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大腸ポリポーシス

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

大腸ポリポーシスとは、大腸の粘膜に多数のポリープが生じている状態です。全身のさまざまな粘膜に生じた隆起上の病変をポリープといい、ある一部分の粘膜に通常100個以上のポリープが生じている状態をポリポーシスと呼びます。

大腸ポリポーシスには、遺伝性と非遺伝性のものがあります。遺伝性の代表は家族性腺腫性ポリポーシスで、治療をせず放置するとがん化することがわかっています。非遺伝性の大腸ポリポーシスの原因疾患には、潰瘍性大腸炎クローン病などの炎症性疾患などがあります。

いずれも大腸だけではなく、胃や小腸など、他の消化管にもポリポーシスを形成します。

原因

遺伝性

家族性腺腫性ポリポーシス

がん抑制遺伝子であるAPC遺伝子の異常によって生じる遺伝性の病気です。家族性腺腫性ポリポーシスのうち約7割は常染色体優性遺伝という遺伝形式を取り受け継がれたもので、約3割は突然変異により生じたもの(孤発性)といわれています。

若年性ポリポーシス

がん抑制遺伝子であるSMAD4遺伝子の変異などにより生じます。

その他

Peutz-Jeghers症候群、若年性ポリポーシス、Cowden病があります。

非遺伝性

潰瘍性大腸炎

原因は解明されていませんが、ストレスや腸内細菌叢の異常、自己免疫の異常などが関与していると考えられています。

クローン病

原因は解明されていませんが、消化管内で異常なサイトカインが分泌され粘膜が傷害されることや、食事の欧米化などが関与していると考えられています。非遺伝性ですが、環境要素と遺伝的要素が重なって起きるという説もあります。

Cronkhite-Canada症候群

原因は解明されていませんが、ストレスとの関係が指摘されています。

症状

症状はそれぞれの病気によって大きく異なります。

遺伝性

家族性腺腫性ポリポーシス

下血や血便によって発見されることが多く、重度な出血がある場合には貧血になることもあります。また、下痢や腹痛などさまざまな腹部症状が現れます。

大腸だけでなく、胃や十二指腸にもポリープが生じることが多く、消化管以外にも顎骨腫や軟部組織腫瘍、子宮がん甲状腺がんなどの合併を起こすことがあります。家族性腺腫性ポリポーシスは、未治療のまま放置すると100%がん化するとされています。20歳頃からがん化が始まるとされるため、迅速な診断と適切な治療が大切です。

若年性ポリポーシス

下血や血便によって発見されることが多いです。若年性ポリポーシスはポリープが有茎性(ゆうけいせい)であり、大きくなると腸閉塞腸重積の原因になることがあります。

腸の奇形や水頭症口蓋裂などの先天奇形に合併しやすいことが報告されています。

非遺伝性

潰瘍性大腸炎

腹痛と下痢、下血を生じます。重症例では体重減少、微熱なども現れます。

再発しやすく、直腸から口にかけて連続性に病変が現れることが特徴です。

重大な合併症として、腸管穿孔や中毒巨大結腸症などが挙げられます。

クローン病

最も多い症状は腹痛と下痢です。血便はそれほど多くないという特徴があります。重症になると、発熱や痔瘻裂肛などの肛門病変や消化管穿孔を来たすことがあります。消化管穿孔は早期に治療を行わなかった場合、敗血症多臓器不全に移行することがあるため注意が必要です。

Cronkhite-Canada症候群

下痢、腹痛、体重減少などの一般的な消化器症状が現れます。体重減少は蛋白漏出性胃腸炎の合併によるものであり、栄養状態が悪化すると死に至る可能性があります。爪の委縮、全身の脱毛、色素沈着などの合併症が生じることもあり、一部ではがん化も報告されています。

検査・診断

主に、血便や下血、長引く下痢が生じたときに精密検査を行って発見されることが多いです。どのタイプの大腸ポリポーシスでも基本的な検査はすべて同じです。

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸に病変があるときには必ず行われる検査です。ポリポーシスの範囲や程度、出血や潰瘍の状態を観察することができます。

内視鏡検査と同時にポリポーシスの組織を採取し、病理学的検査によって確定診断をつけます。

大腸造影検査

造影剤を投与して大腸を造影する検査です。口から飲む方法と、肛門から注入する方法がありますが、主に行われるのは肛門からの注入です。

便潜血検査

肉眼では確認できないわずかな出血でも判別できる検査です。血便や下血ではなく、下痢が主体症状のときに腸管内に出血があるかどうかを判断することに役立ちます。

遺伝子検査

遺伝性の大腸ポリポーシスでは、原因となる遺伝子変異を調べることがあります。特にがん化率が非常に高い家族性腺腫性ポリポーシスでは、治療方針を決定する際にも重要な検査項目となります。常染色体優性遺伝で受け継がれることがあるため、患者さんご本人だけでなくお子さんも遺伝子検査を受けることが多いです。

治療

治療はそれぞれのタイプによって大きく異なります。特に早期治療を行わなければならない場合には、確実な診断と適切な治療の選択が必要です。

遺伝性

家族性腺腫性ポリポーシス

がん化する前に手術で大腸全体を摘出することが望ましく、通常は20歳頃までに行われます。

若年性ポリポーシス

内視鏡的ポリープ切除術が行われます。ポリープの数が多い場合やがん化が疑われる場合には病変部位や大腸全ての外科的切除が行われることがあります。

非遺伝性

潰瘍性大腸炎

ステロイドや5-アミノサリチル酸投与が行われます。軽症の場合には経口投与、中等度以上の場合には注腸投与が行われます。また大腸を休ませるために、絶食の上で高カロリー輸液が行われることがあります。大腸の穿孔や中毒性巨大結腸、狭窄などの合併がある場合には外科的切除が選択されます。

クローン病

治療の第一は安静と栄養療法です。薬物はステロイドと5-アミノサリチル酸を用い、効果が得られないときは抗TNF-α抗体の点滴を行うことがあります。

Cronkhite-Canada症候群

ステロイドの投与が有効です。蛋白漏出性胃腸症を合併している場合には、栄養状態悪化を防ぐために高カロリー輸液を行うことがあります。

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大腸ポリポーシスを得意な領域としている医師

  • 社会医療法人中央会 尼崎中央病院 副院長・消化器センター長、兵庫医科大学 特別招聘教授・臨床教授

    • 大腸がん
      • 十分な郭清を伴う腹腔鏡下大腸切除術
    • 直腸がん
      • 術前放射線化学療法
      • 腹腔鏡下直腸切除
      • 肛門温存手術
      • 括約筋間直腸切除術等

      下部直腸がんに対しては、術前放射線化学療法を行った後、腹腔鏡下直腸切除を行い、可能な限り肛門温存手術(永久人工肛門を作らない手術)を行ってきた。再発の少ない、機能温存手術を心がけている。肛門操作を伴う括約筋間直腸切除術などは、大腸全摘術症例において日本をリードしている兵庫医科大学の、高度な肛門操作技術を応用、発展させている。

    • 痔瘻
      • 腹腔鏡下直腸固定術
      • 仙骨刺激装置埋め込み

      痔瘻を含む直腸肛門良性疾患の手術も多く手掛けている。完全直腸脱に対しては、腹腔鏡下直腸固定術。便失禁に対して、仙骨刺激装置埋め込みを行っている。

    • 大腸ポリポーシス
      • 予防的大腸全摘術
      • 遺伝性大腸癌の診断
      • サーベイランス

      遺伝性大腸癌を専門に研究・臨床に携わってきた。海外の研究者と密接な交流を行っており、数々の共同研究に参加してきた。リンチ症候群・家族性大腸腺腫症をはじめ、種々の遺伝性大腸癌の診断(遺伝子診断を含む)・サーベイランスを行なっており、また、専門的立場から、予防的大腸全摘術を含み、大腸癌に対する過不足ない手術を行なっている。