手のむくみ:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
お酒を飲み過ぎた次の日や、長時間デスクワークをした日の夕方などに、体や手足のむくみを感じたことのある人は多いのではないでしょうか。
このような場合、むくみの原因は一体何なのでしょうか。また、どのように対処すればよいのでしょうか。
むくみは医学的には「浮腫」といい、血管中の水分が血管外に漏れ出るなどして、皮下組織に溜まることで起こるといわれています。手のむくみは病気が原因となって起こることもあり、考えられる病気はさまざまです。
手のむくみを引き起こす病気のうち、頻度の高いものとしては以下が挙げられます。
甲状腺とは喉ぼとけの下にある小さな臓器で、甲状腺ホルモンを分泌していますが、炎症などでホルモンの分泌量が少なくなることがあり、甲状腺機能低下症と呼ばれます。
症状は人によって異なりますが、体のだるさ、皮膚の乾燥、声のかすれ、イライラ、やる気・記憶力の低下、情緒不安定、生理不順などがよくみられます。
むくみ(手足・顔・まぶたなど)は左右対称性に起こり、押してもへこまないのが特徴です。
関節内にある滑膜という組織が異常に増殖することで、関節内に炎症が生じる病気です。体のあらゆる関節に発症する可能性がありますが、特に手指や手首に生じやすいとされています。
両側の発症部位の関節の痛みや数時間続く朝のこわばり、腫れが典型的な症状で、腫れはむくんだように感じられることもあります。炎症が強いと発熱や体のだるさ、体重減少、食欲不振などの全身症状を伴う場合もあります。
細菌感染などによって皮膚の深部から皮下脂肪に炎症が起こる病気で、蜂巣炎とも呼ばれています。
片側性で患部が赤く腫れて熱感を帯びるのが一般的で、むくんだように腫れあがることもしばしばあります。また、触ると痛みを伴います。発熱や寒気、ふるえ、体のだるさなどの全身症状が現れることもあります。
月経前に3~10日間続く体の不調のことで、現れる症状は精神神経症状、自律神経症状、身体的症状に分けられます。
精神神経症状としてはイライラ、不安、抑うつ、情緒不安定など、自律神経症状としては体のほてり、のぼせ、めまい、食欲不振・過食、体のだるさなど、身体的症状としては腹痛、頭痛、腰痛、乳房の張り、手足のむくみなどが挙げられます。
症状は通常、月経開始とともに軽くなる、または消失します。
月経が永久に停止することを閉経といい、日本人の平均閉経年齢は約50歳といわれています。この閉経の前後5年間の間に生活に支障をきたす症状が現れるのが更年期障害です。
症状は約200~300種類あるといわれていますが、ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、体のだるさ、疲れやすさ、動悸、頭痛、手足の冷え、むくみ、抑うつ、不眠、不安、情緒不安定などがよくみられます。
手のむくみを引き起こす病気のうち、比較的に頻度の低いものとしては主に以下のようなものがあります。
薬にはさまざまな副作用がありますが、たとえば風邪薬や漢方、ステロイド剤、降圧剤、糖尿病治療薬では、手にむくみが生じることがあります。
このような薬を服用した後にむくみに加えて何かしらの症状が現れることも多く、症状は薬の種類や体調などによって異なります。
心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしています。このポンプ機能が何らかの原因によって低下し、血液をうまく全身に送り出せない状態が心不全です。
症状はさまざまですが、息苦しさや体のだるさ、咳、胸の痛み、動悸、冷感、足のむくみなどがよくみられます。
肝臓・腎臓の機能が著しく低下した状態を、それぞれ肝不全・腎不全といい、いずれも症状のひとつとしてむくみが生じる場合があります。
むくみ以外では、肝不全では体のだるさや黄疸(皮膚の色が黄色くなる)、腹水(お腹に水が溜まる)など、腎不全では息苦しさや体のだるさ、吐き気、食欲低下、尿量の減少などが代表的な症状です。
リンパの流れが悪くなることで、皮膚の下や脂肪の隙間などにリンパ液が溜まって手足などがむくむ状態です。むくみが軽度であれば気にならないことが多いですが、ひどくなると、だるさを感じ、生活に支障をきたすケースも少なくありません。また、リンパ浮腫によるむくみは通常痛みを伴いませんが、むくみが急速に進んだ場合には痛みを感じることがあります。
乳がんなどの手術後によくみられ、手や腋付近の手術や感染症でリンパ管の流れが傷害されて片側性に起こります。
手のむくみが続いている場合、他の症状がある場合には、一度病院を受診するようにしましょう。特に、息苦しさや体のだるさなどの症状を伴っていれば、体重の変化も確認して早めに受診することがすすめられます。
原因によって専門科目は異なりますが、まずは近くの内科やかかりつけの医療機関へ受診するとよいでしょう。
受診の際には、手のむくみが出始めた時期、よく起こる時期、痛みの有無、他の症状などについて詳しく医師に伝えると診断の助けになります。
生活習慣が原因となって手のむくみが起こることも少なくありません。考えられる原因としては以下が挙げられます。
体に入ったアルコールを代謝する過程で、アセトアルデヒドと呼ばれる有害物質が産生されます。この物質には血管を拡張させる作用があり、血管にできた隙間から血中の水分が漏れ出すことで、むくみが引き起こされることがあります。
アセトアルデヒドには利尿作用もあることから、体内の水分が減少して脱水症状を起こしやすくなります。アルコールを飲みすぎてしまったら、まずは脱水症状を回避するためにしっかりと水分をとるようにしましょう。
そして、日頃の飲酒習慣を見直し、飲酒量をほどほどにする、食べながら飲む、一気飲みをしない、飲酒の間には適度に水を飲む、などの対策をしましょう。
水分を摂りすぎると、血管の中の水分が増加して血管の外に漏れ出しやすくなります。また、塩分には体内に水分を蓄えるはたらきがあるため、摂りすぎると水分がうまく排出されず、むくみが生じやすくなります。
日頃から水分・塩分を過剰に摂取しないよう生活を見直し、水分に関してはがぶ飲みせずに少量ずつ飲む、熱めのお湯やお茶を飲む、塩分に関しては減塩食を取り入れるなど、工夫するようにしましょう。
心疾患、肝疾患、腎疾患などのある方は、主治医と相談しましょう。
手のむくみがいつまでもよくならない場合には、思わぬ病気が隠れているかもしれません。一度病院で相談してみましょう。