顔が熱い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
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メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
緊張したときや熱があるときなど、顔が熱くなることはよく起こる症状です。しかし、ときに病気が原因となって突然顔が熱くなったり、慢性的なほてりを感じたりすることがあります。
このようなときには一体どんな原因が考えられるのでしょうか。
顔の熱さは突然起こる場合、繰り返し起こる場合、顔の一部で起こる場合で原因として考えられる病気が異なります。
急に起こった顔の熱さの場合、体温上昇や顔付近の皮膚の血流の増加によるほてりのことが多く、かぜやインフルエンザといった感染症や、熱中症などの可能性があります。
かぜやインフルエンザなど、ウイルスや細菌等に感染し、発熱に伴って顔が熱いと感じることがあります。
いわゆるかぜの原因のほとんどはウイルス感染で、発熱以外に鼻水や咳、くしゃみ、たんなど鼻や喉を中心とした症状がでます。インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染によって起こる病気で、特に冬に流行することが多いです。かぜに比べて全身に強い症状が現れるのが特徴で、急に38~40℃の高い熱が出て頭痛や関節痛、筋肉痛、倦怠感、ゾクゾクとする寒気などを生じ、かぜと同様の鼻水や咳、喉の痛みなども伴います。
熱中症とは、高温多湿な場所で過ごすことで体温調節機能が狂ったり、水分や塩分のバランスが崩れたりして、全身にさまざまな症状を起こすことです。発汗がうまくいかず体に熱がたまるので、体温が上昇したり顔が熱いと感じたりします。頭痛や立ちくらみ、筋肉痛、筋肉のけいれん、体のだるさ、吐き気、嘔吐、倦怠感などが出たら熱中症のサインかもしれません。大量の汗がでたり、全く汗をかかなかったりと、汗のかきかたがおかしいときも注意が必要です。重度になると呼びかけへの反応がおかしい、動きがおかしいなどの意識障害や運動障害が起こって、ときに命にかかわることもあるので早急に病院を受診しましょう。
顔が熱いことを繰り返すときには、ホルモンバランスや自律神経が乱れていたり、甲状腺、血圧、免疫系統などに異常が生じていたりする可能性があります。
更年期障害とは、閉経前後の約10年間に女性ホルモンが急激に低下することでさまざまな症状が現れるものです。のぼせや汗、動悸、頭痛、肩こり、めまい、疲れやすい、イライラ、不安感など心と体にさまざまな症状が現れます。顔や体が突然カーッと熱くなって汗がとまらないホットフラッシュと呼ばれる症状を感じる人も多く、通常2~4分ほど持続し、動悸がすることもあります。
閉経は早い人で40代前半、遅い人で50代後半ごろ迎えるので、特に40~50代前後の女性は更年期障害も可能性の一つとして覚えておきましょう。
緊張したときに一時的に顔が熱くなる場合がありますが、緊張やストレスが続くと、慢性的に顔の熱さを感じたり繰り返したりすることがあります。自律神経失調症とは、ストレスや生活習慣の乱れなどによって体の体温を調節したり心臓や胃腸、ホルモンの分泌をコントロールしたりする自律神経のバランスが乱れてさまざまな症状が起こる病気です。顔のほてりの他にも、疲労感、しびれ、息切れ、動悸、めまい、頭痛、食欲不振、肩こり、便秘、下痢など体全体にさまざまな不快な症状を生じます。
甲状腺機能亢進症とは、喉仏のところにある甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺がはたらきすぎる原因としては、自己免疫疾患のバセドウ病やウイルス感染などによる甲状腺炎などが多くみられます。甲状腺ホルモンには代謝を促進するはたらきがあります。これが過剰に分泌されると、顔や体のほてり、大量の発汗、心拍数や血圧の上昇、手のふるえ、不安感、睡眠障害、体重減少、下痢などの症状が現れます。バセドウ病では目の周囲の膨れ、目が突き出すなどの目の症状が現れることもあります。
高血圧症とは、生活習慣や遺伝などが原因となって、最高血圧が140mmHg以上または最低血圧が90mmHg以上と血圧の高い状態が持続する病気です。目立った自覚症状が現れることはほとんどありませんが、顔や体のほてりやめまい、頭痛、耳鳴りなどを感じたときには高血圧症が隠れていることもあります。放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中など命にかかわる病気を引き起こす原因となり得ます。
顔の一部だけが熱いときには、皮膚の病気の可能性が考えられます。
何らかの原因で顔の皮膚に炎症が起こることで、顔の熱さを感じることがあります。アレルゲンや刺激物への接触、皮膚の乾燥などによって皮膚炎が起きると、皮膚が赤くなり、かゆみや発疹、水疱などの症状がみられます。感染症が原因となることもあり、 細菌に感染することで急速に皮膚の炎症が生じ、発熱やリンパ節炎を引き起こす蜂窩織炎や丹毒などの病気があります。
顔のほてりをくりかえすときには酒さの可能性もあります。頬と鼻が赤くなって細い血管が見えるのが特徴で、小さな吹き出物や少量の膿を伴うこともあります。
顔の熱さが強いときや高熱があるとき、吐き気などの気になる症状があるときには、なるべく早く病院で診察を受けましょう。顔のほてりや熱さが続く、繰り返しているような場合にも、一度受診を検討しましょう。
受診先として、皮膚に見た目の異常がある場合や、顔の一部分だけが熱い場合などはまず皮膚科、顔全体の熱さの場合には、原因が様々考えられますのでまずは内科などで相談すると良いでしょう。
医師にはいつからどのようなときに顔の熱さを感じるのか、他の気になる症状などについて分かる範囲でできるだけ詳しく伝えましょう。
日焼けや気温の変化といった、病気とは関係ない原因で顔の熱さを感じている場合もあります。
太陽の光に含まれる紫外線を浴びると皮膚が軽いやけどをしたような状態となり、日焼けした数時間後に皮膚が赤くなってヒリヒリした痛みを感じます。顔や体が熱いと感じることも多く、ひどいときには発熱することもあります。内服している薬で起こることがあります。
不必要な日光浴は避け、屋外で活動するときには帽子や長袖長ズボンを着用してなるべく皮膚に紫外線を浴びないようにしましょう。日傘や日焼け止めを使用することも有効です。
もし日焼けしてしまったら、皮膚の炎症を抑えるために水や氷ですぐに冷やすようにしましょう。
人間は熱いときに体から熱を逃がし、寒いときに熱を生み出すことで体温を調節しています。急激な気温の変化や暑すぎるときには、体温調節がうまくいかず体が熱を持ってしまうことがあります。
暑い日は汗で水分が失われやすいので、水分をこまめにとり、塩分や糖分も適度にとりましょう。室内では適度に空調を用いて気温や湿度が高くなりすぎるのを防ぎ、衣服も通気性のよいものを選ぶなどして工夫します。顔や体の熱さを感じたときには、首もとや脚のつけ根、脇の下など太い血管が通っている部分を冷却シートや冷水など冷たいもので冷やすと効率よく体を冷やすことができます。
人前に立つときなど、過度な緊張やストレスにさらされると交感神経優位となります。それにより心臓は強く早く脈打ち、血管は収縮するはたらきが強まり、ドキドキしたり顔が熱くなったりします。
強い緊張などを感じたときには、深呼吸して少しずつ体の力を抜いていくようにしましょう。首や肩、脚などをマッサージすることで緊張が和らぐこともあります。自律神経のバランスを整え鎮静効果のあるアロマの香りを嗅ぐことなども効果的です。
顔の熱さがいつまでもよくならないときには、なんらかの病気が原因となっていることもあります。一度病院で相談しましょう。