インタビュー

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤とは
阿保 義久 先生

北青山Dクリニック 院長 東京大学医学部腫瘍外科・血管外科非常勤講師

阿保 義久 先生

下肢静脈瘤は一般に広く知られている病気ではありませんが、潜在的な患者さんの数は意外に多いことが分かっています。従来は入院をともなう手術が必要で、治療をせずに放置する患者さんも少なくありませんでしたが、現在では外来での日帰り手術が可能になっています。下肢静脈瘤とはそもそもどんな病気なのでしょうか。高周波やレーザーを使用して患者さんの負担が少ない日帰り手術を行なっている、北青山Dクリニック院長の阿保義久先生にお話をうかがいました。

下肢静脈瘤とは

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは、脚および足の表面近くに通っている静脈がこぶのようにボコボコと盛り上がる、あるいはクモの巣状または網目状に浮き上がる疾患です。基本的に自然に治ることはなく、時間の経過とともにゆっくりと進行します。

外見上の問題から、脚を露出する服装、スポーツや温泉などのレジャーをあきらめてしまうなど、患者さんのQOL(Quality of life:生活の質)を大いに損ない、精神的負担も無視できないものがあります。しかも重症化すると潰瘍や血栓症などが発生して治療が難しくなる場合があるにも関わらず、医療の側ではこれまであまり重視されていなかった疾患であるといえます。

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の主な症状は次のとおりです。

  1.  血管がこぶのように盛り上がる・浮き出る
  2.  重だるい疲労感・ほてり感・痛み
  3.  むくみ(浮腫)
  4.  足がつる(こむら返り)
  5.  かゆみ・湿疹・皮膚炎
  6.  色素沈着・潰瘍
1 血管がこぶのように盛り上がる・浮き出る

 

<左>5 かゆみ・湿疹・皮膚炎 <右>6 色素沈着・潰瘍

 

患者さんにとって、こぶのように大きく盛り上がった静脈瘤の見た目の問題は深刻で、多くの方が精神的苦痛を感じています。ただし、下肢静脈瘤そのものは多くの場合痛みを感じることはあまりありません。静脈瘤はうっ血(血液がよどんでたまること)によって静脈内の圧力が上昇するために起こります。このことが重だるい感じやほてり感を引き起こしますが、これらの症状が限度を超えると痛みとして感じられることがあります。また、静脈圧が高くなると血管内から水分が外へ染み出ることによってむくみ(浮腫)を生じます。

静脈瘤によって血行が悪くなると、歩行時や就寝中にこむら返りを起こしやすくなります。湿疹や皮膚炎、あるいは湿疹を伴わないむず痒さもこの血行障害が原因であると考えられます。また皮膚が弱くなり、静脈圧の上昇によって静脈が拡張しているため、皮下出血を起こしやすくなり、血液の色素が組織に沈着することがあります。皮膚が傷つきやすく容易に潰瘍化しますが、血液循環が悪いために潰瘍はきわめて治りにくく、放置するとさらに悪化していきます。

どんな人が下肢静脈瘤になりやすいか

下肢静脈瘤は、疾患そのものの認知度は高いとはいえませんが、発症数は意外に多く、40歳以上の女性の約10%に明らかな静脈瘤が認められると言われています。 症状が軽いものまで含めると、30歳以上の男女では62%の人に、静脈瘤が認められたという報告もあります。

男性よりも女性に多く発症する傾向がありますが、理由としては、女性は男性よりも筋力の面で血液の還流力が弱いことに加えて、妊娠・出産が下肢静脈瘤の発症要因となることが挙げられます。妊娠時に分泌される黄体ホルモンが血管をやわらかくするため、静脈瘤が発生しやすくなります。また、出産経験の多い方のほうが発症率は高いとされています。

年齢とともに血管が弱くなると、逆流防止弁が壊れやすくなり、発生頻度が高くなります。また、親族に静脈瘤の方がいる場合に発生頻度が高いことから、何らかの遺伝的要因が関与しているものと考えられます。

長時間同じ姿勢を取り続けることは血管の負担が大きくなる要因です。特に長時間立ったまま仕事をする方は発症率が高くなります。同様に長時間座ったままというのもよくありません。エコノミークラス症候群の後遺症として下肢静脈瘤になる方もいます。

このほか、高身長で脚の長い方は血管も長いため負担が大きくなるといえます。また、長距離のランニングやサッカーなど、脚を酷使するスポーツをしている方も下肢静脈瘤になりやすいようです。

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