顔が熱い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

顔が熱い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 皮膚の腫れ、赤み、痛みがあり急激に悪化している

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 皮膚の腫れ、赤み、痛み、発疹(ほっしん)などがある
  • 発熱、のぼせ、めまい、吐き気など体の症状がある
  • 突然カーッと顔が熱くなる

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 一時的なもので、その後繰り返さない

岡山大学病院 総合内科・総合診療科長/感染症内科長/検査部長、岡山大学学術研究院医歯薬学域 総合内科学 教授

大塚 文男 先生【監修】

緊張したときや熱があるときなど、顔が熱くなることはよく起こる症状です。しかし、ときに病気が原因となって突然顔が熱くなったり、慢性的なほてりを感じたりすることがあります。

  • 最近、顔が突然カーッと熱くなることを頻繁に繰り返す
  • かぜでもないのに顔が熱く、汗がとまらない
  • 顔や体がほてって、なんだか疲れやすい

このようなときには一体どんな原因が考えられるのでしょうか。

顔の熱さは、症状の現れ方によって原因として考えられる病気が異なります。

急激な顔の熱さを感じる場合、主に体温上昇や顔面の血行促進によるほてりが原因として考えられます。具体的な病気としては、かぜやインフルエンザなどの感染症、または暑熱環境による熱中症などが挙げられます。

感染症

かぜやインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症では、ウイルスや細菌などの感染により発熱が生じ、それに伴って顔の熱さを感じることがあります。
かぜの主な原因はウイルス感染であり、典型的な症状として発熱のほか、鼻水、咳、くしゃみ、たんなどの上気道症状が出現します。一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症で、主に冬季に流行します。かぜと比較して症状が重く、38度以上の高熱に加え、頭痛や関節痛、筋肉痛、強い倦怠感、寒気などの全身症状と、かぜと同様の上気道症状を引き起こします。
また、両頬がりんごのように赤くなる感染症として、りんご病伝染性紅斑)があります。ヒトパルボウイルスB19による感染症で、小児の間で流行することが多いものの、大人にも感染する可能性があります。感染後は10~20日の潜伏期間を経て、頬に赤い発疹(紅斑)が現れ、続いて体や手足にも発疹が生じるのが特徴です。

インフルエンザ
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頭痛
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筋肉痛
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熱中症

熱中症は、高温多湿な環境下での体温調節機能の乱れや、体内の水分・塩分バランスの崩れによって全身にさまざまな症状を起こす病気です。体内に熱が蓄積することで体温上昇や顔面のほてりが生じます。初期症状として頭痛めまい筋肉痛、全身倦怠感、吐き気、嘔吐などが現れます。また、異常な発汗(多量または無汗)も警戒すべき症状です。重症化すると呼びかけに反応しない、真っ直ぐ歩けないなどの症状を引き起こし、命に関わる状態になることもあります。症状を認めた場合は速やかな医療機関の受診が必要です。

熱中症
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顔が熱くなるのを繰り返すときには、ホルモンバランスや自律神経が乱れていたり、甲状腺や血圧、免疫機能などに異常が生じていたりする可能性があります。

更年期障害

更年期障害とは、閉経前後の約10年間に女性ホルモンの分泌がゆらぎ、低下することでさまざまな症状が現れる状態です。のぼせや発汗、動悸、頭痛、肩こり、めまい、疲れやすさ、イライラ、不安感など心と体にさまざまな症状が現れます。顔や体がカーッと突然熱くなって汗がとまらないホットフラッシュと呼ばれる症状を感じる人も多く、動悸がすることもあります。男性にも女性と同じような症状が出ることがあります。

更年期障害
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自律神経失調症

自律神経失調症とは、ストレスや生活習慣の乱れなどによって自律神経のバランスが崩れる病気です。自律神経は体温を調節したり、ホルモンの分泌をコントロールしたりするはたらきを担っているため、バランスが崩れるとさまざまな不調をきたします。顔のほてりのほかにも、疲労感、しびれ、息切れ、動悸、めまい頭痛食欲不振、肩こり、便秘、下痢など体全体に不快な症状が生じます。

自律神経失調症
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めまい
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便秘症
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甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症とは、喉仏のところにある甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンには代謝を促進するはたらきがあります。これが過剰に分泌されると、顔や体のほてり、大量の発汗、心拍数や血圧の上昇、脈の乱れ、手のふるえ、不安感、睡眠障害、体重減少、下痢などの症状が現れます。甲状腺機能亢進症の1つであるバセドウ病では、まぶたが腫れる、目が突出する、物が二重に見えるなどの症状がみられることがあります。

甲状腺機能亢進症
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高血圧

高血圧とは、生活習慣や遺伝などが原因となって、最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上と血圧の高い状態が持続する病気です。目立った自覚症状が現れることはほとんどありませんが、顔や体のほてり、めまい頭痛、耳鳴りなどを感じたときには高血圧が隠れていることもあります。放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞脳卒中などの病気を引き起こす原因となります。若い方の高血圧では、副腎から分泌されるホルモンの過剰分泌が原因となっている場合もあります。

高血圧症
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顔の一部だけが熱いときには、皮膚の病気の可能性が考えられます。

皮膚の病気

皮膚に生じる炎症も、顔の熱さの原因となります。アレルゲンや刺激物との接触、あるいは皮膚の乾燥などが原因で皮膚炎を発症すると、皮膚の発赤やかゆみ発疹などの症状に加えて、顔のほてりを感じることがあります。
また、顔のほてりが繰り返し起こる場合には、酒さという病気の可能性も考えられます。酒さは、頬と鼻を中心に皮膚が赤くなり、細い血管が浮き出て見えるのが特徴で、小さな吹き出物や少量のうみを伴う発疹が現れることもあります。

リンパ節炎
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発熱が続いたり繰り返したりすることで、顔が熱く感じる症状が現れることがあります。これには、悪性腫瘍(がん)や自己免疫疾患などの病気が関与している場合もあります。

がん

発熱が長期間続いたり繰り返したりして顔が熱い症状が現れる場合には、白血病悪性リンパ腫などのがんの可能性があります。これらは血液の中に含まれる白血球やリンパ球と呼ばれる細胞ががん化して異常に増殖する血液のがんです。白血病では発熱に加えて、疲れやすさ、息切れ、めまいなどの貧血症状が現れ、そのほか、歯肉や鼻、皮膚からの出血、感染症にかかりやすくなるなどの症状もみられます。一方、悪性リンパ腫では、長期的な発熱とともに、体重減少や異常な寝汗、さらには首や脇の下、脚の付け根などにしこりが生じることがあります。なお、これら以外のがんでも持続的な発熱が症状として現れることがあります。

自己免疫疾患

自己免疫疾患とは、免疫機能が正常に働かず、自分の体の組織を誤って攻撃してしまう病気です。発熱が続く代表的な病気として、全身性エリテマトーデスSLE)やシェーグレン症候群などがあります。これらの病気では、持続的な発熱に加えて、湿疹などの皮膚症状、関節炎、目や口の乾き、また指先が急に白くなるレイノー現象など、多様な症状が現れます。また、比較的まれな病気ではありますが、家族性地中海熱では、周期的に突然の発熱を繰り返し、そのほかに腹痛や胸痛、関節痛といった症状を伴うことがあります。

顔の熱さを強く感じるときや高熱があるとき、吐き気などの気になる症状があるときには、なるべく早く病院で診察を受けましょう。顔のほてりや熱さが続く、あるいはこれらの症状が繰り返しているような場合にも、一度受診を検討しましょう。
受診先として、何らかの皮膚症状がある場合や顔の一部分だけが熱い場合などはまず皮膚科に、顔全体の熱さの場合には、さまざまな原因が考えられますのでまずは内科・総合診療科などに相談するとよいでしょう。
医師にはいつからどのようなときに顔の熱さを感じるのか、ほかの気になる症状などについて分かる範囲でできるだけ詳しく伝えましょう。

日焼けや緊張、ストレスといった、病気とは関係ない原因で顔の熱さを感じている場合もあります。

紫外線を含む太陽光を浴びることで、皮膚は軽度のやけどに似た状態になります。日焼けから数時間後、皮膚は赤みを帯びてヒリヒリとした痛みが生じ、これが顔の熱さやほてりとして感じられることがあります。

日焼けの予防

不必要な日光浴は避け、屋外で活動するときには帽子や長袖・長ズボンの衣服を着用して、なるべく皮膚に紫外線が当たらないようにしましょう。日傘や日焼け止めを使用することも有効です。
もし日焼けしてしまったら、皮膚の炎症を抑えるために水や氷ですぐに冷やすようにしましょう。

人前に立つときなど、過度な緊張やストレスにさらされると交感神経優位となります。これにより心臓は強く早く脈打ち、血管は収縮するはたらきが強まり、ドキドキしたり顔が熱くなったりします。

強い緊張などを感じたら

強い緊張などを感じたときには、深呼吸して少しずつ体の力を抜いていくようにしましょう。首や肩、足などをマッサージすることで緊張が和らぐこともあります。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。