足がかゆい:医師が考える原因と対処法|症状辞典

足がかゆい

聖マリアンナ医科大学 皮膚科 教授

門野 岳史 先生【監修】

足の裏は精神的な緊張や暑さなどから汗をかきやすい部位であり、通気性が悪く蒸れやすい状態のため、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。特に、足のかゆみは日常的に発症することがある症状のひとつです。

  • 足の指の間が特にかゆくなり、びらん(ただれ)や出血を伴っている
  • 足に異常な量の汗が分泌され、蒸れてかゆくなる
  • 特に原因がないのに、足がかゆくてムズムズする

これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

足のかゆみの発症は日常生活上の習慣が関与していることがあります。主な原因と、それぞれの対処法は以下の通りです。

足は靴下やストッキング、靴などによって常に蒸れやくなっています。足が蒸れることによって、溜まった汗や増殖した雑菌がかゆみを引き起こすことがあります。また、蒸れは白癬やカンジダの増殖を促す原因にもなります。

足の蒸れを防ぐには

靴下やストッキングなどは通気性のよいものを選び、長時間靴を履き続けるのは避けましょう。長時間の外出時や勤務中などであっても、こまめに靴を脱いで蒸れを防ぐことが大切です。

足は汗の分泌が多いため乾燥しにくい部位ですが、(かかと)などは冬場を中心に強い乾燥を生じることがあります。乾燥はかゆみの原因となるため、足のかゆみにつながることもあります。

足の乾燥を防ぐには

踵など乾燥しやすい部位は、保湿効果の高いクリームなどをこまめに塗って乾燥予防対策を行いましょう。乾燥による角化が著しい場合は、スクラブなどで角化した組織を除去することも効果が期待できます。

日常生活上の対処法を講じても症状が改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性も考えられます。早く治療を開始するためにも、それぞれの症状に合わせた診療科を受診して適切な検査・治療を受けるようにしましょう。

足のかゆみは日常生活上の習慣が原因となることも多々ありますが、以下のような病気が原因の場合もあります。

足にはさまざまな病気が発症しますが、その症状のひとつとして、かゆみがみられるものもあります。原因となる主な病気には以下のようなものが挙げられます。

白癬(はくせん)

いわゆる水虫と呼ばれるもので、カビの一種に感染することで発症する病気です。足の指の間に発症することが多く、非常に強いかゆみを伴う水膨れや表皮のびらんなどがみられます。夏など、暑く足が蒸れやすい時期に症状がひどくなる傾向があります。

白癬
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疥癬(かいせん)

ヒゼンダニと呼ばれる微小なダニが寄生することで発症する病気です。足や手のひら、腹部などに赤い小さな皮疹が生じ、非常に強いかゆみを伴うのが特徴です。また、皮下を疥癬が移動した痕跡である疥癬トンネルが見られることもあります。

一方、皮疹が見られずに角質層が増殖するタイプのものもありますが、通常の疥癬と異なりかゆみを伴わないことがあります。

疥癬
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皮膚カンジダ症

カビの一種であるカンジダが異常増殖して、足の指の間などにびらんや出血を引き起こす病気です。かゆみを伴うことも少なくありません。

カンジダは皮膚の常在菌ですが、体調不良などによって免疫力が低下しがちなときに異常増殖して発症することがあります。

カンジダ症
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足底多汗症

足の裏に過剰な汗が分泌される病気で、明確な発症メカニズムは解明されていません。汗の分泌量が増えて蒸れやすくなるため、足の臭いがきつくなったり、かゆみを生じたりすることがあります。

多汗症
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足のかゆみは、足の病気だけでなく全身に生じる病気のひとつの症状として現れることがあります。原因となる主な病気は以下の通りです。

皮膚瘙痒(そうよう)

皮膚の乾燥などによって角質層のバリア機能が低下して、類の摩擦など些細な刺激で強いかゆみを引き起こす病気です。全身のいたる部位にかゆみが引き起こされますが、足が乾燥している場合には足にもかゆみを生じることがあります。

掻痒症
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黄疸(おうだん)

肝硬変や肝臓がんなど肝機能が著しく低下する病気では、血液の分解産物であるビリルビンが正常に代謝されず、体内に過剰に蓄積して黄疸(皮膚の黄染)が見られることがあります。ビリルビンにはかゆみを引き起こす成分が含まれているため、黄疸を生じると強いかゆみが引き起こされることがあります。特に、足の裏は黄染が強い場所であるため、強いかゆみを感じることがあります。

足のかゆみは日常的によく起こりうる症状であるため、軽くみられがちです。しかし、中には思わぬ病気が潜んでいることもあるため、注意が必要です。

特に、足にかゆみを伴う皮疹ができているときや、非常に強いかゆみで日常生活に支障をきたしているときなどは、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

受診する診療科は皮膚科がよいですが、黄疸がある場合など明らかに内蔵の変調が疑われる症状がある場合は、内科やかかりつけの病院で相談することも1つの方法です。

また、受診の際には、いつからかゆみがあるのか、かゆみの誘因、随伴する症状などを詳しく医師に説明しましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • かゆみ、皮が剥ける、爪が白くなる、発疹などの症状がある
  • 清潔などを心がけてもよくならない

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
  • 汗の量が多いと感じる
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。