インタビュー

脂質異常症を改善する食事療法

脂質異常症を改善する食事療法
岸本 美也子 先生

山王病院・国際医療福祉大学 内科部長 (糖尿病・代謝)・ 国際医療福祉大学 講師

岸本 美也子 先生

この記事の最終更新は2016年03月06日です。

脂質異常症の改善には、まず食生活を中心とした生活習慣の見直しが大切です。コレステロールが多い食品を避けることも大切ですが、コレステロールを下げるためにむしろ多く摂ったほうが良いものもあります。脂質異常症の食事療法で迷ってしまいがちなポイントを交えて、山王病院内科部長の岸本美也子先生にお話をうかがいました。

●コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身・内臓・皮、乳製品、卵黄、トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品を控える。

●食物繊維と植物ステロールを含む未精製穀類、大豆製品、海藻、野菜類を多めに摂る。

●糖質を多く含む菓子類、飲料、穀類の摂取を減らし、アルコールを控える。

●n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類を多めに摂る。

最近、ローカーボダイエットと呼ばれる低炭水化物食や糖質制限の話題が多く取り上げられています。これらは糖尿病や肥満の方にとって短期的には一定の効果はあるものの、脂質異常症を治療する本来の目的、すなわち動脈硬化性疾患の予防を考慮した場合には必ずしもおすすめできるものではありません。

糖は脳の活動に必要なエネルギーですので、不足すると物忘れをしたり、気力がなくなったり、あるいは抑うつ状態になることもあります。また、全身が疲れやすくなるため、結果として長続きしません。

さらに、炭水化物や糖質を制限するとお腹が空くため、他のものでカロリーを補おうとします。そうすると主食より副菜が中心になり、タンパク質と脂質の摂取が相対的に増えます。糖を減らして体重は落ちるかもしれませんが、そのかわりに血液中の脂質が上がったり、タンパク質の摂りすぎで腎臓に負担がかかることがあります。明らかに食べすぎている分を減らしていくことには問題はありませんが、一般的な食事をされている方が炭水化物や糖質を極端に制限することはおすすめしていません。

食物繊維はほとんど消化吸収されないためエネルギー源にはなりませんし、むしろコレステロールの吸収を抑える働きがあります。糖質にはパン類・麺類・ご飯・イモなどに含まれるデンプンをはじめ、お菓子などに含まれているショ糖(砂糖)、果実に多く含まれているブドウ糖や果糖などがあり、いずれも肝臓で脂肪酸に作り変えられ、中性脂肪の原料となります。

糖質のなかで特に注意が必要なものは、デンプンなどに比べて体内での分解吸収が早く、中性脂肪に合成されやすい砂糖・果糖・ブドウ糖です。砂糖は1日50g以上摂取すると、中性脂肪の数値が上昇することがわかっています。清涼飲料(スポーツドリンクも含む)や炭酸飲料、ジュース類は500mlのペットボトル1本に砂糖が20~50gも入っていますので、これらを飲む機会が増える夏場は気をつけましょう。

 

カロリーの多い食べ物とコレステロールの多い食べ物
カロリーの多い食べ物とコレステロールの多い食べ物

 

逆に中性脂肪を下げるために積極的に食べたいのが、アジ・イワシ・サバ・サンマ・マグロなどの青魚です。これら青魚の脂には、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。このEPAとDHAには、肝臓での中性脂肪の合成を抑えて、血中の中性脂肪を減らす作用があります。そのうえ、血液を固める働きのある血小板が凝集するのを防ぐため、心筋梗塞脳梗塞の引き金となる血栓ができるのを予防してくれます。

受診について相談する
  • 山王病院・国際医療福祉大学 内科部長 (糖尿病・代謝)・ 国際医療福祉大学 講師

    岸本 美也子 先生

「メディカルノート受診相談サービス」とは、メディカルノートにご協力いただいている医師への受診をサポートするサービスです。
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。
  • 受診予約の代行は含まれません。
  • 希望される医師の受診及び記事どおりの治療を保証するものではありません。
この記事は参考になりましたか?
記事内容の修正すべき点を報告
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

    実績のある医師

    周辺で脂質異常症の実績がある医師

    山王病院・国際医療福祉大学 内科部長 (糖尿病・代謝)・ 国際医療福祉大学 講師

    きしもと みやこ
    岸本先生の医療記事

    8

    内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、心療内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科

    東京都港区赤坂8丁目10-16

    東京メトロ銀座線「青山一丁目」4番(南)出口 徒歩4分、東京メトロ千代田線「乃木坂」3番出口 徒歩4分

    医療法人財団順和会 山王病院 副院長、国際医療福祉大学臨床医学センター 教授

    やまおき かずひで
    山沖先生の医療記事

    4

    内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、心療内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科

    東京都港区赤坂8丁目10-16

    東京メトロ銀座線「青山一丁目」4番(南)出口 徒歩4分、東京メトロ千代田線「乃木坂」3番出口 徒歩4分

    国立国際医療研究センター病院 糖尿病内分泌代謝科 医師

    こだに のりこ
    小谷先生の医療記事

    3

    内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科

    東京都新宿区戸山1丁目21-1

    都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分

    伊藤内科小児科クリニック 院長

    いとう かげき

    内科、小児科、糖尿病内科

    東京都板橋区成増1丁目17-10

    東京メトロ有楽町線「地下鉄成増」出口4 徒歩4~5分 徒歩、東武東上線「成増」南口 徒歩4~5分 徒歩

    医療法人社団ユスタヴィア 理事長 、クリニックみらい国立 院長

    みやかわ たかいち
    宮川先生の医療記事

    9

    内科、神経内科、腎臓内科、循環器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科

    東京都国立市東1丁目6-9

    JR中央線(快速)「国立」南口 徒歩2分

    関連記事

  • もっと見る

    「脂質異常症」に関連する病院の紹介記事

    特定の医療機関について紹介する情報が掲載されています。

    関連の医療相談が21件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「脂質異常症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。

    メディカルノートをアプリで使おう

    iPhone版

    App Storeからダウンロード"
    Qr iphone

    Android版

    Google PLayで手に入れよう
    Qr android
    Img app