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インタビュー

下肢静脈瘤の手術治療

下肢静脈瘤の手術治療
阿保 義久 先生

北青山Dクリニック 院長、東京大学 医学部腫瘍外科・血管外科非常勤講師

阿保 義久 先生

目次
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下肢静脈瘤は治療の低侵襲化が進み、近年は血管内にカテーテル(医療用の細い管)を挿入して行う血管内治療が主流になってきています。今回は北青山Dクリニックの院長である阿保義久先生に下肢静脈瘤の手術治療の方法についてお話を伺いました。

※下肢静脈瘤の症状や原因については、記事1『下肢静脈瘤の症状や原因について』をご覧ください。

手術

下肢静脈瘤は、基本的に手術による治療を行います。主な手術方法には、以下があります。

<下肢静脈瘤の手術>

  • ストリッピング手術
  • 血管内レーザー焼灼術
  • 血管内高周波焼灼術
  • スーパーグルー治療(自費診療)

従来は、下肢を複数箇所切開して、逆流を起こしている表在静脈を引き抜くストリッピング手術が主流でした。しかし、近年では血管内にカテーテル(医療用の細い管)を挿入して行う、血管内レーザー焼灼術や血管内高周波焼灼術が広く行われるようになっています。

ストリッピング手術

ストリッピング手術とは、逆流を起こしている表在静脈を引き抜く手術です。この手術では下肢を2箇所切開し、そこからワイヤーを通して治療を行います。

しかし、ストリッピング手術のみでは静脈瘤は消失しないため、局所的に静脈瘤を切除することが一般的です。その際にも、何箇所か皮膚を切開する必要があります。

ストリッピング手術は100年以上前から行われている基本的な手術ですが、出血や痛みなど身体的負担がかかる手術のため、近年実施する病院は減少してきています。当院でも、現在(2018年)はストリッピング手術ではなく、主に血管内治療(血管内レーザー焼灼術や血管内高周波焼灼術)を実施しています。

血管内レーザー焼灼術

血管内レーザー焼灼術は、逆流が生じている血管をレーザーで焼灼して癒着させ、閉塞する治療です。血液が流れなくなった血管は、時間とともに縮小して最終的には繊維化します。あたかも体のなかに吸収されたかのように確認できなくなります。

2018年現在、1,470nm(ナノメーター)の波長が出るレーザーが保険適用となっています。当院では、自費診療ではありますが、患者さんが希望する場合、2,000nmとさらに大きい波長によるレーザー焼灼術も実施しています。(自費診療の場合、片足約25万円・両足約45万円〜:北青山Dクリニックの場合)

レーザー焼灼術はレーザーファイバー先端からレーザーが出るため、血管の蛇行が強い場合や、照射範囲が短い血管の治療を行ううえで有用です。ただし、レーザーが出る範囲が短いために、時間や手間がかかるデメリットもあります。

血管内高周波焼灼術は、逆流を起こしている血管内を120度の高熱で焼灼して、閉塞させる治療です。レーザー治療と同様、焼灼した血管は自然と確認できなくなります。

高周波焼灼術は、カテーテルの先端約7cmの範囲から高周波が一気に照射されるため、レーザー焼灼術に比べると手術時間が短いというメリットがあります。一方で、短い血管や蛇行が極め強い血管の場合には、焼灼ができなかったり、焼灼が難しい場合があります。

レーザー焼灼術を行うか、高周波焼灼術を行うかは、血管や静脈瘤の特性に合わせて決定します。

スーパーグルー治療とは、血管内にカテーテルを挿入し、そこからグルー(医療用の瞬間接着剤)を注入して血管を閉鎖させる治療です。2018年現在、日本では保険適用ではなく、自費診療の治療法です。費用はおよそ片足約35万円・両足約60万円です。(北青山Dクリニックの場合)

スーパーグルー治療は、レーザーや高周波を使った治療のように熱を発しないため、少量の麻酔で治療が可能で神経障害のリスクが最小限ですみます。また、グルーを注入後、瞬時に血管が閉鎖するため、通常ストリッピング手術や血管内治療の術後に行う弾性ストッキングによる圧迫の必要がない場合もあります。治療当日から入浴も可能です。

しかし、まだ新しい治療法であるため、長期的にみた治療成績の報告がないというデメリットもあります。

基本的に、術後ずっと残り続けるような後遺症はありませんが、一時的にみられる症状として、内出血や皮膚の引きつれ感などがあります。

そのほか、まれにしびれなどの神経症状などが出ることがあります。これは、神経近くにある血管を治療したときに起こることがありますが、時間とともに消失します。

一度手術をした部分が再発することは、ほとんどありません。しかし、治療をしていない血管が再度逆流を起こし、下肢静脈瘤を発症することはあります。早期の静脈瘤は注射による簡単で負担の少ない治療(硬化療法など)で対応することが可能です。ですから、手術後少しでも下肢静脈瘤の症状がみられる場合には、早めに病院で相談することをおすすめします。

阿保義久先生

下肢静脈瘤は、患者さんにとって負担の少ない方法で手術ができるようになってきました。当院でレーザーや高周波を使用した血管内焼灼術を行う場合、片足15〜20分ほどで治療が完了し、日帰り(外来)で行うことが可能です。

下肢静脈瘤は、残念ながら放置していても治る病気ではありません。また、重症化すると皮膚潰瘍(皮膚が欠損して脂肪や筋肉が露出してしまう状態)となってしまうこともあります。ですから、気になる症状がある場合には、早めに病院を受診して医師に相談していただきたいと思います。
 

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  • 北青山Dクリニック 院長、東京大学 医学部腫瘍外科・血管外科非常勤講師

    阿保 義久 先生

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