インタビュー

下肢静脈瘤の治療(2)―高周波およびレーザーによる最新治療

下肢静脈瘤の治療(2)―高周波およびレーザーによる最新治療
阿保 義久 先生

北青山Dクリニック 院長

阿保 義久 先生

この記事の最終更新は2015年11月04日です。

下肢静脈瘤の根治的な治療として、従来は逆流防止弁が壊れた静脈を引き抜くストリッピング手術が行われていました。しかし、現在では高周波やレーザーを使用して患者さんの負担が少ない治療が可能になっています。下肢静脈瘤の最新手術について、北青山Dクリニック院長の阿保義久先生にうかがいました。

血管の中にカテーテルを挿入し、高周波によって発する高熱で血管の内腔を閉鎖して逆流を止める治療法です。血管内を閉塞させるという点では、血管内レーザー焼灼(しょうしゃく)術と同じですが、逆流血管の閉塞率が低いという弱点がありました。その後、技術改良によって血管の閉塞率が改善し、保険適用レーザー(980nm)と同等になったため、2014年7月から保険適用になりました。

RFは術後の痛みが少ないというメリットがありますが、デメリットは大きく分けて2つあります。ひとつは、15mmを超える太い血管は依然としてレーザーに比べて閉塞率が低いということです。もうひとつは、蛇行していたり逆流部分が短い静脈瘤、そして不全穿通枝(ふぜんせんつうし・深部静脈と表在静脈をつないでいる短い血管の血流障害)などへの焼灼が困難であるという点です。このため治療の適用範囲が狭いといえますが、術後の痛みが少なく手術時間が短時間で済むことから、患者さんのニーズに合わせた選択肢のひとつとして、今後の普及が期待されます。

レーザー治療には2つの種類があります。ひとつは静脈にレーザーファイバーを挿入して治療を行なう血管内レーザー焼灼(しょうしゃく)術です。もうひとつは身体の外からロングパルスYAGレーザーを断続的に照射する体外照射レーザー治療です。

血管内レーザー焼灼術は主に伏在静脈瘤のような、血管が足の表面に浮き出てボコボコしているタイプのものに適用されます。

弁不全を起こした静脈にごく細いレーザーファイバーを挿入し、静脈の内側を焼灼(しょうしゃく・熱で焼くこと)して患部の血管を閉鎖させます。血管はふさがれた部分に血液が流れなくなり、そのあと数カ月かけて繊維化し、体組織に吸収されて消滅します。

ストリッピング手術と同等の効果がありながら、小さな針穴のみで出血や身体の負担が少ない治療です。現在、世界中で数多くの血管内レーザー焼灼術が行われています。術後10年以上にわたるデータの蓄積もされてきており、その安全性と有効性が確認されています。現存するレーザーの中では2000nmの波長が最も長く水分の吸収が良いため、より身体にやさしく安全で、合併症のリスクも少ない手術が可能です。患者さんにとって、もっとも負担が少なく効果的な治療であるといえるでしょう。

下肢静脈瘤の一種で、赤や青の細かい血管拡張を「網目状静脈瘤」「クモの巣状静脈瘤」といいます。これらの静脈瘤の治療には、従来は硬化療法が行われてきましたが、近年、体外照射タイプ(ロングパルスYAGレーザー)が用いられるようになってきました。

ロングパルスYAGレーザーは、血管の壁を変性・収縮させる性質を持っています。これを一定間隔で断続的にパルス照射することで、治療部位の温度を高温にすることなく血管を収縮させ、閉鎖することができます。治療時間は30分~1時間程度で日帰り治療が可能です。合併症を最低限に抑えるために複数回の照射に分けて行います。

北青山Dクリニック 下肢静脈瘤レーザー治療センターのHPはこちら

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