まぶたが下がる:医師が考える原因と対処法|症状辞典

まぶたが下がる

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 原因がないのに突然まぶたが上がらなくなった
  • 強い頭痛や吐き気を伴う
  • まぶただけでなく、ほかの部位の筋力も急に低下している
  • 意識がもうろうとしたり、意識を失ったりしている
  • 視力や視野の異常を伴う
  • 言葉を話しにくい、言葉が出てこない、ろれつが回らないなどの言語障害を伴う

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • まぶたが下がりやすくなり、眠気や頭痛などの症状を伴うようになった
  • 子どものまぶたが下がっているように見える
  • まぶたが下がりやすい状態が長く続いている
  • まぶた以外の部位も少しずつ筋力が低下している
  • 目のかゆみや充血などを伴う

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 年齢を重ねるごとにまぶたが下がりやすくなった

国立国際医療研究センター病院 眼科診療科長

永原 幸 先生【監修】

まぶたは、目を乾燥などの外的な刺激から守るはたらきを担っています。眠っているとき以外、まぶたは開かれた状態になっていますが、私たちは特に意識することなく目を開けていても瞬きを繰り返しています。

まぶたに起こる不調の中でも、“まぶたが下がる”ことはよくみられる症状の1つです。

  • 突然、片目のまぶたが下がるようになった
  • 年齢を重ねるごとにまぶたが下がりやすくなり、物が見えにくくなっている
  • 乳幼児期からまぶたが下がっており、視力が非常に悪い

これらの症状がみられる場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

まぶたが下がる症状は、以下のような病気によって引き起こされることがあります。

生まれつきの病気によってまぶたが下がることがあります。具体的には次のような病気が挙げられます。

先天性眼瞼下垂

生まれつき、まぶたを上げるために必要な“眼瞼挙筋(がんけんきょきん)”という筋肉や、この筋肉を動かすために必要な神経が十分に機能しないことでまぶたが下がった状態になる病気です。

放っておくと、視力の発達に影響を与えることが指摘されており、視界が狭くなるため物の見方や目の開け方に独特の癖が生じるとされています。

根本的な治療には、まぶたが上がりやすい状態にするために眼瞼挙筋を縫い縮める手術などが必要です。

神経系の病気によってまぶたが下がることもあります。具体的には次のような病気が挙げられます。

重症筋無力症

免疫の異常により、神経と筋肉がつながる部位が破壊されていく病気です。神経からの情報が筋肉に伝わらなくなるため全身の筋力の低下が生じ、まぶたが下がる、物が二重に見えるなど、目の症状が現れやすいのが特徴とされています。

そのほかの症状として、飲み込みづらさや疲れやすさなどが現れることもあります。重症化すると自力で呼吸ができなくなるため、命に関わる場合もあります。

治療は、免疫のはたらきを抑制するためのステロイドや免疫抑制剤などによる薬物療法、免疫に関わる自己抗体を排除するための血液浄化療法などが行われます。

重症筋無力症
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動眼神経麻痺

動眼神経は、眼瞼挙筋の動きを支配する神経です。そのため、動眼神経に麻痺が生じると麻痺が生じたほうのまぶたが下がるようになります。

動眼神経麻痺の原因としては、脳出血脳腫瘍(のうしゅよう)などのほか、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)も位置によっては動眼神経を圧迫して麻痺を引き起こすことがあります。

治療は、動眼神経にダメージを与える原因を排除することが大切です。脳出血脳梗塞の後遺症として動眼神経麻痺がみられる場合は根本的な治療が難しいため、額の力でまぶたを上げることができるようにする手術を行うことがあります。

脳出血
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脳腫瘍
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脳梗塞
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ホルネル症候群

脳と目をつなぐ神経が分断されることで、まぶたが下がって黒目が小さくなったままの状態(縮瞳(しゅくどう))となり、異常が生じた側の顔に汗をかきにくくなる病気です。

ホルネル症候群は、肺がん大動脈解離(だいどうみゃくかいり)胸部大動脈瘤などの病気や外傷などによって引き起こされることが多く、まぶたが下がるという症状がこれらの病気の発見のきっかけになることも少なくありません。原因となる病気の治療を行うことが、この病気の治療につながります。

肺がん
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胸部大動脈瘤
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筋肉の病気によってまぶたが下がることもあります。具体的には次のような病気が挙げられます。

筋ジストロフィー

筋肉の細胞が破壊されていくことで筋力の低下を引き起こす遺伝性の病気です。筋ジストロフィーにはさまざまなタイプがあり、重症な場合は歩行が困難になるだけでなく、呼吸に必要な筋肉や心筋の動きが悪くなるため命に関わるケースもあります。

一方、筋ジストロフィーの中でも比較的軽症なタイプの“眼咽頭型筋ジストロフィー”は、まぶたが下がる症状を引き起こしやすいのが特徴とされています。

筋ジストロフィー
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“まぶたが下がる”という症状はよくみられる症状の1つです。しかし、中には上述したような病気が原因となっていることもあるため注意が必要です。

特に、突然まぶたが上がらなくなったとき、頭痛や吐き気などの症状を伴うとき、目の疲れが改善してもまぶたが上がりにくいとき、物の見え方に異常を感じるときなどは注意が必要です。

初診に適した診療科は随伴する症状などによって異なりますが、重度な神経症状がない場合は眼科、ほかの神経症状を伴う場合は脳神経外科です。どこを受診してよいか分からない場合は、かかりつけの内科や小児科などで相談するのも1つの方法です。また、急激に症状が現れた場合は救急外来の受診を検討しましょう。

受診の際には、いつから症状が生じたのか、随伴する症状はあるか、どのような状況でまぶたが下がるようになるのかなど、詳しく医師に伝えるようにしましょう。

まぶたが下がる症状は、日常生活上の好ましくない習慣によって引き起こされることもあります。具体的には次のようなものが挙げられます。

まぶたを上げるには筋肉の力が必要であるため、加齢などによって筋力が弱まるとまぶたが下がりやすくなります。また、長時間にわたって目を酷使する作業などを行うと、目が重く感じることもあります。

まぶたの疲労・筋力低下を防ぐには

目の疲れを防ぐには、長時間のパソコン操作など目の負担になる行為を避けることが大切です。近い部分を見続ける必要がある場合は、1時間に1回は画面から目を離して遠くを見るなど、目を休めるようにしましょう。

花粉症やコンタクトレンズなどの刺激によって目を頻繁にこすると、眼瞼挙筋の(けん)がダメージを受けてまぶたが下がりやすくなることがあります。

目をこすらないようにするには

眼瞼挙筋の腱へのダメージを防ぐためにも、目のかゆみなど目をこすりやすくなる症状があるときは、できるだけ早めに医師の治療を受けるようにしましょう。

また、長時間のコンタクトレンズ装着や不適切な管理をしたコンタクトレンズの装着は控えることも大切です。

日常生活上の習慣を改善しても症状がよくならないときは、思いもよらない病気が原因となっていることもあります。軽く考えず、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。