頭皮が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
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メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
頭皮には後頭神経群をはじめとした多くの知覚神経が分布しており、些細な刺激で痛みが生じることがあります。痛みの原因は多岐に渡り、日常生活上の好ましくない習慣が原因のこともあれば、思わぬ深刻な病気が原因として潜んでいる可能性もあります。
これらの症状がみられる場合、どのような原因が考えられるでしょうか。
頭皮の痛みは以下のような病気によって引き起こされることがあります。
頭皮は皮脂の分泌量が多く、頭髪が密生して蒸れやすい環境であるため、さまざまな病変を生じる可能性があります。中には痛みを伴う病変が生じることもあり、主な病気には以下のようなもの挙げられます。
細菌感染によって毛包に炎症が生じる病気です。皮脂や汚れが溜まりやすい頭皮は毛包炎を発症しやすく、小さなしこりが形成されます。しこりは毛包の内部に膿が溜まって腫れたもので、痛みや熱感、発赤などの症状を伴います。また、悪化すると頭皮の深層に膿瘍を形成することもあります。
シャンプーやトリートメントなどの薬液成分が肌に合わない場合、頭皮がかぶれて炎症を生じる接触皮膚炎を発症することがあります。かぶれを生じた頭皮には痛み、かゆみや発赤、びらんなどの症状が現れ、原因となる薬液の使用を中止すると症状の進行が止まることがほとんどです。
皮脂分泌の盛んな頭皮や顔、脇などを中心に、軽度の痛み、かゆみを伴う湿疹が現れる病気です。乳幼児期や成人にみられることが多く、湿疹は黄色っぽいかさぶたに覆われており、「フケ」のようにパラパラと脱落するのが特徴です。重症化すると頭皮全体に硬いかさぶたが生じることもあります。
頭皮には多くの知覚神経が走行しており、これらが何らかの刺激を受けることで痛みを生じることがあります。主な原因となる病気は以下の通りです。
頭皮の痛覚を司る後頭神経や眼窩上神経が何らかの刺激を受けて、その神経支配領域に一致した痛みを引き起こす病気です。明確な発症メカニズムは解明されていませんが、肩こりや動脈硬化、解剖学的な異常が発症の引き金になると考えられています。
痛みは、ピリピリとした電撃のような性状であり、一日以内で治まることが多いですが、再発を繰り返すのが特徴です。
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した後に、神経節内に潜んでいたウイルスが、体調不良時など免疫力が低下したときに活性化する病気です。
ウイルスが潜んでいる神経の支配領域に一致した電撃痛や水疱を形成し、重症な場合では高熱や意識障害などの全身症状がみられることもあります。ウイルスが頭皮を支配する神経に潜んでいる場合は、頭皮にこれらの症状が現れ、痛みの原因となることがあります。
頭皮には、さまざまな皮膚トラブルが生じやすく、痛みが生じることも多々あります。このため、頭皮の痛みは見過ごされがちな症状でもありますが、思わぬ病気が原因のこともあるため注意が必要です。
特に、頭皮にできものやびらんなどの皮膚病変がある場合、非常に強い痛みで市販薬を服用しても改善しない場合、痛みが繰り返されて日常生活に支障を来たしている場合などはなるべく早めに病院を受診しましょう。
受診に適した診療科は、皮膚病変が前面にある場合には皮膚科、神経による痛みが疑われる場合は脳神経外科や神経内科がおすすめです。どの診療科を受診すべきか迷った場合は、内科やかかりつけ医で相談するのもよいでしょう。
受診した際には、いつごろから症状が出ているのか、頭皮の痛み以外に現れている症状はあるかなどを詳しく医師に伝えましょう。
頭皮の痛みは日常生活上の好ましくない習慣が原因の場合があります。痛みを引き起こす主な生活習慣とそれぞれの対処法には以下のようなものが挙げられます。
頭皮は髪が密生しているため、日焼けしにくいと考える方は多いでしょう。しかし、夏場など紫外線が多い日に無防備に外出すると頭皮にも日焼けを生じることがあります。
頭皮には日焼け止めを使用することはできないため、長時間外出する際には帽子を着用しましょう。夏場は、汗が蒸れてサンバイザーなどの方が好まれることが多いですが、頭皮の日焼け予防には帽子の着用が効果的です。
頭皮は皮脂の分泌が多いため、汚れや臭いが気になって頻回にシャンプーしたり、何度もお湯で流したりしがちです。しかし、過剰な洗浄は頭皮を乾燥させ、炎症を引き起こして痛みの原因となることがあります。
過剰な洗浄を行わないのはもちろんのこと、皮脂を落とす効果が強すぎるシャンプーや肌質に合わないヘアケア用品などの使用は控えるようにしましょう。また、入浴後は、頭皮の保湿効果があるオイルなどを使用するのもおすすめです。
頭皮は血流が豊富な部位ですが、ストレスや肩こりが悪化すると血管の収縮などによって頭皮への血流が低下し、痛みを引き超こすことがあります。また、冷房などによる冷えも血管収縮や痛みを誘発することがあります。
ストレスや疲れを溜めないよう十分休息をとりストレス解消を行うと共に、肩や首のストレッチ、頭皮マッサージなどを行って血流を改善しましょう。また、なるべく体を冷やさないように、夏場でも羽織物などを持ち歩くようにしましょう。
日常生活上の対処法を続けても頭皮の痛みが改善しない場合は、治療の必要があるケースも少なくありません。なるべく早く、それぞれの症状に合わせた診療科を受診し、適切な検査・治療を受けましょう。