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唇が黒い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

唇が黒い

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 腫れ、痛みなどがある
  • できもの、ひび割れ、表面の盛り上がりなどがある
  • 黒い部分が徐々に広がっている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 他の症状はないが、見た目が気になる

聖マリアンナ医科大学皮膚科 教授

門野 岳史 先生【監修】

唇は皮膚が薄く、直下の毛細血管が豊富で透けて見えやすいため、健康な状態では薄い紅色を呈します。しかし、唇の色はさまざまな体調の変化によって変色しやすく、健康状態を示すひとつのバロメーターとも考えられています。中でも、唇が黒く変色するのは比較的よく見られる症状であり、原因は多岐にわたります。

  • 日焼け後に唇に黒っぽい小さな染みが点々とできた
  • 唇の一部に黒い染みができ、徐々に盛り上がって大きくなってきた
  • 風邪が悪化して呼吸困難を引き起こし、唇全体や手指が黒っぽくなった

これらの症状が見られた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

唇の色は健康状態を示すバロメーターと考えられています。健康な状態の唇は薄紅色~赤みを帯びた色調を呈しています。しかし、唇の色はさまざまな原因によって変化し、黒っぽくなることも少なくありません。原因は多岐にわたりますが、以下のような病気が原因で引き起こされていることもあります。

唇の黒い変色は、唇自体に生じる病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下のとおりです。

生理的色素沈着

唇は常に外界に晒されており、女性であれば化粧品を付けるなどさまざまなダメージを受けやすい部位です。このため、紫外線や物理的な摩擦などによって皮膚の深層に存在するメラノサイトが活性化され、多く産生されたメラニン色素が唇に沈着して黒っぽい染みを残すことがあります。

悪性黒色腫

皮膚がんの一種で、早期の段階では色調がまだらで不整形な染みが見られるのみで自覚症状はほとんどありません。しかし、染みは徐々に膨らみを持ちながら広がっていくのが特徴で、形成されたしこりの表面は非常に脆弱(ぜいじゃく)であり、ささいな刺激で出血を生じることがあります。また、“極悪性”と呼ばれており脳や肺、肝臓への転移が急激に進行するのも特徴のひとつです。

悪性黒色腫
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唇の黒さは、唇以外の部位に生じた病気のひとつの症状として引き起こされることがあります。原因となる主な病気とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

アジソン病

ステロイドホルモンを産生する副腎皮質の機能が低下する病気です。ステロイドホルモンの分泌量が低下することによって易疲労感や倦怠感、筋力低下、低血圧など活動性の低下につながるような症状や、食欲不振・嘔吐・下痢などの消化器症状が見られるようになります。また、ステロイドホルモンの分泌が低下することによって、副腎皮質を刺激する副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が脳下垂体から過剰分泌されることがあります。それがメラノサイトを刺激して色素沈着が生じやすくなり、特に唇や口の中に黒い染みを形成しやすくなります。

アジソン病
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先天性心疾患、肺炎など

血液中の酸素が減少することで、それらの血液が巡った部位が紫~やや黒っぽい色に変色する“チアノーゼ”が見られることがあります。特に唇や手足の末端に見られることが多く、先天性心疾患肺炎など血液中の酸素が足りなくなりがちな人に多く発症するのが特徴です。

先天性心疾患
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肺炎
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唇の色調の変化は比較的よく見られる症状であるため、唇の黒さが気になった場合でも直ちに病院を受診する人は少ないでしょう。しかし、中には思わぬ病気が潜んでいることもあるため、看過できない症状でもあります。

特に、唇の黒い染みが徐々に拡大している場合、唇の黒さ以外にも何らかの全身症状を伴う場合には、なるべく早めに病院を受診することが望ましいと考えられます。

受診に適した診療科は皮膚科ですが、唇にできた黒い染みが気になって除去したいと考える場合には美容外科などで相談することも可能です。また、受診の際にはいつから唇が黒くなったのか、その誘因、随伴する症状、現在罹患している病気などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

唇の黒ずみは、日常生活上の好ましくない習慣が原因で引き起こされることがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下のとおりです。

紫外線の刺激はメラノサイトを活性化しやすく、色素沈着の主な原因となります。特に紫外線のダメージを受けやすい唇は、日焼けが原因で黒っぽい染みができやすいのが特徴です。

唇の日焼けを防ぐには

外出時にはリップクリームを使用し、こまめに塗り重ねることが大切です。また、長時間屋外に出るときには、帽子や日傘を使用して顔全体を紫外線から守るようにしましょう。

唇は口紅などの落ちにくい化粧品を使用するため、洗顔時には力を入れて洗ってしまいがちな部位です。しかし、過度な摩擦はメラノサイトを活性化させ色素沈着を引き起こす原因となります。

唇の摩擦を防ぐには

洗顔時にはメイク落とし専用の洗顔料を唇に付着したメイクにしっかりとなじませ、やさしく撫でるように落としましょう。硬いナイロンなどのタオルを使用すると皮膚にダメージを与えることもあるので、必ず軟らかい指の腹を使って洗顔するようにしましょう。

唇は皮膚が薄いため、毛細血管の色調が反映されやすい部位です。このため、体の冷えなどによって血行が悪くなると唇の血色も悪くなり、全体的に黒ずんで見えることがあります。

体の冷えを防ぐには

寒い時期はもちろんのこと、夏場であっても冷房などによる体の冷えには十分注意し、空調は適温に維持することが大切です。また、外出先では体温調節できるような羽織物を持ち歩くようにしましょう。そのほか、冷たい飲食物などの過剰摂取は控えるのもポイントです。

日常生活上の対処法を講じても症状が改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性があります。中には早急な治療が必要な場合もあるので、軽く考えずに早めにそれぞれの症状に合わせた診療科を受診するようにしましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。