院長インタビュー

地域とのつながりを重視した高齢者医療の提供を目指す――こうのす共生病院

地域とのつながりを重視した高齢者医療の提供を目指す――こうのす共生病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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埼玉県鴻巣市上谷に所在する医療法人社団鴻愛会 こうのす共生病院(以下、こうのす共生病院)は、鴻巣市を中心とした県央医療圏にて、高齢者医療を中心に地域密着型の医療を提供している病院です。

同院の特徴や強みとなる分野、注力している取り組みなどについて、病院長である織田 徹也(おだ てつや)先生にお話を伺いました。

こうのす共生病院は2001年4月に開院し、2021年に同じ鴻愛会の“こうのす共生クリニック”との統合・移転を果たしました。地域密着型の病院として、整形外科や内科を中心に、地域の二次救急医療も担いながら診療を行っています。開院当初の病床数は102床でしたが、地域のニーズに応えられるよう増床に着手し、2024年12月現在の病床数は116床となっています。

当院の母体である医療法人社団 鴻愛会は、医療・介護福祉・教育を3本柱にした“元気グループ”に所属しています。元気グループには介護関連の施設が多数あり、当院との連携もスムーズです。主に高齢者医療を提供する当院は患者さんの平均年齢が高く、中には治療を行っても元のような生活に戻れない方もいらっしゃいます。退院後に自立した生活が難しい患者さんや手厚いサポートを必要とする患者さんについては、グループ内の介護関連施設をご紹介するなど、患者さんにとってよりよい環境をご提供できるよう努めております。

再生医療
再生医療の様子(こうのす共生病院ご提供)

当院は整形外科の中でも、変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)変形性股関節症などの変性疾患に対する治療や、骨折治療を得意としています。人工関節手術を行う人工関節センターには3名の認定医(日本人工関節学会認定)が在籍しており、細菌感染のリスクを抑えるバイオクリーンルーム内にて、低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)な手術を行っています。当院の人工関節手術では、股関節、膝関節ともに左右両側の同時手術も可能です。

また当院では、変形性膝関節症の患者さんに対する再生医療*も実施しています。2022年より患者さんご自身の血小板成分を利用して痛みの緩和や機能改善を図るPRP療法を導入し、さらに患者さんご自身の脂肪から取り出した脂肪由来間葉系幹細胞を用いた治療(SVF・MFAT)も2025年よりスタートしています。

「まだそこまで困っていない」「手術は痛そう・怖い」「数週間の入院ができない」など、手術療法に前向きになれない方の「もう少し何とかならないか」にお応えできる可能性があります。保険が適用されない自費診療ではありますが、手術以外の選択肢はないかお悩みの方はぜひご相談ください。

再生医療は自費診療(保険適用外)となります。
・PRP療法費用(税込):1回目 79,800円(片膝) ※術後のフォローアップを含む/2回目以降 59,800円 ※PRPの投与のみ
・SVF療法費用(税込):800,000円(片膝) ※術後のフォローアップを含む
・MFAT療法費用(税込):650.000円(片膝) ※術後のフォローアップを含む

※リスク・副作用:再生医療は患者さんご自身の血液や脂肪を使用するため拒絶反応が起こる可能性は極めて低いと考えられます。一方で持病の種類によっては治療の適応とならないことがあります。また治療効果の程度や持続期間には個人差があります。

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当院では内科系の症状を幅広く診療しておりますので、お体の不調や不安があった場合や“何科を受診すればよいか分からない”という場合は、お気軽にご相談ください。特に肺炎などの感染症に対する診療は当院が得意とする分野です。

また、糖尿病高血圧脂質異常症高尿酸血症などの生活習慣病患者さんに対しては、薬物治療だけでなく食事や運動療法を含めたきめ細かい対応を行っております。循環器内科においては狭心症慢性心不全、大血管疾患、心臓手術後の患者さんなどに対する心臓リハビリテーションを行っており、患者さんの健康維持・向上をサポートしております。

医療介護連携
(こうのす共生病院ご提供)

当院は地域の方々が住み慣れたご自宅でできるだけ長く生活できるようにとの思いから、訪問診療も積極的に行っております。訪問診療では、医師が月に2回程度ご自宅へお伺いして診察や投薬を行い、担当のケアマネジャーや訪問看護師と連携してご自宅での生活をサポートいたします。

訪問診療は要介護認定を受けていない方も利用可能です。足腰が不自由だったり、ご自宅で寝たきりの状態が続いていたり、何らかの理由により通院が困難な場合は、お気軽にお問い合わせください。

日本は急速な少子高齢化により、今後は働き手となる世代がますます不足することが確実視されています。医療業界においてもこれは非常に大きな問題であり、近い将来、医療従事者不足がこれまで以上に深刻化することは間違いありません。

当院は将来的な課題に対応するための手段の1つとして、積極的にDX(デジタル変革)を推進しております。早くから電子カルテを導入しているのはもちろんのこと、スムーズな外来診療をサポートする事前Web問診やAI問診の導入、患者さんの状態を把握して見守る“aams”システムの導入、ナースコールと職員所有スマホの連携などに取り組んでいます。デジタルで対応できる部分はどんどんデジタルに任せて、医療従事者は人にしかできない仕事に専念する体制づくりを進めています。

ミータス
ミータスの様子(こうのす共生病院ご提供)

病院は"体の具合が悪くなってから行くところ" "異変に気づいたときに行くところ"というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。こうした現場を踏まえて当院では、地域のみなさんにはたらきかけ、病気になる前から信頼関係を構築していくことが大切だと考え、さまざまな取組を行っています。

取り組みの1つが、「人とつながり、まちを元気にする」がコンセプトの「コミナス(コミュニティナース)」です。病院の役割を超え、地域の人々と深くつながることで、地域全体の健康とウェルビーイング向上に寄与することをめざす活動です。

コミナスでは、活動の内容を参加者自身が発案して取り組みます。病院外での健康相談やフットケアなど医療に関わることはもちろん、地域の畑を復興し住民参加型の収穫体験を行なったり、つながりを求めている地域の方を病院に招いて談笑する会を実施したりと、多くの活動が進められています。

もう1つの取り組みが、「ミータス(MEET+)」です。ミータスでは病院内の特設ブースのほか、地域の商業施設やイベントでも交流ブースを設け「なんでも交流会」を開催。医療に関する相談のほか、孫の誕生日プレゼントを一緒に考えたり、進路相談から今夜の夕飯メニューまで、「なんでも」話を聞くことで、交流やつながりを深めています。

院内だけでなく、病院に関わる地域や人々との未来や目標を描いています。地域の人とコミュニケーションを取り、つながりを深めています。

 

当院は地元密着型の病院として、医療を通して地域の皆さんの日々の幸せに貢献したいと考えております。今後も皆さんの期待にお応えできる病院であり続けられるよう、医療の質や安全性を確保しつつ、時代や医療ニーズの変化に柔軟に対応しながら“地域の患者さんファースト”の医療提供に努めていく所存です。皆さんの温かいご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

*医師や提供している医療の内容についておよび、本文中の数字は全て2024年12月時点のものです。

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