院長インタビュー

患者さんの権利を尊重し、良質・安全な医療の提供を目指す――香川大学医学部附属病院

患者さんの権利を尊重し、良質・安全な医療の提供を目指す――香川大学医学部附属病院
門脇 則光 先生

香川大学医学部附属病院 病院長

門脇 則光 先生

目次
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香川大学医学部附属病院は1983年の設立以来40年以上にわたり専門性の高い診療を行ってきました。診療・教育・研究という大学病院の役割を担う一方、地域交流活動にも積極的に取り組んでいます。

そんな同院が担う役割や今後の展望について、院長である門脇 則光(かどわきのりみつ)先生にお話を伺いました。

先方提供
病院外観(香川大学医学部附属病院よりご提供) 

当院は1983年に香川医科大学医学部附属病院として開設されました。2003年には香川医科大学と香川大学が統合して香川大学医学部附属病院となり、2019年までに新病棟(南病棟)の開設、東西病棟のリニューアルが完了いたしました。また2023年には敷地内に薬局がオープンし、よりいっそうご利用いただきやすい環境が整いました。

大学病院に求められる医療を実践するため、当院は低侵襲(ていしんしゅう)手術に欠かせない鏡視下手術用手術室(ロボット支援下手術も実施)、ハイブリッド手術室、MRIナビゲーションシステム手術室などを備えています。また生命に関わる重症患者さんに対応する3次救急医療機関として“救急車を断らない”ことを目標に掲げ、ドクターヘリの運航も行っています。一方で今後の超高齢化社会を見据え、1人の患者さんの全身を診る総合診療にも力を入れて取り組んでいきたいと考えています。

大学病院の診療科は臓器ごとに細分化され、専門性の高い診療を行うことが一般的です。これに対して高齢患者さんは複数の病気をお持ちのことが多いため、呼吸器だけ、循環器だけを診ればいいというわけではありません。また病気だけでなく患者さんの生活環境や社会的背景なども踏まえて、患者さん一人ひとりに適した治療をご提供する必要があるでしょう。

2024年4月に新たに発足した総合診療科は、複数の慢性疾患のある高齢患者さんにも安心してかかっていただける診療科です。患者さんの全身を網羅的に診て適切な医療につなげる取り組みは、今後さらに重要度を増していくことでしょう。総合診療科科長を務めるのが日本専門医機構 総合診療特任指導医の資格を持つ医師ということもあり、当院がこの分野を牽引していくことを期待しています。

当院には内科・外科・歯科を合わせて30を超える診療科と複数のセンターがあり、各センターでは診療科の枠を超えて多職種の専門家が連携し、高度な医療を行っています。

また、循環器内科では小児生活習慣病予防検診を活用した家族性高コレステロール血症の早期診断、臨床遺伝ゲノム診療科では遺伝子の異常で起こる病気の早期発見に努め、その後の継続的な治療につなげています。

当院では手術支援ロボット・ダヴィンチを2台導入し、患者さんへの負担が少ない低侵襲手術を行っています。ロボット手術は体の傷が小さくて済むため術後の痛みが少なく、回復が早いことで入院期間を短縮できるなどのメリットがあります。2018年7月の導入当初は主に泌尿器科領域の前立腺がん手術に用いていましたが、保険適用範囲が拡大された現在は消化器外科、呼吸器外科、婦人科系手術においても使用するようになりました。

2023年5月に中国四国地方で初めて開設したのが膵臓(すいぞう)・胆道センターです。さまざまながんの中でも膵がんは診断が難しく、致死率が高いことで知られます。当院は膵臓手術や内視鏡技術に強みがあり、消化器外科・消化器内科・腫瘍内科・放射線診断科の4つの診療科が連携し、病気の早期発見・早期介入につなげています。

当院は2005年に香川県より“総合周産期母子医療センター”として指定を受け、周産期科女性診療科と小児科からなる総合周産期母子医療センターを開設いたしました。母体の合併症リスクが高まったり、胎児への影響が懸念されたりするハイリスク妊娠に対応しており、NICU(新生児集中治療室)やGCU(新生児回復室)を備えて24時間体制の診療を行っています。

ドクターヘリ
ヘリポート(香川大学医学部附属病院よりご提供) 

当院は3次救急医療機関の役割を担っており、2022年4月よりドクターヘリの運航をスタートしました。出動回数は当初の予想を大きく上回り、2023年度は年間400件に迫ります。ドクターヘリは香川県の中でも島しょ部からの要請が多く、交通事故、心疾患心筋梗塞(こうそく)など)、脳血管疾患(脳卒中など)が全体の6割ほどを占めます。ドクターヘリが飛び立ってから患者さんに接触するまでの時間は平均35分、病院に戻るまでの時間は平均30分とのデータがあり、早期の医療介入によって救命率向上に貢献しています。

大学病院は専門性が高く高度な医療を行っているため、どことなく敷居の高いイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。しかし私たちは地域の方々に安心して受診していただけるような“親しみやすい病院”を目指しており、さまざまな場面で地域の方々との交流を図っています。

病院のマスコットキャラクター(くーちゃん)をつくったのも、私たちのことを身近に感じていただきたいとの思いからです。現在も広報誌を制作したり、LINEの公式アカウントを開設したりしていて、くーちゃんのLINEスタンプは私も愛用しています。

先方提供
くーちゃん(香川大学医学部附属病院よりご提供)

また8月に開催された“さぬき高松まつり 総おどり”では職員みんながくーちゃんのイラスト入りTシャツを身につけ、“かだい病院連”として総勢90名が参加いたしました。ほかにも、学生さんやお子さんを対象にした体験イベント、健康講座なども開催しておりますのでぜひご参加ください。

私は京都大学医学部を卒業して医師になり、血液内科医として診療にあたってまいりました。その後、思いがけないご縁から当院の院長を拝命したのは2021年10月でした。私が担当する血液内科は、全身をめぐる血液の病気を専門的に診る診療科です。当院では白血病悪性リンパ腫に対するCAR-T細胞療法がん免疫療法)を実施しているほか、免疫機能が低下している血液がん患者さんに有効なコロナワクチンの医師主導治験なども実施しています。

患者さんの診療にあたるほかに、次世代を担う医師を育成したり、研究に取り組んだりすることも大学病院の使命です。当院で行われている臨床研究や治験も、新たな治療法の確立を目指して実施しているものです。今後も引き続き良質な医療の提供に努めてまいりますのでご期待ください。

診療科や医師、提供している医療の内容等についての情報は全て、2024年9月時点のものです。

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