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インタビュー

慢性疾患における拒絶・闘争段階のこころとその対処―自分が慢性疾患であることを考えたくないときに

慢性疾患における拒絶・闘争段階のこころとその対処―自分が慢性疾患であることを考えたくないときに
藤本 志乃 さん

Le:self カウンセラー

藤本 志乃 さん

石橋 由孝 先生

日本赤十字社医療センター 腎臓内科部長

石橋 由孝 先生

上條 由佳 先生

日本赤十字社医療センター腎臓内科

上條 由佳 先生

目次
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腎不全などの慢性疾患とは、腰を据えて長く付き合っていく必要があります。これは時として精神的に辛いものであり、慢性疾患の治療における患者さんのこころのケアは非常に大切です。患者さんが慢性疾患を受け入れるまでの過程には、「喪失」「拒絶」「闘争」「折合」「受容」の5つの段階があります。本記事では、その5つのうちの「拒絶」「闘争」について、日本赤十字医療センター腎臓内科の石橋由孝医師・上條由佳医師ご監修のもと、同科専任の臨床心理士である藤本志乃先生にお話しいただきました。

「拒絶」の段階は、とにかく疾患のことは考えたくない、思い出すと辛くなってしまうので思い出さないように努力する、といったような段階です。病院で食事に気をつけるように指導されても、病気のことを忘れてしまいたいと思うあまり、好きなものを食べてしまうこともあるでしょう。

「闘争」の段階は、疾患と一生懸命闘おうと頑張る段階です。毎回の検査データがどうなのかということを常に気にすることで苦しくなってしまうこともあるでしょう。

つまり、「拒絶・闘争」の段階にこころがある人は、上で述べたように、疾患を忘れること、もしくは疾患と闘うことで必死になってしまっています。まるで、疾患やそれに伴う嫌な気持ちと一生懸命に綱引きをしているような状態です。しかしその綱引きはいつか決着がつくものでしょうか。忘れようと思って忘れられるものでしょうか。

心理学でよく言われているのは、「考えたくないから忘れよう」と思って考えないようにしようとするほど、その考えは浮かんでくるということです。これを説明する「シロクマ実験」というものがあります。「今から1分間シロクマのことを考えないでください」と言われたとしたらどうでしょう。突然シロクマがたくさん頭に浮かんでくるのではないでしょうか。しかし、「シロクマのことを考えないように」といわれるまでのこの1ヶ月間、多くの方はシロクマのことを考えたことがなかったはずです。

このように、人間は不思議と「考えないように」とすることで「考えてしまう」という状態に陥るのです。つまり、綱引きを続けるほど、相手となる疾患やそれに伴う嫌な気持ちは大きくなってしまいます。したがって、拒絶〜闘争の段階にこころがある人は、その綱を一度手放してみることが必要になります。一度手放してみると、今まで見えなかった自分のやりたいことが見えてくることがあります。

これまで疾患を忘れようとしたり闘おうとしたりして、一生懸命綱引きをしてきたと思います。まずその綱を一度手放して置いてみましょう。

そのうえでひとつ考えてみてほしいことがあります。それは、今後どのように生きていくのかということです。昔、自分はどんなことをするのが好きだったのか、どんなことにやりがいを感じていたか、どんなことに感動したかなど、少し思い出してみましょう。それらをふまえ、今後どんな人生を歩みたいかを考えてみるのです。今後についてすぐに思いをはせることが難しい人は、このように整理しながら考えてみてもよいでしょう。

自分の「生きがい」が見つかった方は、「それを実現するために今の自分はどのようなことができるのか」を考えてみましょう。小さなことからでかまいません。そうしているうちに、手放した綱のことを自然と忘れられることが多くあるのです。

生きがい

参考文献

*1 武藤崇(2012) よくわかるACT 明日から使えるACT入門 星和書店

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    石橋 由孝 先生

  • 日本赤十字社医療センター 腎臓内科

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