頬のむくみ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

頬のむくみ

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 横になれないほどの息苦しさが伴う
  • むくんでいる部分に赤み、熱感があり、急速にひどくなっている
  • アレルギーのあるものに接触した心当たりがあり、唇や顔の腫れがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 顔全体、手足、体などにもむくみがある
  • 発熱、便秘、気分の落ち込みなどがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 月経周期によるなど原因がはっきりしており、それに伴ってよくなっていく

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

頬のむくみは見た目の問題で気にする人もいますが、原因や伴う症状によっては、見た目の問題だけではなく注意が必要なこともあります。

  • 朝起きたとき、鏡を見たらむくんでいた
  • 最近頬のむくみが取れないし、なんだか疲れやすい
  • 片方の頬だけがむくんでいる

このような症状がみられるとき、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

頬のむくみは病気が原因となって起こっていることもあります。

頬のむくみを引き起こす病気の中でも、比較的頻度の高いものとして次のような病気が知られています。

皮膚の病気

皮膚の病気などでも頰がむくんだように見えることがあります。代表的なものに、アトピー性皮膚炎接触皮膚炎蕁麻疹(じんましん)などがあります。

また、皮下脂肪など、皮膚の深いところの細菌感染によって引き起こされる蜂窩織炎(ほうかしきえん)や、レンサ球菌が皮膚の浅いところに感染して起こる丹毒(たんどく)という病気などもあります。

これらは全身どこにでも起こる可能性がありますが、特に丹毒では、頰や手足などに起こることが多いといわれています。

アトピー性皮膚炎
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接触皮膚炎
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蕁麻疹
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蜂窩織炎
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丹毒
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副鼻腔炎(上顎洞炎)・上顎洞の腫瘍

頬の下には上顎洞(じょうがくどう)という副鼻腔(ふくびくう)があります。この上顎洞に炎症や腫瘍があると、頬が腫れて痛くなることがあります。鼻づまり、性の鼻汁、ときに発熱することがあります。

月経前症候群

PMSとも呼ばれる月経前症候群は、月経前の数日間に起こるさまざまな症状です。月経が始まると症状が軽減されて消えることが多いという特徴があります。

主な症状として、頭痛や腹部の張り、腰痛、むくみといった身体症状とイライラや無気力、うつといった精神症状などがあります。

頰だけでなく顔全体がむくんでいるときには、以下のような病気にも注意する必要があります。

甲状腺機能低下症

喉仏のすぐ下にあり、ホルモンを分泌している甲状腺の機能が落ちてしまう病気です。

甲状腺ホルモンが減少すると、皮膚の乾燥や脱毛、顔や頰を含む全身のむくみが現れます。このほか、便秘や体重増加、疲労感、だるさ、抑うつ状態などが現れることもあります。

甲状腺機能低下症
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心不全

さまざまな原因により、心臓の機能が低下し、本来のはたらきができなくなった状態です。

血液を全身に送り出す力が低下するため、全身のむくみや息切れなどが起こります。尿量が減る、血圧が高くなるなどの症状が現れることもあります。早期の治療が必要な病気のため、当てはまる場合には注意が必要です。

心不全
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腎不全・肝不全

腎臓や肝臓の機能が低下して本来のはたらきができず、全身にさまざまな症状が引き起こされる状態を腎不全や肝不全といいます。

むくみやかゆみのほか、倦怠感、吐き気、食欲不振などの症状が現れることがあります。特に肝不全では、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)という症状が現れる場合もあります。

いずれも治療の必要な病気ですので、当てはまる場合には受診が必要です。

腎不全
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薬の副作用

高血圧糖尿病の薬、向精神薬、一部の漢方薬などの副作用として、顔や手足のむくみが現れることがあります。初めて使う薬などを飲んでこのような症状が現れた場合には、速やかに処方を受けた病院や薬局に相談しましょう。

クッシング症候群

コルチゾールと呼ばれるホルモンが何らかの原因で過剰に分泌されてしまう病気です。コルチゾールを分泌している副腎の病気をはじめ、ステロイド剤の長期使用などによっても起こることがあります。

ムーンフェイスと呼ばれる顔のむくみと赤ら顔が代表的な症状のほか、皮膚が薄くなって毛細血管が透けるため、皮下出血しやすくなったり、お腹だけが極端に太る一方、手足が細くなることもあります。

免疫力が低下するため、感染症のリスクが高まるほか、イライラやうつなどの症状が現れることもあります。

クッシング症候群
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上大静脈症候群

顔や手からの血液が心臓に返ってくる通り道である上大静脈が狭窄(きょうさく)閉塞(へいそく)して、顔や手がうっ血してむくむことがあります。

比較的まれな病気で、肺がんなどの腫瘍が静脈を圧迫して起こることが原因とされています。顔だけでなく、上半身だけがむくむこともあります。

上大静脈症候群
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血管性浮腫

血管性浮腫とは、何らかの原因で皮膚が腫れたり、むくんだりすることをいいます。蕁麻疹(じんましん)にも似ていますが、蕁麻疹が赤みやかゆみを伴い数時間で消失してしまうのに対し、血管性浮腫は赤みやかゆみがないことが一般的で、腫れ・むくみが治まるまでに1~3日程度かかったり、しばしば症状を繰り返したりすることなどが特徴です。また、血管性浮腫と蕁麻疹が併発することもあります。

血管性浮腫には、治療薬の服用による薬剤性血管性浮腫やアレルギーによるアレルギー性血管性浮腫、寒さや日光など物理的な刺激による血管性浮腫などさまざまな種類があります。
さらに、頻度は低いものの先天性の遺伝子変異が原因で起こる遺伝性血管性浮腫HAE)や自己抗体などが生じることによって起こる後天性血管性浮腫(AAE)などもあります。

遺伝性血管性浮腫
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一時的なむくみで自然と引いていくようなものであれば、大きな心配はいらないことが多いですが、いつまでも続く・酷くなる、熱を持っている、赤くなっている、片方だけむくんでいるなどの場合には一度受診しましょう。また、そこまで強い症状ではない場合であっても、腫れ・むくみが続く、繰り返す、様子を見ていてもよくならないなどの場合には、血管性浮腫などの思わぬ病気が隠れている可能性があるため、最寄りの医療機関を受診しましょう。

原因によって専門科目が分かれる場合がありますが、まずは内科やかかりつけの病院などでの相談でよいでしょう。

受診の際には、頬のむくみがいつから続いているのか、ひどくなってきているか、ほかに気になる症状などについて伝えるようにしましょう。

頬のむくみが気になったら、まずは日常生活に潜む原因を知って簡単にできるセルフケアを試してみましょう。

水分を過剰に摂り過ぎると、むくみやすくなることがあります。また、アルコールの摂りすぎはむくみの原因となります。

飲みすぎが原因かなと思ったら

アルコールについては、どの程度の飲酒でむくみを感じるかは個人差が大きいため、むくみを気にするのであれば自分の許容量を知ることが大切です。

ペースを守って適切な量の飲酒にとどめると同時に、最低でも週に1〜2日は休肝日を取るようにするなどしましょう。

塩分には体内に水分を引き止めておくという特徴があります。過剰な塩分摂取によって体内に水分がたまるため、むくみにつながりやすくなります。

塩分を摂りすぎたときは

塩分の排泄を促すカリウムを多く含む食べ物を摂るようにしましょう。厚生労働省が発表している基準によると、成人男性3,000mg以上、成人女性2,600mg以上のカリウム摂取が目標とされています。わかめやこんぶ、ひじきといった海藻類やバナナに豊富です。

自分でできる対処法を試しても症状がよくならない場合は、思いもよらぬ原因が潜んでいることもあります。一度、病院で相談してみましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。