院長インタビュー

新潟県厚生連小千谷総合病院が目指す医療のかたち

新潟県厚生連小千谷総合病院が目指す医療のかたち
髙橋 達 先生

新潟県厚生連小千谷総合病院 前病院長

髙橋 達 先生

この記事の最終更新は2018年08月02日です。

新潟県厚生連小千谷総合病院は2017年4月に開院した総合病院です。同院の目標は、地域医療連携システムを円滑に回す病院として成長することだと病院長の髙橋 達先生はおっしゃいます。

髙橋先生に、新潟県厚生連小千谷総合病院の概要や地域に対する取り組みについて、お話を伺いました。

病院外観(新潟県厚生連小千谷総合病院よりご提供)

新潟県厚生連小千谷総合病院は、新潟県厚生連魚沼病院と公益財団法人小千谷総合病院の統合によって2017年4月に誕生したばかりの新しい病院です。

双方とも小千谷市と周辺地域の医療を守る病院として切磋琢磨し合いながら長年活躍してきましたが、地域の人口減少や社会構造の変化などの流れを受け、このたび合併による再出発の道を選びました。

病院玄関ロビー(新潟県厚生連小千谷総合病院よりご提供)

2018年4月現在、新潟県厚生連小千谷総合病院では25診療科と300病床を有しています。当院のある小千谷市と長岡市小国町および川口町、魚沼市にお住いのみなさんに対し、日常的な診療や入院治療、在宅医療のサポートなど、地域に求められる医療をトータルで実施する病院として活躍しています。

新潟県厚生連小千谷総合病院のある周辺地域には、交通事故による多発外傷心疾患のように緊急度の高い病気を治療可能な医療機関が複数あります。当院はこれらの病院と連携して、より高度な治療が必要な時期を脱した患者さんを受け入れたり、自宅等での療養に戻るための準備をサポートしたりしています。

また自宅での生活を希望される高齢者の方も多いため、地域の開業医の先生方と密に連携を取り合って、レスパイト入院や急変時の受け入れなどのバックアップも可能な限り実施しています。

小千谷市車両センターが隣接しておりドクターヘリが離発着できるため、新潟市など比較的遠隔地へ患者さんをより早く送り届けることも可能です。患者さんが一刻も早く、安心して医療が受けられるような体制づくりに尽力しています。

来院される患者さんやご家族の方々に癒しを提供するため院内の一角をアートスペースとして開放、絵画作品等を展示しています。

内視鏡室スタッフ集合写真(新潟県厚生連小千谷総合病院よりご提供)

食道や胃腸など消化管のほか、肝臓や胆のうのように消化管に付属する臓器に対する診療を、2018年4月現在では常勤医4名と非常勤医3名の7人体制で実施しています。

当院では、胃潰瘍による出血に対する緊急内視鏡的止血術を24件、早期胃がんに対する胃粘膜下層剥離術は20件、大腸ポリープに対する内視鏡的大腸粘膜・ポリープ切除術は264件といったように、内視鏡を使用したなるべく体を切らない治療方法を実践しています。

新潟県内では透析治療を長期にわたり受けている方が多いこともあり、人工透析療法の改善、腎不全に対する合併症研究や治療方法開発などがさかんに行われています。

当院も透析治療に力を入れており、45病床を有する人工透析センターは患者さんを120名受け入れ可能なため、小千谷市と周辺地域における透析治療の多くを引き受けています。

小千谷市と周辺地域にお住まいの方が安心してお産と子育てに臨んでいただけるよう、産婦人科や小児科をはじめ病院全体でサポートしています。

婦人科では、子宮頸がん不妊症に対する各種検査や治療を実施しており、可能な限り患者さんと相談しながら治療方針を決定します。

産科では妊婦検診のほか、妊婦さんや赤ちゃんが起こしやすい合併症の診療を必要に応じて近隣の医療機関と連携しながら実施しています。

小児科では乳児検診や予防接種実施のほか、新生児から中学生までの子どもの診療、子どもの成長や育児に関する相談も受け付けています。

当院には健康診断人間ドック用のフロアがあり、一部の検査を除いて一般患者さんと接することなく各種検査を受けていただけます。また、がん生活習慣病などの可能性がある場合には、精密検査の実施や専門の診療科への取り次ぎなども対応可能です。

健診後には、当院所属の保健師による健康指導やアフターケアなども実施しており、病気の早期発見と健康意識向上にも貢献しています。

小千谷市の病院は市内や周辺地域の医療を支え続けてきていたこともあり、「小千谷市は医療に強いまち」というイメージが今でも根強いです。

新病院として新たなスタートを切った当院は今後、地域医療を円滑に回す潤滑油としての役割を果たすとともに、消化器内科、人工透析、周産期医療を中心に、地域のみなさんに求められる医療を提供し続けていきたいと考えています。

いま、みなさんが経験していることや実践していることは、高齢化や人口減少が進行するなか、どのように医療体制を存続させるのかという日本全体が抱える問題に対する解のひとつでもあります。

運営母体の異なる病院が合併して誕生した当院には、医療という共通認識を持つ職員がお互いの文化を尊重しあい、よりよい解決方法を模索して実践する土壌があると考えています。患者さんにどのような医療サービスが提供できるのか、職員全員で考えていきましょう。

地域医療には患者さんが抱える病気のみでなく、生活や背景などあらゆる物事をみる全人的な視点が必要になります。

医師としての生き方を選択して地域医療を志すみなさんには、患者さんを多角的な視点で捉え全人的な診療をできる力を養っていただきたいと考えています。

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  • 新潟県厚生連小千谷総合病院 前病院長

    髙橋 達 先生

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  • 新潟県厚生連小千谷総合病院 前病院長

    日本消化器病学会 消化器病専門医・消化器病指導医日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・消化器内視鏡指導医日本肝臓学会 肝臓専門医日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医日本医師会 認定産業医

    髙橋 達 先生

    1951年、東京都江東区生まれ。1977年より内科医としてキャリアを開始し、2003年に長岡赤十字病院消化器内科部長となる。専門分野は消化器病学、肝臓病学。
    2010年には新潟県厚生連魚沼病院病院長に就任し、同院と公益財団法人小千谷総合病院の統合に奔走し、2017年4月には両病院の統合で新しく誕生した新潟県厚生連小千谷総合病院の病院長に就任した。

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