院長インタビュー

診療体制を充実させ、地域に密着した急性期病院としての役割を担う東京警察病院

診療体制を充実させ、地域に密着した急性期病院としての役割を担う東京警察病院
長谷川 俊二 先生

一般財団法人自警会 東京警察病院 院長

長谷川 俊二 先生

目次
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東京警察病院は警視庁職員の治療に当たる職域病院として、1929年に開院された病院です。2008年に千代田区富士見から、現在病院を構える中野区に移転し、新たなスタートを切りました。現在は、職務や災害で負傷した警察職員の治療にとどまらず、地域の急性期病院として地域の皆さんに医療を提供しています。

今回は、東京警察病院の特徴的な診療体制や地域での取り組みなどについて、院長の長谷川(はせがわ) 俊二(しゅんじ)先生にお話を伺いました。

東京警察病院は、地域の皆さんから信頼される病院となるよう、医療の質の向上と患者さんに満足していただける医療を目指し、日夜努力しております。

当院は、1929年に警視庁全職員の共同出資によって職域病院として診療を開始して以来、歴史を刻んでまいりました。1936年の2・26事件救護活動、1945年の東京大空襲救護活動、1960年以降の安保闘争救護活動、1995年の地下鉄サリン事件救護活動といった歴史のなかのさまざまな局面において、社会的使命を果たしています。

当院は東京都指定二次救急医療機関として、中野区、杉並区、練馬区および新宿区の患者さんを中心に、外来での対応が可能な一次救急から、入院や手術を要する二次救急まで24時間365日対応しています。とくに当院は東京都CCUネットワークに参加し、心筋梗塞などの急性心血管疾患への対応が可能なほか、一刻を争う脳卒中の急患にも対応できる一次脳卒中センターコア施設でもあります。2021年の救急車受け入れ台数は6,096台、2022年は6,385台と、当院の急性期病院としての役割は年々大きくなってきています。

加えて、東京都の地域災害拠点病院として重症傷病者の受け入れや搬送をヘリコプターなどで行うことができ、24時間災害に対応できる体制となっています。

救急センター

当院は脳卒中センターを設置しています。ここでは、外科手術と血管内治療の両方を行うことのできる設備と医療スタッフをそろえており、24時間体制で脳血管障害を治療することが可能です。そのため、患者さんの病気の状態に合わせて、適切な治療を選択することができます。

特に、脳動脈瘤の治療に関しては、くも膜下出血を起こした破裂動脈瘤や、まだ破裂していない脳動脈瘤に対して、動脈瘤の位置や大きさ、患者さんの状態やご希望に合わせて、適切に治療を行うことが大切です。脳卒中センターでは、日本脳神経外科学会認定の脳神経外科専門医による外科手術か、日本脳神経血管内治療学会認定の脳血管内治療専門医による血管内治療を選択することができます。

また、脳卒中後のリハビリテーションにも力を入れております。脳卒中になると体に麻痺が残ることや、失語の状態になることがあります。早期から適切なリハビリテーションを行うことで、日常生活への復帰を図ることができます。

当院は、脳卒中を発症した患者さんができるだけ速やかに治療を受けられる体制が整備された医療機関として東京都脳卒中急性期医療機関として認定されており、また日本脳卒中協会からも一次脳卒中センターコア施設の認定も受けています。当院は認定医療機関として、発症して数時間以内の脳梗塞の患者さんに対する、t-PA治療(超急性期の脳梗塞治療に用いられる血栓溶解療法。薬により血栓を溶かす治療)や、カテーテルによる血栓除去術の実施に力を入れています。

当院の産婦人科では、陣痛から分娩、分娩後2時間までを同じ部屋で過ごすことができる、LDRを4部屋完備しております。LDRとは、陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、回復(Recovery)の頭文字で、産婦さんの負担を軽減するための設備です。事前に手続きいただくことで、LDRでの立ち会い出産も可能です。ご家族と一緒に1つの部屋で過ごしながら、妊婦さんが安心して出産に臨めるよう、手厚いサポートを行っています。

また、妊娠中から産後まで、妊婦さんに応じたレッスンを用意しています。授乳ならびに沐浴指導や、家族計画指導、調乳指導など、時期に合わせた指導を行っています。

2023年10月からは入院時必需品だったマタニティ・タオル等のアメニティを無料でご提供するとともに、分娩着等お産に必要なグッズをまとめたお産セットをプレゼントさせていただいております。さらに、退院前に豪華なお祝い膳をご用意したりと、より快適に出産していただけるよう大幅にリニューアルいたしました。

無料でお贈りするお産セット
お祝い膳

産婦人科では、各診療科の医師や管理栄養士、薬剤師などと連携することで、合併症のある妊産婦さんのハイリスクな出産も安全に行えるよう努めているほか、新生児に対しても日本小児科学会認定の小児科専門医が、診察および管理をしています。また、当院は総合病院であり、妊娠糖尿病高血圧などの妊娠の合併症に対しては診療科の枠を超えて、各科の専門のドクターが対応できます。安心できる環境で出産をされたい方はぜひ当院にご相談ください。

乳腺センターでは、乳がんに対して、日本乳癌学会認定の乳腺専門医、日本形成外科学会認定の形成外科専門医、ICCA認定のリンパ浮腫専門看護師が、外科治療から乳房再建、精神面でのサポートやリンパ浮腫の外来治療などの幅広い治療を行っています。

女性の患者さんが多いため、患者さんが心配な症状があったときにストレスなく受診していただけるよう、女性の常勤医が2名在籍している(2023年10月時点)ほか、エコーなどを行う臨床検査技師9名は全員女性であり、さまざまな場面で女性スタッフが対応可能です。 

当院では2019年より、手術用ロボット“ダビンチ”を導入しています。ロボットは精密な動きができ、また以前のように大きく開胸、開腹等をすることなく小さな孔から手術ができるので、体への負担が少ないのが特長です。体への負担の少なさは退院までの日数短縮に寄与できるため、患者さんにとって大きなメリットがある治療方法といえます。

当院では前立腺がん腎臓がんの手術にロボットを使っているほか、2022年からは良性の子宮疾患、2024年からは直腸がんの治療にもロボット手術を導入しました。当院では今後も、より多くの患者さんに負担の少ない治療を提供していこうと考えています。

当院の前立腺がん治療センターは、症例数豊富な医師が患者様とともに最善の治療方針を決めるシェアード・ディシジョン・メイキングによって治療を進めています。

当院では前述のロボット手術の他、オーダーメイドでより多くの線量を照射できる放射線治療装置“リニアック”によってIMRTやVMATなどの新しい放射線治療や、前立腺内から放射線を照射する小さなカプセルを挿入する小線源治療が行なえます。
再発・転移の可能性の高い高リスク例には、手術を行わない小線源治療・体外照射・ホルモン療法の3者併用療法も選択できます。

当院は開院以来、毎年初期研修医を受け入れ、若手医師を育成する病院としての役割を果たしてきました。

当院は地域の皆さんに信頼していただける病院を目指し、一般的な病気から希少な病気まで幅広く対応することを求められています。そのため、初期研修中に臨床医としての基礎を身につけることができる研修施設を目指しています。

初期研修の間に着実に経験を積み、臨床医としての第一歩を確実なものにしたいと考えている、熱意ある医学生の皆さんは、ぜひ一度当院を訪ねてみてください。

当院の看護部は、段階的に目標を設定することで、着実にスキルアップができるような教育体制を取っています。また、看護師が長期的なキャリアを築けるように、育児時短勤務制度や年間休日の確保など福利厚生も充実しています。当院では、育児をしながら仕事を続けることができるよう、これからも職場環境の整備に努めていきます。

当院は元は警察職員の職域病院ですが、現在は地域の医療を担う基幹病院としての役割も持っています。「医療の質の向上と患者さまの満足を目指し、日夜努力いたします」という当院の理念のもとにスタッフ一同が地域の皆さんに信頼される病院でありたいと考え、日々の診療に励んでいます。

これからも、安全な医療の提供と充実した診療体制の整備に力を尽くし、急性期病院としての役割を果たすとともに、より一層、地域の皆さんの健康と安心に寄与できるように努力してまいります。

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