まぶたが痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
まぶたの痛みはまばたきのたびに気になったりと、違和感や不快感を伴う症状であるといえます。
このような場合、原因としてどのようなことが考えられるでしょうか。
まぶたに痛みがあるときに考えられる病気・状態はさまざまですが、眼科を受診するか皮膚科を受診するか判断に迷う場合があります。眼科か皮膚科かというはっきりした区分けはなく、どちらの診療科でも診察を受けられますが、どちらの科が得意とする病気なのかおおよその目安を知っておくと助けになるかもしれません。
自分で以下のどちらなのか判断することは難しい場合もありますので、迷った場合にはまず眼科を受診するとよいでしょう。
眼球に近い部位に原因がある場合は眼科で診療を行うことが多いとされています。
麦粒腫はまつ毛の根元近くにある、皮脂腺や汗腺に細菌が感染した状態です。一般的には「ものもらい」と呼ばれることもあります。膿が溜まってしこりができ赤く腫れ、痛みやかゆみが強い場合が多いとされています。
霰粒腫はまつ毛の根元近くにある脂腺に詰まりが起こり、分泌物などが溜まってしこりや腫れができます。通常は症状は腫れやしこりのみで赤み・痛みの症状はないとされています。感染を起こしている霰粒腫は麦粒腫と症状がよく似ており、見分けが難しいこともあります。
まぶたの裏側や白目の表面をおおう粘膜を結膜といいます。結膜の炎症があるとまばたきのたびにまぶたも痛く感じることがあります。結膜炎の原因としては、アレルギー、細菌・ウイルスなどの感染症、異物による傷、ケガなどがあります。目やに、白目の充血、かゆみなども現れます。
涙は泣いたとき以外にも目をうるおすために常に分泌されています。この涙は目頭にある涙点という穴から涙のうという部分を通って鼻の方に流れていきます。この涙のうが炎症を起こした状態が涙のう炎です。目やにが増えたり、目頭の下側やまぶたに痛みや赤み、腫れが現れることがあります。
皮下の脂肪組織周辺を蜂窩織と呼びますが、眼球の奥にもこの組織があります。眼球の奥の蜂窩織に炎症があると強い痛みが起こり、眼球を動かすと痛みが悪化し目が動かしにくくなる場合もあります。まぶたが腫れ眼球が前に出てくる場合や、全身の発熱が起こる場合もあります。
皮膚のみに問題があり、眼球に問題がない場合は皮膚科で診療を行うことが多いとされています。
さまざまな細菌やときにはダニなどが原因となり、毛穴への感染や炎症を起こした状態です。赤く腫れ、時には膿を持つこともあります。
まぶたの皮膚に接触皮膚炎(かぶれ)、アトピー性皮膚炎などを起こしている状態です。かゆみや痛み、湿疹、かさつきなどが伴う場合が多いとされています。
眼球に近い部分と皮膚の両方に問題が起こる病気は、眼科と皮膚科が協力して治療を行うことがあります。
まぶたが何らかの原因で炎症を起こした状態を眼瞼炎と呼びます。
眼瞼炎の原因には、細菌やウイルス・カビなどによる感染症、湿疹・皮膚炎(接触皮膚炎・かぶれ、アトピー性皮膚炎)、虫刺されなどがあります。かゆみ、赤み、腫れといった症状とともに痛みが起こることがあります。
水痘帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの一種が、まぶたや黒目・白目に炎症を起こす病気です。このウイルスはみずぼうそうを起こすウイルスと同じウイルスで、過去にみずぼうそうにかかったことのある人の体の中に潜んでいて、何らかのきっかけで活性化し帯状疱疹を起こします。
身体中のどこでも起こり得る病気ですが、目の周囲で起こった場合には視力に影響が出ることもあるため注意が必要です。ピリピリとした痛みや皮膚の赤みの他に、まぶたの皮膚に水疱が現れるのが典型的な症状です。
原因が分からない痛みがあり、悪化している場合は早めに受診を検討しましょう。また、いつまでもよくならない、繰り返しているような場合にも一度受診しておきましょう。
受診の際にはいつからどのような症状があるか、痛み・赤みなど他の症状はあるかなどをできるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
日常生活上の習慣などが原因でまぶたの痛みが起こることがあります。
化粧品や二重まぶたにするためのテープや接着剤、まつげエクステの接着剤などがまぶたに付着すると、かぶれを起こすことがあります。
新しい化粧品を試すときには、皮膚の目立たない部分でパッチテストを行ってから使いましょう。今まで問題なく使用できていた製品でも、肌荒れやかゆみがある時や、体調がよくないときにはかぶれを引き起こす場合があります。
まぶたの皮膚は薄く乾燥しやすいとされています。乾燥すると肌のバリア機能が低下し、感染や炎症を起こしやすくなります。
脱水に気を付け、乾燥している場所をさけましょう。また、洗顔・入浴後には肌にあった化粧水や乳液で保湿を行うようにしましょう。
自分でできる対処法を行っても症状がよくならない場合には、思わぬ原因が潜んでいることもあります。そのような時には一度病院で相談してみましょう。