顔のできもの:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】
顔に生じるできものは、赤いブツブツしたもの、黒くて硬いもの、しこりのように大きいものなど、実にさまざまな形状をしています。原因によって色や硬さなどに違いがみられ、多くは心配のないものですが、中には注意が必要なものもあります。
このような症状がみられる場合、考えられる原因にはどういったものがあるのでしょうか。
顔のできものは、ニキビなどの身近なものから、皮膚がんといった注意が必要なものまで、さまざまな病気が関係しています。
考えられる病気のうち、よくみられる病気には以下のようなものがあります。
ホルモンの影響などで皮脂の分泌が盛んになることを原因の一つとして発症する病気で、いわゆる「にきび」のことです。10代から20代に多くみられ、おでこや眉間、頬、口・あご周りなどに好発します。
症状は、面皰という皮脂が溜まった状態から始まり、炎症を起こすと膨らんだり、赤みや痛みを伴ったりするようになります。また、炎症が進むと膿を持つようになります。
いわゆる「いぼ」のことで、皮膚がヒトパピローマウイルスに感染することで起こります。指先や手のひら、膝の裏、足の裏などに好発しますが、顔に生じることもあります。発症すると、白色や灰色、ピンク色などの硬くゴツゴツした皮膚の盛り上がりが現れます。
粉瘤は「アテローム」とも呼ばれ、皮膚の下に生じた袋状の構造物の中に角質や皮脂が溜まったできた良性の腫瘍です。多くの場合、柔らかい盛り上がりとして現れ、徐々に大きくなっていきます。また、盛り上がりの中央部に黒点状の開口部を伴い、強く圧迫すると悪臭を放つドロドロとした物質(角質や皮脂)が出てくることがあります。
鼻を中心に頬や額、口周りなどが赤くなる病気のことです。皮膚の赤みが特徴的な症状ですが、進行するとぶつぶつとした盛り上がりが生じます。このような皮膚の変化にピリピリとした痛みやほてり感を伴ったり、目の乾燥や充血など目の症状がみられたりすることもあります。
皮膚の下の脂肪細胞が増殖して生じる良性腫瘍です。柔らかいしこりとして自覚し、触ると水平方向に動くのが特徴です。徐々に大きくなっていくことが多く、腫瘍が神経を圧迫すると痛みを伴うことがあります。
皮膚の表面に1〜2mm程度の白く硬い塊ができるのが稗粒腫です。主に目の周りに発生し、1〜2個のこともあれば多発することもあります。やけどや擦り傷などの外傷がきっかけになる場合もありますが、生まれつき存在することも多く、この場合においては自然に消滅していくことがほとんどです。
以下に挙げるものは早期の治療が望ましい病気です。頻度としては稀ですが、症状に当てはまるようなら注意が必要です。
表皮にある基底層や毛包などを構成する細胞から発生する皮膚癌のことです。主に高齢者の目の周りや鼻、耳の周囲などに発生し、多くの場合、初期症状として黒褐色~黒色の軽く盛り上がった皮疹がみられます。この段階では見た目がほくろに似ていることから、区別が難しいことがあります。
皮疹は数年かけて大きくなっていき、次第に硬い塊のようなものが形成されます。さらに進行すると中心部が陥没したり、出血したりしやすい状態になる場合があります。
メラニン色素を作るメラノサイトという色素細胞が癌化したものです。「メラノーマ」とも呼ばれています。発症すると、ほくろに似た黒色のシミが現れ、徐々に大きくなっていきます。この場合のシミの形は左右非対称で、周囲との境界が不鮮明です。
表皮の有棘層にある細胞が癌化したものです。紅色の硬いイボ状のしこりや肉の塊が崩れたようなものが現れ、発生部位が深く抉れたり、出血することもあります。また、大きくなると見た目がカリフラワー状になったり、細菌感染を起こすと膿を持ったり悪臭を放つようになります。
顔のできものは心配ないものが多数を占めますが、皮膚癌であることも少なくありません。ほくろに似たできものが現れて徐々に大きくなっている場合、出血や悪臭があるような場合には早めの受診がすすめられます。気になる症状がなくても、いつまでも治らないようなら一度受診した方がよいでしょう。
適した受診先は皮膚科です。分かる範囲で構わないので、診察時にいつから・どのような症状があるか、できものの経過(大きさ・形・色など)を医師に伝えましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。