まぶたの腫れ:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
いつもより目やまぶたがむくんでいる・腫れているように感じる時、見た目も気になりますが、健康面からも注意が必要なこともあります。
このような場合、どういった病気が考えられるでしょうか。
まぶたの腫れに伴ってさまざまな症状がある時、何らかの病気が隠れている可能性があります。考えられるものとしては、次のようなものがあります。
まぶたの腫れから疑われる病気は、多くの場合以下の通りです。
まぶたの裏側のマイボーム腺という場所に肉芽腫という塊が発生する病気です。
初期症状としてはまぶたにしこりが生じ、しばしば腫れることがあります。炎症が強くなると赤みが生じ、ときには皮膚から肉芽腫が出てきたり、まぶたにひきつれが生じることもあります。数週間から数か月で自然に小さくなることもありますが、大きくなってしまった場合にはステロイド注射や手術で摘出などの治療が必要になることもあります。
一般的に「ものもらい」と呼ばれる病気です。まぶた周辺のまつげの毛根や汗腺や脂腺などに細菌が感染することで発症します。
初期症状としてはまぶたの腫れ、赤み、異物感などが多くみられます。なお、まぶたの腫れが引いたときにしこりが残った場合は、霰粒腫が考えられます。
目の表面に花粉などのアレルゲンが付着し、結膜に炎症を起こす病気です。いわゆる花粉症に伴う季節性のものが大半を占めますが、一年を通じて起こるものもあります。
アレルギー反応によりまぶたの腫れ、目のかゆみ・充血、ゴロゴロとした異物感などが起きることが特徴です。
蚊やダニなどに刺されることで発症する虫刺症、何かの刺激物に皮膚が接触して起きる接触皮膚炎などの皮膚の病気がまぶたに起きることもあります。
赤み、かゆみ、かぶれなどが特徴的な症状です。まぶたはデリケートな部位ですので、掻きすぎによる悪化などに注意が必要です。
まぶたの腫れは、まれに以下の病気のサインということもあります。
まつげの生え際、まぶたの皮膚などが何らかの原因で炎症を起こしている状態です。
まぶたのかゆみ、赤み、ただれ、潰瘍などが特徴です。慢性化するとまつげの消失、まぶたの変形に至ることもあります。
眼球がおさまっているくぼみを眼窩と呼びますが、そこが細菌などによって炎症を起こしている状態です。
目が開けられないほどのまぶたの腫れ・赤み、目の奥の痛み・熱感などがあります。発熱など全身の症状を起こす場合もあるので、症状が強い場合は早めの受診を検討しましょう。
甲状腺に対する免疫の異常が原因で目のまわりの筋肉や脂肪に炎症が起こる病気です。バセドウ病、橋本病など甲状腺の病気が関連することが多いですが、甲状腺そのものには異常がみられないこともあります。
眼球が飛び出したように見える、目が動かしにくい、物がみえにくいなどの症状が見られることが多いといわれていますが、まぶたの腫れしか症状がない場合や、片方のまぶただけが腫れることもあります。
甲状腺の病気がある方でこういった症状が気になる場合は、まずはかかりつけの主治医に相談してみるのもよいでしょう。また、タバコを吸う方は悪化しやすいといわれています。
血管性浮腫とは、何らかの原因で皮膚が腫れることをいいます。蕁麻疹にも似ていますが、蕁麻疹が赤みやかゆみを伴い数時間で消失してしまうのに対し、血管性浮腫は赤みやかゆみがないことが一般的で、腫れが治まるまでに1~3日程度かかったり、しばしば症状を繰り返したりすることなどが特徴です。また、血管性浮腫と蕁麻疹が併発することもあります。
血管性浮腫には、治療薬の服用による薬剤性血管性浮腫やアレルギーによるアレルギー性血管性浮腫、寒さや日光など物理的な刺激による血管性浮腫などさまざまな種類があります。
さらに、頻度は低いものの先天性の遺伝子変異が原因で起こる遺伝性血管性浮腫(HAE)や自己抗体などが生じることによって起こる後天性血管性浮腫(AAE)などもあります。
まぶたの腫れは数日のうちに自然と引くこともありますが、一方まぶたの腫れがなかなか引かない、日ごとにひどくなる、他の症状があるという場合にはできるだけ早く医師に相談しましょう。
そこまで強い症状ではない場合であっても、腫れが続く、腫れを繰り返す、様子を見ていてもよくならないなどの場合には、血管性浮腫などの思わぬ病気が隠れている可能性があるため、一度最寄りの医療機関を受診しましょう。
基本的に眼科への受診でよいでしょう。
受診の際は、いつからまぶたが腫れているのか、他の症状はないのか、心当たりとなるきっかけがあるのかどうかなどを医師に伝えるとスムーズです。
まぶたの腫れは普段の生活習慣から引き起こされていることもあります。以下のようなまぶたの腫れの原因となる習慣がないかどうか、日常生活を見直してみるのもよいでしょう。
まぶたは人間の皮膚のなかでも最も薄い部分です。そのため、目をこすることで容易に刺激を受けて腫れてしまうこともあります。
まず、目をこする原因となったかゆみなどがあれば、それを取り除きましょう。目をこするという動作をなるべくしないことが大事です。
また、摩擦によって腫れたまぶたは乾燥しやすくなっています。化粧水などで丁寧に保湿するのもひとつの方法です。
まぶたは皮膚が薄い分、肌に合わない化粧品などの刺激を受けやすく、乾燥や赤みなどの症状が出やすい部位でもあります。
スキンケアもメイクアップもできるだけ肌への優しさにこだわっている商品を選ぶこともひとつの方法です。
また毎日アイメイクをしている人は、たまにはメイクをしない日を作るなど、まぶたを休ませる日を作るようにしてはいかがでしょうか。
アルコールや水分の取りすぎでまぶたがむくんだり、腫れたように感じることがあります。一時的なものですが、飲み過ぎには注意しましょう。
このような工夫をしてもいつまでたっても良くならない場合は、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。そのような時は一度眼科で相談してみましょう。