顔が赤い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
聖マリアンナ医科大学 皮膚科 教授
門野 岳史 先生【監修】
気温やそのときの感情によって顔が赤くなることは、日常生活で頻繁に起こり得ることです。しかし、赤みの形状や広がり具合によっては皮膚や血管などにかかわる病気が原因になっていることもあります。
このような症状がある場合、原因としてどのような事が考えられるでしょうか。
顔の赤みは病気が原因となっていることもあります。
皮膚はとてもデリケートです。少しの物理的な刺激で顔の皮膚が赤くなることがありますが、場合によっては皮膚の病気で赤みが出ていることもあります。
酒さ様皮膚炎は主にステロイド軟膏を長期間使用したことが原因で毛細血管が拡張し、皮膚に赤みが出てしまう状態のことを指します。皮膚に赤みが出るほか、腫れたような皮膚の盛り上がり、火照り、ヒリヒリ感などの症状を伴うことがあります。
ステロイド軟膏はアトピー性皮膚炎の治療によく使用されるので、アトピー性皮膚炎の治療をしている方に発症することが多いとされています。
酒さは酒さ様皮膚炎と同じような症状(腫れたような皮膚の盛り上がり、火照り、ヒリヒリ感など)が現れますが、別のものであるとされています。酒さ様皮膚炎はステロイド軟膏との関連性が指摘されていますが、酒さはステロイド軟膏とは関連性がなく、現在のところ原因はよくわかっていません。
乾癬は炎症が起きることで皮膚が厚く、そして硬くなってしまう病気です。そのほかの症状としては皮膚表面の赤みのほか、盛り上がったブツブツ、皮膚に粉を吹いたような状態が見られ、頭や肘、膝、お尻に起こりやすい傾向があります。また、見た目を気にするストレスによって、生活の質が落ちることも問題となりがちです。
要因には遺伝的要素、環境、免疫の問題が挙げられていますが、はっきりとした原因は判明していません。
脂漏性皮膚炎は頭皮や顔、胸、背中など、皮脂が多い部分を中心に赤みが出現する湿疹のことを指し、赤み以外にかゆみが出ることがあります。
発症の要因としてマラセチアという真菌が挙げられていますが、マラセチアを持っている全ての人が脂漏性皮膚炎を起こすというわけでもないため、診断には医師による詳細な診察が必要です。
皮膚だけでなく、皮膚の下を走る血管や体の病気でも顔の赤みは起こります。
毛細血管拡張症は静脈が拡張することによって、血液が皮膚から透けて見えてしまう症状のことを指します。放置していても特に問題は発生しませんが、人によっては灼熱感や痛みを感じることがあります。
全身性エリテマトーデスは自己免疫システムが正常な細胞を攻撃してしまう病気です。鼻を中心として羽を広げた蝶のような赤い湿疹が顔に見られるほか、紫外線を浴びたことで生じる水ぶくれや発疹、脱毛、痛みがない口内炎などの症状が現れることもあります。
赤みが収まらず患部が様々な部分に広がっていく、かゆみなど他の症状がひどいなどの場合には一度早めに受診しましょう。また、見た目を気にするせいでストレスがかかっているような場合にも、一度医療機関で相談してみるとよいでしょう。
全身性エリテマトーデスなど一部の病気では専門の科目が分かれる場合がありますが、顔の赤みを主な症状として病院にかかる場合には、まず皮膚科でよいでしょう。
受診の際は症状の出始めた時期や部位、かゆみ・ヒリヒリ感・灼熱感などの有無、アトピー性皮膚炎などかかったことのある皮膚の病気などについて医師に伝えるとよいでしょう。
上記で説明した病気のほか、日常生活での出来事が原因となって顔に赤みが出ることもあります。
精神的なストレスや緊張が続くと自律神経が乱れて血管が広がり、顔が赤くなりやすくなることがあります。
精神的な負担がかかっていると自覚している場合には、なるべくストレスがかからないような生活を心がけましょう。また、適度な運動と十分な睡眠を取って、自律神経を整えることも大切です。
気温に合わせて人体の温度調整機能が働き、毛細血管が拡張して顔が赤くなることがあります。
気温が原因で赤みがでることは日常のシーンで多々あります。放置していても特に問題はありませんが、外出先などで赤みが気になるようであれば、温度調節がしやすい服装を心がける、空調を調節するなどして対策が可能です。
化粧品に含まれている成分や紫外線によって皮膚が刺激を受け、顔に赤みが出ることがあります。
まず刺激のもとを絶つことから始めてみましょう。肌に合わない化粧品や刺激を感じる化粧品はすぐに使用を中止し、それでも赤みが収まらない場合は皮膚科の医師に相談しましょう。
日焼けで赤くなった皮膚は冷たい水などで冷やし、それ以上日焼けしないように気をつけましょう。予防のための日焼け止めについても、肌に刺激を与えない、優しい成分で作られたものを選んでみてはいかがでしょうか。
自分でできる対処法を試してもよくならない場合には、思いもよらない原因が潜んでいることがあります。そのような場合には一度医師に相談してみましょう。