあります。

高齢者や心臓の病気があり手術を受けることが難しい方の場合には、頸動脈ステント術が行われることもあります。頸動脈ステント術とは、カテーテルを用いて内頚動脈にステントを挿入し、血管を広げる治療です。
 

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