手の痛み:医師が考える原因と対処法|症状辞典

手の痛み

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 転倒したなど、きっかけがはっきりしていて痛みが強い
  • 手首を動かせないほど痛む

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 手首や指を動かすと痛みが強くなる
  • 指を動かしたときにひっかかりを感じる
  • しびれがある
  • 日常生活に支障はないが、痛みが慢性化している

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 痛みが短期間で、その後繰り返さない

おおさかグローバル整形外科病院 外傷・手外科 部長

山口 さおり 先生【監修】

日常的によく動かす場所である手ですが、その分痛みなどの症状があると、たとえ軽い症状であっても気になりやすいと場所といえるでしょう。

  • 手首の親指側が痛く、物を握る動作がしづらい
  • 指を曲げ伸ばしすると、コキっと引っかかるような感じがして痛みがある
  • 手を使わなくても痛みがある

このような症状がみられた場合、原因としてどのようなことが考えられるのでしょうか。

手の痛みは、日常生活でもさまざまな場面で感じることがありますが、以下のような骨、腱(けん)、筋肉、神経などの問題が原因となることもあります。

ドケルバン病

手首の親指側に通っている腱の腱鞘炎(けんしょうえん)です。親指の使い過ぎや、生まれつきの手首の構造によって起こりやすくなるといわれています。

グーにした手を小指側に引っ張ると痛みが強くなるので、重いフライパンなどを持つことがつらくなります。妊婦、授乳中の女性、更年期の女性などに起こりやすいといわれています。

腱鞘炎
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狭窄性腱鞘炎
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ばね指・狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)

指を曲げるための腱が滑らかに動かなくなることで、曲げ伸ばしの際にコキっと引っかかる感じがする状態です。悪化すると無理やり別の手で引っ張らないと伸びなくなり、指の付け根の手のひら側を押すと痛くなります。

ばね指
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手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

手に至る神経が、手や肘で圧迫される状態です。手根管症候群では、親指・人差し指・中指が痛くなり、手首の手のひら側を叩くと指先に痛みが走ります。肘部管症候群では、薬指・小指のしびれや痛みが起こり、肘の裏側を叩くと指先に痛みが走ります。

手根管症候群
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肘部管症候群
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キーンベック病

手のひらにある骨の1つである月状(げつじょう)骨の血流が悪くなり、壊死(えし)してつぶれる病気です。手を使うと手首が痛く、握力が落ちます。手のひらの真ん中あたりを押すと痛みが強くなります。

キーンベック病
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関節炎、変形性関節症

手や指の骨の関節に炎症や変形が起こった状態です。手には多数の関節があり、それぞれに病気が起きることがあります。

母指手根中手変形性関節症では親指の付け根が痛み、遠位指節間関節変形性関節症(へバーデン結節)では各指の第一関節(指先に近い関節)が腫れて痛くなります。

関節炎
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変形性関節症
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関節リウマチ

関節を包む膜に炎症が起こり、腫れ・変形・痛みが起こる病気です。全身どこの関節にも起こることがありますが、特に朝起床時に手関節や指が動かしにくくなり、時間が経つと動かしやすくなります。

関節リウマチ
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グロムス腫瘍(しゅよう)

爪の下、指の腹などの血管にごく小さいできものができ、爪に物が当たると電気が走るような激痛が起こる病気です。

橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折、舟状骨(しゅうじょうこつ)骨折

手のひらをついて転倒すると、手関節に近い骨が折れます。これを橈骨遠位端骨折といいます。また、手のひらの舟状骨という骨が折れることもあります。骨折により、痛みや腫れが起こります。

橈骨遠位端骨折
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舟状骨骨折
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手に痛みが生じるまれな病気としては、ファブリー病などが挙げられます。まれな病気の中には診断が難しく、発見までに時間がかかるものもあります。気になる症状があれば、放置せず、医療機関の受診を検討しましょう。

ファブリー病
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手の使い過ぎを避けるような対策を行っても痛みが続いていたり、痛みで日常生活に支障をきたしていたりする場合には、整形外科への受診を考えましょう。

受診の際には、いつから痛みがあるのか、思い当たるきっかけはあるのか、ほかの症状があるのかなどを医師に伝えるとよいでしょう。

日常生活上の習慣が原因となって、手の痛みが起こることもあります。

キーボードのタイピング、スマホの使い過ぎなどで手を使う機会は増えています。

同じところに力がかかる作業を長時間行わないようにしましょう。スマホを使う際も、持ち手を変えてみる、入力する指を変えてみる、体全体の姿勢を変えてみるなどの工夫をしてみましょう。また、適度に休憩を取り、ストレッチをしましょう。

手の痛みが続く場合には、一度、整形外科の受診を検討しましょう。意外な原因が潜んでいることもあります。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。