院長インタビュー

泌尿器科と回復期リハビリテーションで高く信頼される、武蔵野陽和会病院の強みと魅力

泌尿器科と回復期リハビリテーションで高く信頼される、武蔵野陽和会病院の強みと魅力
長倉 和彦 先生

武蔵野陽和会病院 病院長・理事長、東京泌尿器科医会 会長

長倉 和彦 先生

この記事の最終更新は2018年05月21日です。

武蔵野陽和会病院は、1961年に「西窪病院」として開設しました。2006年に現在の武蔵野市緑町へ移転したと同時に、「武蔵野陽和会病院」へと改称し、開設以来50年以上にわたり地域と共に歩んできました。1988年には体外衝撃波腎・尿管結石破波法(ESWL)の施設基準適合承認を得て健康保険の診療を都内で2番目に導入しました。泌尿器疾患である腎結石、尿管結石に対する先駆的な治療を開始した同院では、泌尿器科を中心として病院機能を拡大させてきました。また、1990年代に入ってからは、外来透析クリニック、健診専門クリニックのほか、訪問介護や介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームを近隣に開設し、武蔵野市地域の高齢者ケアにも注力してきました。今回は、泌尿器科治療の第一線に立ち続けながら同院の院長を務め、医療法人社団武蔵野陽和会の理事長でもある長倉和彦先生にお話を伺いました。

 

画像提供:武蔵野陽和会病院

当院では全病床103床のうち、回復期リハビリ病床を50床確保しています。14の診療科を構え、全身くまなく診られますが、当院の強みは、泌尿器科と回復期リハビリテーションです。診療圏内は幅広く、泌尿器科へは武蔵野市周辺だけでなく、多摩地区や区部あるいは埼玉県からもお越しくださる患者さんも多くいらっしゃいます。回復期リハビリ病棟へは、二次医療圏(武蔵野市、三鷹市、小金井市、府中市、調布市、狛江市)を中心に患者さんを紹介していただいています。回復期リハビリ施設としての歴史も古く、この医療圏では、はじめての回復期リハ病棟開設でした。

一般的に検査から治療までには、複数回にわたり通院する必要があり、患者さんの負担は大きくなるものです。しかし、当院では患者さんが初診で来院された際に可能な限り当日中に検査を進めます。診断がついた場合には、同時に患者さんの納得する形で治療方針を決定して手術日程も提案します。CTやMRI、検体検査や生理検査などの基本的な検査が即時対応できますし、常勤の放射線診断医がすぐに読影するなど、常に質の高い検査を実施できています。また、救急外来も設けており、24時間の診療体制を整え、さらに診療時間内の搬送であっても優先して対応しています。

当院の運営母体である医療法人社団武蔵野陽和会は、1950年に法人化されました。当法人では、患者さんを一貫してみられるように、当院にくわえて、グリーンパーク訪問看護ステーション、介護老人保健施設ハウスグリーンパーク、居宅介護支援事業所、介護付き有料老人ホームコートローレルを運営しています。また、人工透析内科と皮膚科に特化しているさくら並木クリニック、健診専門のにしくぼ診療所もあります。これらの施設は、当院に隣接ないしは200m圏内にあるので、非常に利便性も高くなっています。外来治療から入院、退院後の在宅支援までケアでき、なおかつ全身の疾患を診られる環境を整えています。患者さんの状態に合わせて、寄り添い続けるためのサービスを提供しているのが同法人の特徴です。

画像提供:武蔵野陽和会病院

泌尿器科には4名の常勤医が所属しており、毎週10件以上の手術を行っています。特に力を入れているのは内視鏡手術と腹腔鏡手術であり、低侵襲、早期回復、機能温存を最重点としています。腎臓結石の除去手術については都内においてトップクラスの技術を誇れると自負しています。また、泌尿器科疾患については、腎がんや、腎盂尿管がん膀胱がん前立腺がん、精巣がん、前立腺肥大症、結石、副腎腫瘍水腎症(腎盂尿管移行部狭窄症)、などの手術実績があります。内科、外科の手厚いサポートもあって、高度で専門的な医療を提供できています。そのため、当院の医療の質は周辺医療機関からの信頼度も高く、専門医からの紹介が大変多くなっています。

尿路結石は、90%以上が上部尿路に発生します。上部尿路結石は腎結石と尿管結石、下部尿路結石には膀胱結石と尿道結石があります。当院では、これらすべての結石に対して適切な手術をできるように多種類の治療選択肢を設けています。主に、ESWL(体外衝撃波腎・尿管結石破砕術)、PNL(経皮的腎結石除去術)、TUL(経尿道的尿管結石除去術)の3つです。当院の結石治療の歴史は長く、1988年のESWL装置導入以来、2016年までに7,740名以上の結石患者さんの治療にあたってきました。1992年からはPNLやTULも開始し、ESWLでは治療困難な尿路結石も多数手術してきました。近年では、内視鏡や技術の進歩によって、軟性内視鏡を使用した結石治療も増えています。こうして長年培ってきた知識や技術、経験によって、ESWLから高度な内視鏡治療まで、どんな尿路結石であっても応じられる体制が整っています。

当院の強みである治療方法のなかに、尿路結石に対して行う「ESWL」という治療法があります。ESWL(SWLとも呼ばれます)とは、尿路結石に対して、現在もっとも多く用いられている治療法です。体に傷をつけず、患者さんの負担が少ない優れた治療法です。当院では長年この治療法を実施してきました。実に、90%以上の結石がESWLの治療対象です。治療の合併症としては、一時的な痛み、発熱のほか、腎臓の場合には被膜下血腫を起こす可能性があります。被膜下血種の程度にもよりますが腰痛や貧血などの症状や、まれに腎臓機能の低下がみられます。このような合併症の可能性があるため、当院では原則入院治療を行っています。小さな尿管結石や、すでにESWLの治療経験がある方など、場合によっては日帰りの施術も可能です。患者さんによって条件が異なりますので、詳細については受診時にお尋ねください。ご納得いただけるまで丁寧にご説明いたします。

ESWLでは治療が困難な結石も多くあります。具体的には2、3cm以上の大きな腎臓結石・尿管結石の場合や、尿管の同じ部位に長期間留まっていて結石周囲の炎症が強い場合、腎臓機能が著しく障害されている場合、複数回にわたってESWLで治療したにもかかわらず変化のない結石、非常に硬い結石などの場合です。当院では1992年より重症度の高い結石に対する治療を行ってきました。腎臓のサンゴ状結石、腎臓に近い尿管内の大きな結石であれば、PNL(経皮的腎結石除去術=内視鏡を使い結石を砕いて除去する方法)で対応します。PNLは、高度な手技・経験や、専門的な設備・器具を求められるため限られた施設でしか行えません。まれに輸血を必要とするほどの出血が起こる場合もありますが、当院では、最近6年間で行った183例の手術で、輸血を要した症例はありません。

尿管の治療困難結石や腎臓の奥にある硬くて比較的小さな結石の場合は、TUL(経尿道的尿管結石除去術=尿道から尿管に直径2、3mmの細い尿環鏡を挿入して、ホルミウム・レーザーで結石を細かく砕き、特殊なバスケット・カテーテルで結石片を除去する方法)を用います。内視鏡で確認しながらの施術になるため、安心して根治をめざせます。

腹腔鏡手術は、小さな創(きず)で腹腔内の臓器に触れずに行えるため、患者さんの体への負担が大変軽くなります。当院では、1994年2月に腎盂がんの患者さんに対して行った腎盂尿管膀胱部分切除が最初の腹腔鏡手術です。これは、当時の日本でもはじめての症例であったと記憶しています。従来の腎盂尿管がんの手術では、摘出対象が全長30cm以上に及ぶため、必然的に創も大きくならざるを得ませんでした。特に、お腹の筋層を切断するため、一部の筋肉の機能が失われていました。腹腔鏡手術は、これを避けることができるほかに、出血が極めて少ないことが大きな長所です。最初の腹腔鏡手術の実施以来、副腎腫瘍、腎がん、腎盂形成術、前立腺がん膀胱がんへと、その適応疾患を広げてきました。今では、殆どのがんは腹腔鏡か内視鏡で手術可能となっています。

当院では前立腺肥大症の手術として、従来は経尿道的切除術(TUR-P)を行っていましたが、2004年より、いち早くHoYAGレーザーを使用したレーザー核出術(HoLEP)を開始しました。このHoLEPはTUR-Pと比べて出血が少なく、取り残しなく肥大腺腫を摘出することができます。

また、TUR-Pでは手術により切除した量が50g前後になると、輸血を必要とする症例が増えてくるのですが、HoLEPでは200gを越えるような巨大な肥大腺腫を切除しても、輸血はほぼ必要ありません。ほかの合併症や再発も少なく、経験豊富な医師によるHoLEPは、現時点ですでにほぼ完成された手技と考えられます。近隣の泌尿器科担当医の先生からの紹介もあって、今では年間実施数は100例を越えています。前立腺肥大症で苦労されている男性は沢山いらっしゃると思います。手術といわれたら誰でも躊躇すると思いますが、このレーザー核出術であれば、気軽に受けていただけます。膀胱への負担も軽くなり、周囲の血流もよくなるため、夜中に排尿に起きる回数も減ります。一人で悩まずに、是非気軽に相談にいらしてほしいと思います。

リハビリテーションについては、新病院建設当初から力を入れてきており、脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーション、呼吸器リハビリテーションの施設基準を満たしています。同科では、患者さんやご家族が住みなれた環境に少しでも早く戻れるように、一人ひとりに合わせた形で日常生活での自立と社会復帰をめざすためのお手伝いをしています。専門医師にくわえて、多数の理学療法士や、作業療法士、言語聴覚士が充実したリハビリテーション環境を365日提供しています。スタッフは、関連施設の介護老人保健施設や在宅診療にも出向しており豊富な経験を積んでいます。主に、脳血管疾患や大腿骨頸部骨折などの整形外科疾患、あるいは急性期疾患後の後遺症・障害の克服のためのリハビリや、嚥下障害高次脳機能障害に対するリハビリテーションを行っています。当院では、回復期リハビリ病棟のほか、介護施設や、在宅医療・看護とも密な連携をとっているため、リハビリ後も患者さんは安心して住み慣れたご自宅でも、設備の整った施設でも過ごせます。

 

私が院長に就任して以来、職員が気持ちよく働ける場所の創出を念頭に置いて病院運営に携わってきました。地域の方々と、患者さん、当院の職員の一人ひとりがwin-winの関係を築くことを理想として尽力してきました。その結果、近年における患者さんからのクレームは非常に少なくなりました。くわえて職員の離職率も低く、よい環境を提供できているのでは、と感じています。これらを実現させるために、私が意識して伝えてきたことは、患者さんであれ、同僚であれ、相手を「家族だと思って付き合うようにする」ということです。もし職場内で意思疎通に不具合があれば、双方にしっかりと話を聞くようにします。また、患者さんに対しては、正確な医療情報の提供はもちろんのこと、いい意味で「はっきりと伝える」ことを心がけています。相手を自らの家族だと思って接するということは、敬意を持って真剣に対応するということに他なりません。今後も、患者さんや職員が互いに歩み寄れる関係の構築に努めてまいります。

私たちは患者さんも職員も大切な仲間であると考えており、相思相愛である関係性を築けるように日々努力しています。一方通行のコミュニケーションではなく、双方が対等な関係で協力し合いながら治療を進めることを基本理念としています。また、当院ではどのような病状の方であってもすべての患者さんが安心して住み慣れた場所で過ごせるように、あらゆる方法で支援しています。患者さんが少しでも早く社会復帰できるように、当院をはじめとした法人施設全体で患者さんを見守ることのできる体制を充実させていきたいと思います。退院後も、当院の職員は患者さんのことを長期にわたり見守り続けます。患者さんの意志を尊重した医療および介護サービスを提供し、患者さんやご家族が穏やかな気持ちで安心して身を任せられる病院をめざしています。

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  • 武蔵野陽和会病院 病院長・理事長、東京泌尿器科医会 会長

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